「ナトリウムを過剰摂取すると現れる5つの症状」はご存知ですか?管理栄養士が徹底解説!

ナトリウムを過剰摂取すると現れる症状とは?Medical DOC監修医が一日の摂取量・効果などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「ナトリウムが不足すると現れる5つの症状」はご存知ですか?管理栄養士が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修管理栄養士:
衞藤 しおり(管理栄養士)
目次 -INDEX-
「ナトリウム」とは?

体内の水分バランスや神経伝達、筋肉の収縮などに関与する重要な栄養素です。体内の3分の1は骨、残りは多くが細胞外液に含まれています。通常の食事をしていれば、ナトリウムが不足することはありません。
ナトリウムの一日の摂取量

一日の摂取量について ナトリウムの摂取基準(※日本人の食事摂取基準2025年版より)は、以下のとおり設定されています。
【目標量(食塩相当量/日)】
成人18歳以上 男性:7.5g未満
成人18歳以上 女性:6.5g未満
高血圧予防対象者:6.0g未満
※目標量とは、生活習慣病の予防を目的とした望ましい摂取量の上限を示します。
なお、適切な身体機能を維持するために必要な最低限のナトリウム摂取量については、十分に定義されていませんが、世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、おそらく200~500mg/日程度で足りると推定されています。
つまり、生理的な必要最小限は極めて少ない一方で、現実の食事では摂取過剰になりやすいため、適切なコントロールが求められます。
ナトリウムの効果

体内の水分バランスを保つ
ナトリウムは細胞外液に多く存在し、水分を引き寄せる働きがあります。脱水の予防には重要ですが、過剰摂取によりむくみを引き起こす場合があります。
血圧の調整に関与
ナトリウムは血圧を上げる方向に働き、カリウムとのバランスにより血圧調整が図られます。
筋肉の収縮をサポート
ナトリウムはカリウムとともに、筋肉がスムーズに動くための神経伝達を助けています。スポーツ時のけいれん防止にも重要です。
神経の伝達を正常に保つ
ナトリウムは脳や神経が電気信号をやりとりする際に欠かせません。不足すると、集中力の低下や倦怠感を感じやすくなります。
胆汁・膵液・腸液の材料になる
ナトリウムイオンが水分を引き寄せる性質を利用し、消化液の適切な分泌量や流動性を保つことで、消化や吸収の過程をサポートします。 また、腸液におけるナトリウムは、栄養素(例:グルコースやアミノ酸)の能動輸送にも関与し、消化管での栄養吸収を促進する働きがあります。
ナトリウムを過剰摂取すると現れる症状

口渇(強い喉の渇き)
過剰なナトリウムにより血液の浸透圧が上昇し、強い喉の渇きが現れることがあります。対応としてはコップ1杯程度の水を少量ずつこまめに飲むことが有効です。さらにカリウムが豊富な食品を摂ることでナトリウム排出を助けることもできます。ただし腎臓病などでカリウム制限のある方は注意が必要です。
浮腫(むくみ)
余分なナトリウムが体内の水分を保持するため、手足や顔にむくみが生じます。この場合には、足を高くして横になることで血流を促進し、同時に塩分摂取を控えることが大切です。カリウムを含む食材の摂取も有効ですが、腎機能に制限がある場合には医師の指導が必要です。症状が進行する場合には腎臓内科や循環器内科を受診してください。
高血圧・血圧上昇
ナトリウムを過剰に摂取すると、体内の水分が血管内に引き込まれ、血液量が増加して血圧が上昇します。対処としては加工食品や塩分の多い食事を控え、水分を十分に摂取することが推奨されます。高血圧が続く場合は内科や循環器内科を受診してください。
意識障害・錯乱
ナトリウム濃度が急激に上昇すると、脳内で水分移動が起こり、軽度の錯乱から重度の意識混濁までさまざまな症状が出現します。静かな環境に移動し、水分を補うことが必要です。意識障害がある場合には救急外来を受診してください。
痙攣・昏睡
重度の高ナトリウム血症では、浸透圧の急激な変動により神経細胞に障害が及び、痙攣や昏睡が起こることがあります。この場合は転倒防止や呼吸の確保に努め、痙攣時は無理に抑えず回復体位をとらせます。症状が悪化した場合は救急外来や救急搬送が必要です。
「ナトリウムが不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまでナトリウムが不足すると現れる症状について紹介しました。ここでは「ナトリウムが不足すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
ナトリウムが不足する原因について教えてください。
衞藤 しおり
激しい嘔吐や下痢によりナトリウムが失われたとき、水だけを補給すると、血中のナトリウム濃度は更に低下します。
また、腎臓疾患や肝硬変、心不全などの状態では、ナトリウムと水分が体内に過剰に蓄積されますが、多くの場合、水分保持の作用が強く働くため、結果的に血中ナトリウム濃度が低下しやすくなります。更に、サイアザイド系利尿薬を服用している場合も、ナトリウム排泄が促進されることでナトリウム不足を招くことがあります。通常は軽微な影響に留まりますが、高齢者や元々ナトリウム濃度が低下しやすい人では、特に注意が必要です。
まとめ
夏場の脱水時や、高齢者・持病のある方は、知らないうちにナトリウム不足に陥ることがあります。また、健康な人でも水を過剰に摂りすぎると血中ナトリウム濃度が薄まってしまい、体調不良を招くことがあります。一方、塩分だけを補っても、水分が不足していると、血圧上昇などの心血管系の負担が強まる可能性があります。塩分と水分を適切なバランスで補給することが、効果的にナトリウム不足を防ぐポイントです。ナトリウムを調整してくれる他の栄養素や水分も意識しながら、体調や天候、年齢に応じて、バランス良くナトリウムを摂取して日々の健康維持に役立てていきましょう。
「ナトリウム」と関連する病気
「ナトリウム」と関連する病気は10個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
神経・内分泌系の病気
- SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)
- 副腎不全(アジソン病など)
腎・泌尿器科系の病気
- 慢性腎臓病(CKD)
- 腎性ナトリウム喪失症
消化器系の病気
- 肝硬変・肝性脳症
- 膵炎
- 急性胃腸炎
「ナトリウム」と関連する症状
「ナトリウム」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。


