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「脊柱管狭窄症」の検査・治療・リハビリはどんなことをするの?医師が監修!

 公開日:2024/07/10

脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは加齢や衝撃などによって、背骨が変形することで脊髄や神経が圧迫されて起こる病気です。

狭窄した部位によって、手や下肢にしびれや痛みが出るほか、麻痺(まひ)が起こって歩けなくなったり排泄がうまくできなくなったりすることがあります。

脊柱管の狭窄部位によって、上から頚部脊柱管狭窄症・胸部脊柱管狭窄症・腰部脊柱管狭窄症に分けられ、全般に狭窄する広範脊柱狭窄症もあります。

これらのなかで最も多いのが腰部脊柱管狭窄症です。

※この記事はMedical DOCにて『「脊柱管狭窄症」になると現れる初期症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

脊柱管狭窄症の検査と治療

問診票

脊柱管狭窄症はどのような検査で診断されますか?

問診・身体検査・X線(レントゲン)検査が実施され、問診で重要なのは、この病気の特徴である間欠性跛行があるかについて確認です。しかし、それだけで診断が難しい場合や手術などが必要な場合にはMRI検査や脊髄造影CT検査が実施されます。
MRI検査は脊柱管内の様子を診察できるので、神経の圧迫具合や重症度が判る検査です。ただし、強い磁力を発するため体の中にペースメーカーなどの金属が入っている人や、狭い筒の中に入る形になるため閉所恐怖症の人は検査できない場合があります。
MRI検査でも診断が難しい場合、あるいは手術を実施する前に腰椎など背骨の状態を詳しく診るために、脊髄造影CT検査が有効です。この脊髄造影は治療方針の決定にも重要な役割を果たしますが、一泊の入院が必要となる事が多いほか、造影剤アレルギーがある人には実施できない検査です。

治療方法を教えてください。

大きく分けて保存療法手術療法があり、症状が軽いうちであれば、保存療法だけでも症状が改善することがあります。
保存療法には次に挙げる療法があり、痛みがひどい時には、局所麻酔剤を痛みがある神経の周りに注射する神経ブロック療法が施術されます。腰部脊柱管狭窄症に対してはとくに腰部硬膜外ブロックが有効です。薬物療法ではいろいろな種類がある消炎鎮痛剤(非ステロイド性消炎鎮痛薬やアセトアミノフェン)や神経障害性疼痛の第一選択薬であるプレガバリン(商品名:リリカ)などを内服します。
そのほか、前かがみの姿勢を保つコルセットなどを装着する装具療法や、温熱・超短波・マッサージなどの理学療法、骨盤などを引っ張るけん引療法、腰痛体操などの体操療法など、さまざまな療法があります。

手術は必要でしょうか?

保存療法を数カ月間続けても効果がなく、しびれや痛みがどんどん強くなり、下肢が弱って排尿や、排便に障害が出るようになると手術が必要です。手術は大きく分けて除圧術固定術の2つの方法があります。
除圧術は狭窄している脊柱管を拡げる術式で、狭窄箇所が2ヶ所以下なら内視鏡手術が可能で、切開せず低浸潤のため退院までは術後3~7日と、切開術の半分以下の日数です。背骨が変形している場合は固定術となり、切開して脊柱管を拡げながら脊椎を金属で固定します。ただ最近では固定術を内視鏡でもできる施設があるので、整形外科で相談してみるとよいでしょう。

リハビリはどのように行いますか?

保存療法としてのリハビリには、大きく分けて歩行練習などのADL練習筋力トレーニングがありますが、しびれや痛みが強い場合は、悪化を防ぐためにまず安静第一です。
症状が落ち着いてきたら、血流を改善して腰や背中の筋肉を伸ばし強化するために、腰をまるめるようにするストレッチや、背骨を支える体幹を鍛える筋力トレーニングを開始します。
また、手術後のリハビリは入院による筋力低下や筋肉の柔軟性低下を防ぐため、できるだけ早い時期に軽い歩行練習を始めるようにします。これらリハビリは自己判断で行わず、理学療法士の指示に従って無理のないように行うことが大切です。

編集部まとめ

腰が痛い男性
脊柱管狭窄症を防ぐには、ふだんの生活において姿勢を正しく保ち、背骨への負担を減らすことが大切です。

しかしその一方で、すでに発症している場合は、無理に背筋を伸ばすと悪化することがあるので注意が必要です。

脊柱管は一度狭窄してしまうと自然治癒は難しいため、上でご紹介した初期症状に心当たりがある場合は、必ず整形外科で診察を受けておきましょう。

とくに高齢者は、症状が進むと寝たきりになる可能性があるので、1日でも早く受診することをおすすめします。

この記事の監修医師