「骨粗しょう症」の裏に隠れた病気? 原発性副甲状腺機能亢進症の原因と症状とは【医師解説】

若年性の骨粗しょう症や尿路結石を繰り返すなどの場合は、もしかしたら原発性副甲状腺機能亢進症かもしれません。聞き慣れない病名かもしれませんが、放置すると様々な合併症を引き起こすことも。そこで原発性副甲状腺機能亢進症の原因と症状について、ハートメディカルクリニックGeN横浜綱島の中口先生にメディカルドック編集部が詳しく話を聞きました。

監修医師:
中口 裕達(ハートメディカルクリニックGeN横浜綱島)
編集部
原因はなんですか?
中口先生
原発性副甲状腺機能亢進症の主な原因は、副甲状腺にできる「良性の腺腫」です。8割以上の症例では、4つある副甲状腺のうち1つに腺腫ができることで副甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、高カルシウム血症を引き起こします。次に多い原因は、副甲状腺のすべてが大きくなる「副甲状腺過形成」で、これは特に遺伝性の疾患として発症することがあります。極めてまれですが、副甲状腺のがんが原因で副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるケースもあります。この場合は、通常の腺腫よりもさらに高いカルシウム値を示し、病状が進行しやすい傾向があります。
編集部
どのような症状が見られますか?
中口先生
軽症のうちは自覚症状がほとんどないことが多いですが、病気が進行するとさまざまな臓器に影響を及ぼします。骨に関しては骨密度が低下し、骨粗しょう症を引き起こしやすくなります。特に、脊椎や大腿骨といった部位の骨折リスクが高くなるため、注意が必要です。
編集部
そのほかの臓器ではどうでしょうか?
中口先生
腎臓に関しては、血中のカルシウムが過剰になることで腎結石が発生しやすくなります。結石が大きくなると、激しい腰痛や血尿を伴うことがあり、繰り返すことで腎機能が低下することもあります。また、高カルシウム血症により、口の渇きや多尿といった症状が現れることもあります。消化器症状としては、食欲不振や便秘、胃潰瘍のリスクが高まることも知られています。
編集部
さまざまな症状が見られるのですね。
中口先生
はい。極めて高いカルシウム値となると、意識障害や錯乱状態を引き起こすこともあり、早急な対応が必要になります。このように、原発性副甲状腺機能亢進症は、全身にさまざまな症状を引き起こす病気です。
編集部
診断にはどのような検査が必要ですか?
中口先生
まず血液検査をおこない、血清カルシウム濃度が基準値を超えているかどうかを確認します。通常、血中カルシウムが高い場合にはPTHの分泌が抑制されるはずです。しかし、原発性副甲状腺機能亢進症では、カルシウムが高値であるにもかかわらずPTHが正常または高値を示すのが特徴です。また尿検査も重要で、特に家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症という遺伝性疾患との鑑別のために、尿中のカルシウム排泄量を測定します。
編集部
そのほか、必要な検査はありますか?
中口先生
画像検査としては、頸部超音波検査や、99mTc-MIBIシンチグラムを用いた核医学検査、CTやMRIによる評価がおこなわれ、異常をきたしている副甲状腺の部位を特定します。さらに、骨密度測定をおこない、骨粗しょう症の有無を確認し、腎臓結石の有無を調べるために腹部超音波検査をおこなうこともあります。
※この記事はメディカルドックにて<「副甲状腺」の異常により尿路結石や骨粗しょう症をきたす疾患があるのをご存じですか?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
