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突然死のリスクも!「肥大型心筋症」の原因と診断方法を医師が解説

 公開日:2025/12/11
肥大型心筋症とは?

肥大型心筋症は、心臓を構成する筋肉が過度に厚くなる疾患です。決して珍しい疾患ではなく、日本でも比較的多く見られますが、突然死のリスクがあることはあまり知られていないかもしれません。どんな疾患なのか、ハートメディカルクリニックGeN横浜綱島の源河先生にメディカルドック編集部が詳しく聞きました。

源河 朝広

監修医師
源河 朝広(ハートメディカルクリニックGeN横浜綱島)

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東海大学医学部在籍6年次にニューヨーク医科大学へ公式留学。東海大学医学部卒業。沖縄県立中部病院ハワイ大学臨床研修プログラム修了。沖縄県立宮古病院内科勤務、東海大学大学院医学研究科修了、医学博士号取得、東海大学医学部循環器内科講師(本院、大磯病院、東京病院、八王子病院の各付属病院に勤務)、恵寿総合病院心臓血管センターセンター長、済生会川口総合病院循環器内科部長、横浜旭中央総合病院循環器内科部長などを経て現職。医学博士、日本内科学会認定医 、日本循環器学会専門医。

編集部編集部

肥大型心筋症とはなんですか?

源河 朝広先生源河先生

遺伝的な原因などにより、心臓を構成する筋肉が過度に厚くなる疾患のことをいいます。世界では約500人に1人が発症すると考えられており、日本でも珍しい疾患ではありません。厚くなった心筋が、心臓から血液を送り出す働きを妨げることで、心不全や不整脈、まれに突然死を引き起こします。特に左心室の壁が極端に厚くなることが多く、家族内での遺伝性が注目される疾患です。

編集部編集部

心臓肥大と肥大型心筋症はどう違うのでしょうか?

源河 朝広先生源河先生

「心臓肥大」は、高血圧や激しい運動を長く続けることで、心臓の壁が厚くなった状態を総称する言葉です。一方、肥大型心筋症は主に遺伝的な要因によって心臓の筋肉(特に左心室)が病的に厚くなり、血液の流れがスムーズにいかなくなる疾患のこと。レントゲン検査などで「心臓肥大」と言われても、必ずしも肥大型心筋症とは限りません。確定診断には、心エコー(超音波)や心臓MRIを使って、心臓の壁の厚みや血液の通り道がどれくらい狭くなっているかを調べることが必要です。

編集部編集部

肥大型心筋症の原因は何ですか?

源河 朝広先生源河先生

肥大型心筋症は遺伝性が指摘されており、親から子へ受け継がれる場合が多いとされています。ただし、家族にまったく罹患者がいない“散発例”もあり、原因遺伝子がはっきりしないケースも存在します。遺伝子が変化していると、心臓を動かすタンパク質の働きが異常をきたし、筋肉の繊維が過度に発達して厚くなると考えられます。なお、高血圧などの生活習慣病でも心臓が肥大しますが、肥大型心筋症のように壁の一部分が極端に厚くなるタイプとは区別されます。

編集部編集部

どのような検査を受ければ正確に診断できますか?

源河 朝広先生源河先生

診断にはまず、心エコー検査が基本となります。これによって、心臓の壁がどれくらい厚くなっているか、血液の流れがスムーズかを手軽に確認できます。さらに心電図やホルター心電図(24時間心電図)を用い、脈の乱れが起こっていないかを調べます。そのほか、心臓MRIは心臓の構造をより細かく映し出せるため、壁の厚みや線維化(筋肉が硬くなる現象)の程度を把握しやすい利点があります。症状が強い方や手術を検討している方などは、心臓カテーテル検査を行って、心臓内部の圧力や冠動脈(心臓の筋肉に血液を送っている血管)の状態を詳しく調べることもあります。家族性が疑われる場合は、遺伝子検査で原因遺伝子の有無を確認する場合もあります。

※この記事はメディカルドックにて<突然死の恐れもある「肥大型心筋症」をご存じですか? 放置するとどうなる?【医師解説】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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