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「外耳道真菌炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/28

耳の中にカビが生える病気があります。そのような信じがたい現実が私たち誰にでも起こる可能性があることをご存知でしょうか。

毎日、日課のように耳掃除をされている方ほど必見の記事になります。誰よりも清潔にしているつもりが、かえって耳の中の環境を悪化させている可能性があります。

正しい耳かきの方法や頻度がありますのでチェックしてみてください。今日から改善ができる簡単な予防法もご紹介していますので、ご参考にして頂けますと幸いです。

※この記事はMedical DOCにて『「外耳道真菌炎」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

矢富 正徳

監修医師
矢富 正徳(医師)

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東京医科大学病院
保有免許・資格
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本耳鼻咽喉科学会認定指導医
日本睡眠学会認定睡眠専門医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医

外耳道真菌症の特徴

耳に手をあてて病状に悩む女性

外耳道真菌症の特徴を教えてください。

耳の入り口から鼓膜までの約3cmほどを外耳と呼び、その部分に真菌、いわゆるカビが生えるのが特徴です。耳の中は皮脂腺があり、通気性が良くない閉鎖空間という環境はカビが繁殖する好条件な場所でもあります。
常に湿っているとカビが生えやすく、症状が進行すると口を開けるだけでも耳の痛みを伴うことや、眠れなくなることもあるほどです。外耳道に生えたカビは耳の奥に厚い膜のように充満し、鼓膜をふさぐように密着します。
感染が進行すると鼓膜に穴があいたり、難聴の症状が現れるようになったりします。

どのような症状がみられますか?

  • 強いかゆみ・痛み
  • 耳のつまり感
  • 黄色の耳だれ・においを伴う耳だれ
  • 黒い耳垢
  • 耳が赤くなる・腫れる
  • 耳鳴り、音が聞こえづらい

急性では痛み、時には頭痛を伴うことがあり慢性化すると強いかゆみに悩まされます。かゆくて掻きむしり、痛みが生じたり腫れたり、耳だれの症状がでるようになります。
炎症が進行すると閉塞感や難聴の症状も起きやすいです。耳掃除の際に、耳垢の色や酒粕のような形状などいつもと様子が違う場合や、炎症で皮膚がジュクジュクとして分泌液が出ることも多くにおいがある場合も注意が必要です。

発症の原因を教えてください。

爪や耳かきなどで外耳道を傷つけた際に皮膚のバリア機能が低下し、真菌が感染しやすくなることが原因です。多くは耳掃除のし過ぎといわれており、耳をいじる癖がある方や、耳かきを強めに使用している方に発症しやすい傾向があります。
耳かき棒の先端に、空気中に浮遊している真菌が付着します。そのまま使用した際に過度の耳掃除などで炎症が起きた皮膚に菌が入り込み感染するというケースも考えられますので、清潔な綿棒を使用するようにしましょう。
近年はテレワークやオンライン授業が増え、イヤホンやヘッドホンを長時間使用する機会が多くなりました。耳の中が蒸れて高温多湿でカビが生えやすい環境であることが原因で、かゆみなど症状を訴えに来院される方も増えています。
耳にしっかりフィットし気密性の高いイヤホンは、長時間の使用時に注意が必要です。また、お子さんは耳いじり・耳かきの刺激によりその傷口や炎症箇所にプールや入浴時に細菌が入りこみ感染することもあります。

外耳道真菌症は人にうつるのでしょうか?

外耳道真菌症は外耳道内にカンジダ・アスペルギルスといった種類の真菌が感染して起こります。これらの真菌は私たちの皮膚に常在している身近な菌です。普段バリア機能が健全な時は感染するリスクが低いと考えられます。
他人へ、または他人から真菌が感染するというより、外耳道内のバリア機能が低下しているタイミングで感染しやすくなるといえるでしょう。前述であげたイヤホンなどは衛生面からも共有しない方が賢明であるといえます。

編集部まとめ

資料を見ながら会議
外耳道真菌症は耳にカビが生える病気です。耳の中にカビが生えることが信じられないと感じるかもしれませんが、誰でも発症するリスクがあります。耳掃除の習慣・方法・頻度に注意しましょう。

コロナウイルスの流行以来、イヤホンの使用率上昇に伴い耳にストレスがかかっていますので、若い世代の方こそ気を付けて頂きたい病気のひとつです。

耳は大切な体の一部です。この記事を見て頂いたことをきっかけに、今日から耳の環境について少しでも考えて頂けましたら嬉しく思います。

この記事の監修医師