「タウリンを多く含む3つの食品」はご存知ですか?【管理栄養士監修】

タウリンを多く含む食品やタウリン不足を解消する方法とは?Medical DOC監修医が解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「タウリンが不足すると現れる症状」はご存知ですか?タウリンが多い食品も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修管理栄養士:
武井 香七(管理栄養士)
保有免許・資格
管理栄養士資格
目次 -INDEX-
「タウリン」とは?

タウリンは、たんぱく質を作るアミノ酸の一種で、栄養ドリンクや粉ミルクなどにも使われている成分です。
多くの動植物に存在していますが、植物では少なく牡蠣やタコ、鰹(かつお)などの魚介類に多く含まれています。
タウリンは、人間のほぼ全身の細胞に分布しており、脳・心臓・肝臓・腎臓・筋肉・網膜などに多く含まれているのが特徴です。
また、体内に含まれるタウリンの合計量は、体重の0.1%相当とされています。体内でも作られますが、加齢とともに減少する傾向にあります。
タウリンの一日の摂取量

一日の摂取量の目安は、500mg程度とされています。摂取しすぎた分は体外に出されるため、特に上限値は決まっていませんが、過剰摂取は控えるようにしましょう。
タウリンの効果

運動パフォーマンスの向上
タウリンの長期的な摂取で運動パフォーマンスの向上が期待されます。一時的にタウリンを摂取すると血液中のタウリン濃度は増加しますが、運動パフォーマンスの向上にはつながりにくいです。具体的な投与期間や投与量は定まっていません。また、血中ではなく骨格筋のタウリン濃度が高いと運動パフォーマンスの向上には寄与しやすいです。
筋力維持
タウリンの摂取量が多いと筋力の増加や維持に貢献する可能性があります。報告されている研究では、食事によるタウリン摂取が多いケースで膝伸展筋力が増加しています。膝伸展筋力は、下肢の筋力低下を評価する大切な指標の1つです。65歳以上の方ではタウリンの摂取量に関わらず、膝伸展筋力は低下傾向にあります。ただし、タウリンの摂取量が多い方では筋力の減少幅が少なく、筋力が維持されやすいです。
皮膚の恒常性維持
タウリンは皮膚のバリア機能を増強させる可能性があるため、皮膚の恒常性の維持にも作用するでしょう。皮膚のタウリン量は年齢や紫外線の影響で減少しやすく、しわの発生や皮膚の水分量の減少と関連があるとされています。タウリンが皮膚の水分減少を抑制し、皮膚のバリア機能を担っている成分の合成を促進させます。また、保湿を担うヒアルロン酸の合成も促進するため、しわの抑制にも効果が期待されるでしょう。
循環器疾患のリスク低減
食事でのタウリン摂取が多いと、循環器疾患になるリスクが低減するでしょう。タウリンの摂取量が多い方では、血圧や血中コレステロール、BMIの値が低値になりやすい傾向にあります。動物実験では、タウリンの摂取で体重の増加が抑制されたり脂肪量が低下したりしています。安静時の酸素消費量が増え、基礎代謝を上げることで、体脂肪の蓄積を抑えたと考えられるでしょう。
タウリンを多く含む食品

牡蠣
牡蠣は海のミルクと呼ばれる程に栄養価が高い食材です。冬から春にうまみ成分のグリコーゲンの量が増えるため、冬が旬になります。生の牡蠣にはタウリンが多く、殻付きの方がむき身よりも2倍程多く含まれています。牡蠣鍋や牡蠣ご飯にして食べると、タウリンもしっかり取れておいしくいただけるでしょう。
鰹
熱帯から温帯域に生息している回遊魚です。腹側に青色の縞模様が入っています。血合いの多い身には、白身よりも5〜10倍のタウリンが含まれています。タウリンは水に溶けやすいため、缶詰や刺身などで食べるとよいでしょう。
鶏もも肉
個体差はありますが、鶏もも肉では100g中に平均して270mgのタウリンが含まれています。豚肉や牛肉にも100g中に平均して20〜30mgのタウリンが含まれています。手羽肉では100g中に97mg、胸肉は28mgと部位によっても異なるため、肉類でタウリンを多く摂取したい際には鶏もも肉がおすすめです。
タウリン不足を解消する方法

タウリンを多く含む食品の摂取
タウリンが多い食品には、牡蠣・はまぐり・あさり・たこ・いか・サザエ・ホタテ・かつお・車エビなどの魚介類が挙げられます。肉類にも含まれていますが、魚介類の方がタウリンの量が多い傾向にあります。
タウリンと一緒に摂取すると効果を高める栄養素・食品
タウリンは水溶性のため、煮込み料理や鍋、味噌汁やスープなど汁ごと食べられる調理法がおすすめです。加熱によってタウリンは分解されたり煮汁に溶けたりするため、食材自体のタウリン量は減少します。また、魚介類には天然の塩分が含まれているため、味付けには注意して食べるようにしましょう。
タウリンの効果を高める摂取タイミング
運動前にタウリンを摂取すると、筋持久力が高まるため、持久的運動のパフォーマンスが向上しやすいでしょう。また、運動後のタウリン摂取では、筋グリコーゲンの回復が促進されます。筋グリコーゲンは、筋肉に蓄積しているグリコーゲンのことです。体内にあるグリコーゲンの8割程に該当し、筋肉が収縮する際に必要なエネルギーです。運動後にタウリンを摂取すると、脂肪は分解を進め、糖質はエネルギーとしての利用を抑えて筋グリコーゲンの量が増加されます。
「タウリンが不足すると現れる症状」についてよくある質問

ここまでタウリンが不足すると現れる症状を紹介しました。ここでは「タウリンが不足すると現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
タウリンは毎日摂取した方がいいのでしょうか?
武井 香七 医師
タウリンは毎日摂取することが推奨されます。研究では、1日あたりのタウリン摂取量が多い40〜64歳の方では、摂取量が低い方よりも膝伸展筋力の変化量が大きいことがわかりました。また、65歳以上の方では、1日あたりのタウリンの摂取量が多いと筋力が維持されるという結果が出ています。1食でも魚介類を取り入れると、タウリンも毎日摂取しやすいでしょう。
タウリンは神経にどのような効果をもたらしますか?
武井 香七 医師
タウリンには、神経の興奮を鎮める働きがあります。ストレスを受けた際に生じるノルアドレナリンやアドレナリンが低減したとの報告があります。また、神経細胞の発達や浸透圧の調整も行っており、神経の興奮を抑えるGABAとは異なる作用をするのも特徴です。
編集部まとめ
タウリンは、筋肉や心臓などの臓器や血中に存在するアミノ酸の一種です。体内での合成や食事の摂取で体内のタウリンの量は維持されています。
タウリンには、運動パフォーマンスの向上や筋力維持などの作用が期待されます。ただし、不足すると体力や筋力の低下・コレステロールの代謝低下などが考えられるでしょう。
タウリンは魚介類に多く含まれています。年齢を重ねて筋力や体力の低下が気になる際には、魚介類の摂取を増やしてみるとよいかもしれません。
「タウリンが不足すると現れる症状」と関連する病気
「タウリンが不足すると現れる症状」と関連する病気は3個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
病気
- サルコペニア
- 筋ジストロフィー
- ミトコンドリア病
「タウリンが不足すると現れる症状」と関連する症状
「タウリンが不足すると現れる症状」と関連している、似ている症状は3個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 疲れやすい
- しわが増える
- 太りやすい