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「月経前症候群の治療」で使用される”低用量ピル”とは?検査法も医師が解説!

 公開日:2025/12/05
「月経前症候群の治療」で使用される”低用量ピル”とは?検査法も医師が解説!

生理の前になると頭痛やイライラするなど、身体や心にさまざまな症状があらわれることがあります。 通常は軽い場合が多いという人でも、自律神経の乱れなどで症状が強く出ることがあります。 そして毎月強く辛い症状が続くことで、精神的にも肉体的にも苦しむ人がいるのです。この症状を月経前症候群(PMS)と呼びます。 今回はこの月経前症候群(PMS)についての悩みにお答えしましょう。

※この記事はメディカルドックにて『「月経前症候群(PMS)」とは?症状・原因・治療法についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

前田 裕斗

監修医師
前田 裕斗(医師)

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東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。

月経前症候群(PMS)の診断と治療方法

診察

どのような症状が出たら受診すべきでしょうか?

  • 月経前症候群(PMS)はさまざまな症状が特徴です。症状の種類にかかわらず、自分が辛いと感じたら早めに受診してください。
  • 月経前症候群(PMS)は、すぐに命にかかわるという病気ではないため我慢する人が多いのです。
  • それでも症状は毎月あらわれることなので我慢することで、ますますストレスを感じることもあります。
  • 1人で抱え込まずにまずは相談してください。痛みや心の症状を軽減できる方法があります。また心の症状がより重い場合には、月経前不快気分障害(PMDD)と診断される場合もあります。
  • 身体や心が辛いと感じた時がよいタイミングと考えて医師に相談しましょう。

月経前症候群の診断基準が知りたいです。

  • 月経前症候群の診断は米国産婦人科学会の基準を参考にして行われています。まずは問診をしっかりと行い、次の症状を確認して月経前症候群の診断条件としています。
  • 月経周期と症状が連動している
  • 月経終了とともに症状が消える
  • 心身ともに症状による苦痛が大きい
  • 参考にする米国産婦人科学会の診断基準は次の項目を満たす場合です。
  • 学会の挙げる身体的・情緒的苦痛(抑うつ・不安・頭痛・乳房の痛みなど)
  • 月経開始4日以内に消失・月経周期13日目まで再発しない
  • 症状が薬物やアルコールによるものでないこと
  • 2周期症状が確認されていること
  • 症状が社会生活に障害をきたしていること
  • 条件を満たし、身体的または情緒的な症状が1つでも当てはまれば月経前症候群と診断されて治療が行われます。

治療に使う薬やピルについて教えてください。

  • 月経前症候群の治療では、生活習慣の見直しなども含め心身のバランスを整えるための薬を使用します。婦人科では主に低用量ピル(人工ホルモン剤)が処方されますが、その有効性には個人差があります。
  • 効果があらわれ難い時は抗うつ剤・抗不安薬・漢方薬などの処方と心理療法が併用される場合が多いです。その他身体的な痛みに対しては鎮痛剤、乳房の腫れや浮腫に対しては利尿剤などが処方されます。
  • 婦人科での治療で症状全般の改善のために使用されるピルはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の合剤です。脳の刺激ホルモンと卵巣ホルモンの連動を減少させることで排卵を抑制することを目的に処方されます。
  • 本来ピルは避妊薬・月経を調整するなどの目的で使用されていました。しかし現在ではさまざまなタイプのピルがあり、月経前症候群や月経困難症の治療に使われています。
  • 心療内科での治療は、主に漢方薬や安定剤を使用して心身を安定させることを目的としています。ストレスコントロール・生活習慣・リラクゼーションなどを組み合わせて症状の改善を目指すのです。

月経前気分不快障害との違いは何ですか?

  • 月経前症候群の中でも特に心の症状が重く、不安定さが顕著な場合には月経前気分不快障害(PMDD)として区別されています。
  • 自分でコントロールできない怒り・感情・抑うつなどにより社会生活や人間関係に支障をきたす深刻な症状が、月経前気分不快障害です。

編集部まとめ

女性の笑顔 月経のある女性の約7割から8割が、月経の前に何らかの不快な症状を感じるといわれています。 月経前症候群と診断される人はその症状が強い人なのです。1人で辛さを抱え込まずに辛いと感じたら医師に相談してみましょう。 婦人科や心療内科では、低用量ピルをはじめ効果的な薬を併用しながら症状の軽減を目指せます。 女性にとっては毎月のことです。少しでも早く症状が改善される治療を行い、病気と上手に向き合う方法を試しながら明るく過ごすようにしてください。

この記事の監修医師