「炭水化物が不足すると現れる症状」はご存知ですか?管理栄養士が解説!

炭水化物が不足すると現れる症状とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「炭水化物が不足すると現れる5つの症状」はご存知ですか?管理栄養士が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修管理栄養士:
寺下 博美(管理栄養士)
東京糖尿病療養指導士、食事アレルギー分野管理栄養士、フレイルサポート栄養士、東京JDA-DATスタッフ、終末期ケア専門士、フードコーディネーター
目次 -INDEX-
「炭水化物」とは?

炭水化物は、脂質、タンパク質とともに三大栄養素のひとつで、脳や体を動かすといった主にエネルギー源として利用される大切な栄養素です。体内の消化酵素で消化できる「糖質」と、消化されない「食物繊維」から構成されています。
炭水化物の一日の摂取量

炭水化物の摂取量は、総エネルギー摂取量の50~65%が推奨されています。(例:1日の必要エネルギーが2000kcalなら、炭水化物は2000kcal中1000~1300kcal分になりますので、約250~325gとなります。)
炭水化物の効果

エネルギー源
炭水化物は、1gあたり4kcalのエネルギーを供給する、体の主要なエネルギー源です。特に脳や神経系、筋肉の動きにはブドウ糖が必要不可欠です。炭水化物が不足すると、一時的に集中力が低下したり、ぼんやりすることがあります。
疲労回復
運動後や活動後に炭水化物を摂取すると、消費したグリコーゲン(筋肉や肝臓に蓄えられるエネルギー)が補充され、疲労回復しやすくなります。
炭水化物が不足すると現れる症状

エネルギー不足
炭水化物は、脳と体の主なエネルギー源なので、不足するとすぐに影響が出ます。疲れやすい、だるさが続く、集中力の低下、頭がぼーっとする、めまいや立ちくらみ、眠くなるなどの症状が現れます。
筋力の低下
炭水化物が不足し、エネルギーが欠乏すると、体は筋肉を分解してエネルギーを作ろうとするため、筋力が低下し、筋肉が落ちやすくなる、運動しても力が出ない、筋肉痛が長引くなどの症状が現れます。
イライラや気分の落ち込み
炭水化物が不足すると、脳内のセロトニンの分泌が減ります。セロトニンは心のバランスを整える役割を持つ物質であり、不足するとイライラや気分の落ち込みにつながりやすくなります。
便秘や消化不良
炭水化物の中でも、食物繊維が豊富なもの(玄米、オートミール、野菜など)が不足すると、腸内環境が悪化しやすくなり、便秘になりやすい、お腹の張りが気になるなどの症状が現れます。
ケトン体増加による体調不良
極端に炭水化物を減らすと、体が脂肪を分解してケトン体と言う物質を作るようになります。健康な人でも極端な糖質制限でケトン体が増えることはありますが、通常は適応します。ただし、過度の場合や持病がある場合はケトアシドーシスに注意が必要です。ケトアシドーシスになると、口臭が強くなる(アセトン臭)、吐き気や頭痛がする、脱水症状が出るなどの症状が現れます。
「炭水化物が不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまで炭水化物が不足すると現れる症状について紹介しました。ここでは「炭水化物が不足すると現れる症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
食事の際に白米を摂取しないと、どんなデメリットがありますか?
寺下 博美
白米を食べないとエネルギー不足や集中力低下、筋肉量の減少につながることがあります。また、満足感が得にくくなり、間食が増える可能性も。さらに、炭水化物を極端に減らすとビタミンB群や食物繊維が不足しやすくなります。白米を抜く際は、玄米や雑穀、さつまいもなど栄養価の高い代替食品を取り入れることが大切です。
お米の代わりになる主食について教えてください。
寺下 博美
玄米、全粒粉パン、ライ麦パン、雑穀パン、オートミールは白米に比べて食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、血糖値の上昇を抑えます。特に玄米やオートミールは腹持ちが良く、たんぱく質も含まれています。全粒粉やライ麦、雑穀入りパンは栄養バランスに優れ、腸内環境の改善にも効果的です。これらの食材を、お米の代わりに主食として取り入れることで、健康的な代替食品となり、栄養バランスを維持することができます。また、ビタミンB1や食物繊維も同時に取ることができ効率的です。
編集部まとめ
炭水化物が不足すると、疲れやすくなったり、イライラや集中力の低下などの不調が起こることがあります。極端な糖質制限は体調を崩す原因になるため注意が必要です。ごはんやパンを抜くと、代わりにお菓子や脂質が増えがちになります。それなら「質の良い炭水化物」をしっかり取った方が健康的です。白米より玄米や全粒粉パン、雑穀パンなどを選ぶとビタミンB1や食物繊維も効率よく取れ、腸内環境の改善にも効果的であり、栄養バランスも優れています。また、野菜やキノコと一緒に食べると血糖値の上昇も穏やかになります。さつまいもやじゃがいもなどの芋類は、糖質が多めではありますが、ビタミンCや食物繊維が豊富です。適量を意識しながら、上手に食事に取り入れましょう。炭水化物は、体と心の調子を整えるうえで欠かせない栄養素です。抜くのではなく、「良い炭水化物」を「バランスよく」取り入れることが、健康的な体づくりの近道です。
「炭水化物」と関連する病気
「炭水化物」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
炭水化物の摂りすぎで起こる病気
- 糖尿病(2型、糖尿病)
- 肥満
- メタボリックシンドローム
- 脂肪肝
- 虫歯、歯周病
- 高血圧
- 動脈硬化
炭水化物が不足すると起こる病気
- 低血糖症
- ケトアシドーシス
- サルコペニア
「炭水化物」と関連する症状
「炭水化物」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 眠気、だるさ
- 体重増加、浮腫
- 胃腸の不調
- めまい、ふらつき、冷や汗、動悸
- 集中力の低下、ぼーっとする
- 強い空腹感、手の震え
- 疲れやすい、体が重い
- 運動するとすぐにバテる
- 筋肉が落ちやすい
- 頭が締め付けられるような痛み
- イライラしやすい
- 気分の浮き沈みが激しい
- 集中できない
- 仕事や勉強がはかどらない