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「ペルテス病」に初期症状はある?症状・原因も解説!【医師監修】

 公開日:2025/02/06

ペルテス病とは、生後18カ月ごろからの子供に発症する可能性がある病気であり、大腿骨頭が壊死してしまう病気です。

原因などは明確なものがわかっておらず、痛みを訴えないケースもあるため、発見が遅れるケースも少なくありません。

適切な対処や早期発見をするためにも、あらかじめペルテス病について知ることが非常に大切です。

そこで本記事では、ペルテス病について詳しく解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「ペルテス病」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

ペルテス病とはどのような病気ですか?

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ペルテス病の症状を教えてください

主な症状は、次のようなものが挙げられます。

  • 痛み
  • 跛行

主な症状として、まずは痛みが挙げられます。股関節部・大腿部・膝が痛むケースが多いです。しかし、痛みが発生しないケースもあります。
また、歩行時に足を引きずる跛行がみられることも多いです。このような症状がみられる理由としては、大腿骨頭の変形や壊死が関係しています。
通常、股関節は大腿骨頭と呼ばれる大腿骨の球形の先端が、骨盤の白蓋という部分にはまりこんでいる構造です。これにより、股関節の可動域を実現しています。しかし、何らかの原因によって大腿骨頭の血行が悪くなると、骨が弱くなってしまいます。その結果、つぶれたり壊死したりといった状態を招き、上記のような各部位に痛みを引き起こすのです。
大腿骨頭が変形などすると、股関節の動きも制限されます。足を開いたり、ねじったりといった動きが制限され、痛みが伴うことも少なくありません。

ペルテス病の主な原因を教えてください

この病気の原因は、明確には分かっていません。ただし、次のようないくつかの有力な説が唱えられています。

  • 外傷による血行障害
  • 解剖学的な見解による阻血
  • 血管外因子による阻血
  • 血管内因子による血液の凝固

考えられる原因のひとつ目が、外傷による血行障害です。
外傷を繰り返すことによって、次第に大腿骨頭を傷つけます。その結果、この病気を引き起こすという説です。次に解剖学的に阻血になりやすい点も、原因のひとつに考えられています。子供の大腿骨頭は体の中でも分離した形態の骨です。そのため、骨髄からの血行路がなく、通常は3本程度の血管から栄養が補給されている仕組みです。
しかし6歳~7歳の男の子の場合、血行路が1本しかないことが多く、解剖学的に阻血になりやすいと考えられています。その結果、大腿骨頭の壊死を招くといわれています。また、血管外因子も有力な説です。
通常、関節内部には、関節をスムーズに動かすための潤滑油の役割を持つ関節液と呼ばれる物質があります。関節内圧が高くなることで関節液が血管を閉塞させ、血行障害を引き起こすと考えられています。
最後が、血管内因子による血液の凝固です。これはふたつの原因に分けられます。ひとつ目が血液が固まりやすい体質です。血液中の凝固因子が働きすぎているケースや、固まった血を溶かす因子が不足していることで発症が考えられます。次に、家族の中に喫煙者がいることでも発症の可能性が疑われています。
しかし、喫煙との関連はまだはっきりとは分かっていません。現在は、このような原因が、単体だけでなく複数組み合わさって発症していると考えられています。

ペルテス病に初期症状はありますか?

特徴的な初期症状は、ほとんどありません。
先述紹介したような痛みはありますが、軽度なものであり、全く初期症状がないケースもあります。また、痛みがなくても跛行のみ現れることもあります。特に、年少児においては、痛みを訴えず跛行だけのことも多いです。

ペルテス病の発症率を教えてください

ペルテス病の発症率は、おおよそ1万人に1.5人といわれています。また、その中でも両足に発症する方は、約10%の方です。ほとんどの場合、片方が発症してから2年以内で、もう片方が発症するケースが多いです。
女の子よりも男の子の方がなりやすい傾向にあり、男女比は4:1といわれています。発症の多い年齢は、おおよそ4歳~7歳で、身長が低くて活発な元気な男の子に多い傾向です。

編集部まとめ

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ペルテス病は、大腿骨頭が変形したり壊死したりしてしまう病気です。しかし、決して完治しない病気ではありません。

しっかりと時間をかけて治療を行えば、後遺症も発生することなく完治させられます。とはいえ、治療期間は長いです。

早期に発見できれば短期間の入院で良い場合もありますが、3年~4年ほど必要とするケースも少なくありません。

少しでも治療をスムーズに、短期間で終えるために早期発見できるようお子様の様子をしっかりと見ておきましょう。

もし、病気について不安な場合は、専門の医療機関に相談しましょう。

参考文献

この記事の監修医師

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