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「シェーグレン症候群」の診断のポイント・診療科・治療法はご存知ですか?医師が監修!

 公開日:2024/06/06

シェーグレン症候群は2015年1月に指定難病に指定された病気ですが、初めて名前を聞いたという方が多いのではないでしょうか。

聞き慣れない病気にかかった場合、不安になって日常生活にも手がつかない状況になる人は少なくありません。

この記事ではシェーグレン症候群の診断方法・診療科・治療方法も解説しますので参考にしてください。

※この記事はMedical DOCにて『「シェーグレン症候群」を発症すると現れる症状・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

シェーグレン症候群の診断と治療

医師

シェーグレン症候群と判断するポイントは何ですか?

生検病理組織検査・口腔検査・眼科検査・血清検査の4項目のうち、いずれかの2項目で陽性であるとシェーグレン症候群と診断されます。

  • 生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
  • A)口唇腺組織でリンパ球浸潤が 1/4m ㎡当たり 1focus 以上
    B)涙腺組織でリンパ球浸潤が 1/4m ㎡当たり 1focus 以上

  • 口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
  • A)唾液腺造影で stage I(直径 1mm 以下の小点状陰影)以上の異常所見
    B)唾液分泌量低下(ガムテスト 10 分間で 10mL 以下,またはサクソンテスト 2 分間 2g 以下)があり、かつ唾液 腺シンチグラフィーにて機能低下の所見

  • 眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
  • A)Schirmer 試験で 5mm/5min 以下で、かつローズベンガルテスト(van Bijsterveld スコア)で陽性
    B)Schirmer 試験で 5mm/5min 以下で、かつ蛍光色素(フルオレセイン)試験で陽性

  • 血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
  • A)抗 SS-A 抗体陽性
    B)抗 SS-B 抗体陽性

どの診療科を受診するべきでしょうか?

乾燥症状に関しては眼科・口腔外科・歯科・皮膚科・耳鼻科で受診をしましょう。他には症状によって膠原病内科・リウマチ内科・血液内科などの内科系で受診していただく方がスムーズなケースもあります。

どんな検査が行われるのですか?

生検病理組織検査では、涙腺や唾液腺の組織を採取し、顕微鏡を用いて検査します。口腔検査の具体的な内容は、10分間ガムを噛んで唾液分泌量を計測するガムテストや、ガーゼを口に入れて噛んでもらい唾液量の重さを測定するサクソンテストです。
眼科検査では専用の濾紙を下まぶたにはさみ濡れた長さを測定するシルマー試験や、色素を点眼し角結膜の状態を観察するローズベンガル試験・蛍光色素試験を行ないます。
血清検査は採血を行い、自己抗体を検出し判定をする検査です。シェーグレン症候群では特に関連の強い抗体として抗SS-A/Ro抗体とSS-B/La抗体があり、この陽性率が診断の根拠となります。

治療の方法を教えてください

ドライアイの治療方法は、涙の分泌促進・涙液の補充・涙の蒸発防止・涙の排出抑制に分けられます。涙の分泌促進には保湿成分を増やすレバミピド点眼薬などを点眼することで高い効果をあげています。
涙液の補充には目薬などの人工涙液を使用しますが、防腐剤による角膜障害が起こりやすいです。そのため、防腐剤の入っていない使い捨てタイプのヒアレインミニなどの点眼薬の使用をおすすめするケースが多いです。
涙の蒸発防止には、ドライアイ用のメガネを着用して涙の乾燥を防ぎます。涙の排出抑制の方法は、手術によって涙点を塞いだり、涙の排出口である涙点にプラグを詰めたりなどです。ドライマウスの治療方法は唾液分泌の促進・唾液の補充の2つに分けられます。
唾液分泌の促進には、塩酸セビメリン塩酸や塩酸ピロカルピンなどの内服薬を服用することで促進効果が期待できます。唾液の補充には人工唾液を使用し乾燥を防ぎます。

編集部まとめ

女性
シェーグレン症候群は指定難病に指定されているため、不安な状況の方が多いでしょう。

症状は急激に進行することはなく、長期に渡って付き合っていく必要がある病気です。情報に振り回されずに正しい知識を身につけることを心掛けましょう。

日本には日本シェーグレン症候群学会があり、学会のホームページで最新の情報を得ることもできます。また患者会として「シェーグレンの会」が年に1回開催されます。

同じ病気で悩む患者さん達と交流し、悩みや情報を共有するのもおすすめです。

あなたに合ったペースで治療を受け、症状と向き合いながら生活を送りましょう。

この記事の監修医師