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「ナトリウムが不足すると現れる5つの症状」はご存知ですか?管理栄養士が徹底解説!

 公開日:2025/12/15
「ナトリウム不足で起きる5つの症状」はご存じですか?管理栄養士が徹底解説!

ナトリウムが不足すると現れる症状とは?Medical DOC監修医が一日の摂取量・効果などを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「ナトリウムが不足すると現れる5つの症状」はご存知ですか?管理栄養士が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

衞藤 しおり

監修管理栄養士
衞藤 しおり(管理栄養士)

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料理教室で製菓・製パン・料理講師として大学在学中から、約10年ほど従事する。結婚と出産を機に、保育園栄養士、小学校栄養士を経験し、管理栄養士を取得する。家族や自身の体調不良をきっかけに、分子栄養学に興味を持つ。現在では、管理栄養士として特定保健指導や、子ども料理教室、子ども食堂に携わりながら、分子栄養学に関する学びや活動を続けている。

「ナトリウム」とは?

「ナトリウム」とは?

体内の水分バランスや神経伝達、筋肉の収縮などに関与する重要な栄養素です。体内の3分の1は骨、残りは多くが細胞外液に含まれています。通常の食事をしていれば、ナトリウムが不足することはありません。

ナトリウムの一日の摂取量

ナトリウムの一日の摂取量

一日の摂取量について ナトリウムの摂取基準(※日本人の食事摂取基準2025年版より)は、以下のとおり設定されています。
【目標量(食塩相当量/日)】
成人18歳以上 男性:7.5g未満
成人18歳以上 女性:6.5g未満
高血圧予防対象者:6.0g未満
※目標量とは、生活習慣病の予防を目的とした望ましい摂取量の上限を示します。
なお、適切な身体機能を維持するために必要な最低限のナトリウム摂取量については、十分に定義されていませんが、世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、おそらく200~500mg/日程度で足りると推定されています。
つまり、生理的な必要最小限は極めて少ない一方で、現実の食事では摂取過剰になりやすいため、適切なコントロールが求められます。

ナトリウムの効果

ナトリウムの効果

体内の水分バランスを保つ

ナトリウムは細胞外液に多く存在し、水分を引き寄せる働きがあります。脱水の予防には重要ですが、過剰摂取によりむくみを引き起こす場合があります。

血圧の調整に関与

ナトリウムは血圧を上げる方向に働き、カリウムとのバランスにより血圧調整が図られます。

筋肉の収縮をサポート

ナトリウムはカリウムとともに、筋肉がスムーズに動くための神経伝達を助けています。スポーツ時のけいれん防止にも重要です。

神経の伝達を正常に保つ

ナトリウムは脳や神経が電気信号をやりとりする際に欠かせません。不足すると、集中力の低下や倦怠感を感じやすくなります。

胆汁・膵液・腸液の材料になる

ナトリウムイオンが水分を引き寄せる性質を利用し、消化液の適切な分泌量や流動性を保つことで、消化や吸収の過程をサポートします。 また、腸液におけるナトリウムは、栄養素(例:グルコースやアミノ酸)の能動輸送にも関与し、消化管での栄養吸収を促進する働きがあります。

ナトリウムが不足すると現れる症状

ナトリウムが不足すると現れる症状

めまい・ふらつき

ナトリウムが不足すると、立ち上がった時にクラっとする立ちくらみや、頭がぼーっとする感覚が現れることがあります。脱水を伴うことも多く見られます。軽度であれば、スポーツ飲料や経口補水液、味噌汁などを少量ずつ摂取することで症状を落ち着かせることが可能です。ただし、ふらつきが続く場合には内科を受診する必要があります。特に口渇感の薄い高齢者は注意が必要です。

頭痛・集中力の低下

慢性的なナトリウム不足により、頭が重い、ぼーっとするなどの症状が出て、集中力が低下することがあります。この場合も、スポーツ飲料や経口補水液、味噌汁などを少量ずつ摂取することで改善が期待できます。もし頭痛が強くなる、意識がもうろうとするなどの症状がある場合には、脳神経内科を受診しましょう。

筋肉の痙攣・脱力感

大量の汗をかいた後などには、ナトリウム不足によって筋肉がつったり、全身に力が入りにくくなることがあります。この場合には、経口補水液やスポーツ飲料で水分と塩分を補給し、痙攣している部位のストレッチを行い、筋肉を冷やさないようにします。けいれんが続いたり、飲み込めない、話せないといった症状が出る場合には救急外来を受診してください。

食欲不振・吐き気

ナトリウム不足によって自律神経が乱れ、胃腸の働きが鈍くなることで、食欲不振や吐き気が起こることがあります。温かい味噌汁やスープなど、塩分と水分、その他の栄養素を一緒に摂取することが望ましいです。水分すら受け付けない、数日間症状が続く場合には消化器内科や内科を受診してください。

意識の混濁・痙攣・昏睡

血中ナトリウムが著しく低下(120mEq/L以下)した場合には、意識が混濁し、痙攣や昏睡など命に関わる重篤な症状が起こります。この場合には自己判断せず、救急車を呼ぶ必要があります。受診時には服薬状況や水分摂取状況を医療機関に伝えるとよいでしょう。

【高齢者】ナトリウムが不足すると現れる症状

【高齢者】ナトリウムが不足すると現れる症状

高齢者は内臓機能が低下しており、電解質のバランスに影響を受けやすい傾向があります。さらに心不全などで利尿剤を服用していることも多く、不足に陥りやすい点が特徴です。

意識障害(錯乱、昏迷、昏睡)

初期には軽度の疲労感や反応の鈍さが見られますが、進行すると意識障害に至る可能性があります。認知症と症状が似ており、発見が遅れやすいのも注意点です。対処としては経口補水液などで水分とナトリウムを補うことですが、意識が低下している場合には無理に飲ませてはいけません。症状が進行した場合は内科、腎臓内科、内分泌科を受診し、重症であれば救急搬送が必要です。

筋肉の痙攣やけいれん発作

高齢者ではナトリウム不足により筋肉のひきつりやけいれん発作が起こることがあります。この場合は経口補水液の摂取が有効です。同時に安全な場所に移動して転倒を防ぐことが大切です。重症化した場合は昏睡など命に関わる危険があるため、救急外来や救急搬送が必要です。

頭痛・吐き気・嘔吐

頭痛や吐き気、倦怠感、元気がないなどの症状が見られることもあります。熱中症や脱水症状と関連していることも多いです。対処としては経口補水液や味噌汁などを少量ずつ摂取することが望ましいです。症状が長引く場合には内科、腎臓内科、内分泌科の受診が推奨されます。

「ナトリウムが不足すると現れる症状」についてよくある質問

「ナトリウムが不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまでナトリウムが不足すると現れる症状について紹介しました。ここでは「ナトリウムが不足すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ナトリウムが不足する原因について教えてください。

衞藤 しおり衞藤 しおり

激しい嘔吐や下痢によりナトリウムが失われたとき、水だけを補給すると、血中のナトリウム濃度は更に低下します。
また、腎臓疾患や肝硬変、心不全などの状態では、ナトリウムと水分が体内に過剰に蓄積されますが、多くの場合、水分保持の作用が強く働くため、結果的に血中ナトリウム濃度が低下しやすくなります。更に、サイアザイド系利尿薬を服用している場合も、ナトリウム排泄が促進されることでナトリウム不足を招くことがあります。通常は軽微な影響に留まりますが、高齢者や元々ナトリウム濃度が低下しやすい人では、特に注意が必要です。

まとめ

夏場の脱水時や、高齢者・持病のある方は、知らないうちにナトリウム不足に陥ることがあります。また、健康な人でも水を過剰に摂りすぎると血中ナトリウム濃度が薄まってしまい、体調不良を招くことがあります。一方、塩分だけを補っても、水分が不足していると、血圧上昇などの心血管系の負担が強まる可能性があります。塩分と水分を適切なバランスで補給することが、効果的にナトリウム不足を防ぐポイントです。ナトリウムを調整してくれる他の栄養素や水分も意識しながら、体調や天候、年齢に応じて、バランス良くナトリウムを摂取して日々の健康維持に役立てていきましょう。

「ナトリウム」と関連する病気

「ナトリウム」と関連する病気は10個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

神経・内分泌系の病気

  • SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)
  • 副腎不全(アジソン病など)

腎・泌尿器科系の病気

  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 腎性ナトリウム喪失症

消化器系の病気

「ナトリウム」と関連する症状

「ナトリウム」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 脱力感
  • 食欲不振
  • 頭痛
  • 目まい
  • 意識混濁
  • 痙攣
  • 集中力の低下(特に高齢者)

この記事の監修管理栄養士