AI内視鏡検査の普及が予測される将来とは? 医師のサポート役としての役割と期待される精度【医師解説】

内視鏡検査はがんなどの病気を早期発見するのに、非常に役立つ検査です。特に、現在では「AI内視鏡検査」という非常に精度が高い検査も登場しています。今回は、「名古屋むらもと内視鏡クリニック栄院」の村元先生に、AI内視鏡検査の普及が期待される将来について、教えていただきました。

監修医師:
村元 喬(名古屋むらもと内視鏡クリニック 栄院)
編集部
今後はAI内視鏡検査の普及が期待されそうですね。
村元先生
はい、そう思います。現在はまだ一部の医療機関しかこのシステムを導入していませんが、今後はさらに普及すると思います。
編集部
医師が介入せず、AIだけで検査をおこなうということもあり得るのでしょうか?
村元先生
いいえ、現在のAI内視鏡検査はあくまでも医師のサポートであり、医師による内視鏡検査に勝るものではありません。実際、AI内視鏡の技術は医師が一つひとつディープラーニングさせた結果であり、AI技術は医師の技術を凌ぐものではないのです。そのため、検査の主体はあくまでも医師であり、AI技術はそれを補助するものという位置付けは変わらないと思います。
編集部
検査をおこなうのは医師であり、AIはその補助ということですね。
村元先生
AI内視鏡検査は「自動車に備わっている自動ブレーキのシステムと同じ」ということを患者さんに説明しています。一部の自動車には自動ブレーキが備わっていますが、運転しているときにいつも自動ブレーキを使うのではなく、普段は自分の足でブレーキを踏み、何かあったときの補助手段として自動ブレーキが役立っています。AIを使った内視鏡検査もこれと同じで、あくまでも検査を主導するのは医師であり、医師が見逃しているかもしれないものを拾い上げたり、どちらか判断に迷うものを正確に診断してくれたりするのにAIが一役買っています。
編集部
AIのサポートを受けながら人間が内視鏡検査を受けることで、ますます精度が上がるのですね。
村元先生
はい。人間と違い、AIにはどのようなときでも、一定の結果を出すことができるという特徴があります。人間であれば疲労や体調不良によって診断ミスは起こり得ますが、AIにはそのようなことがありません。また、医師がおこなう内視鏡検査は、医師の技量に左右される面がありますが、AI内視鏡検査は誰が操作しても同様の精度が得られます。そのため、今後は医師がAIのサポートを受けながら内視鏡検査をおこなうスタイルが普及するのではないかと予測されます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
村元先生
大腸や胃の内視鏡検査を受けるとき、患者さんが迷われるのは「どの病院で受けるか?」ということだと思います。しかし、従来の内視鏡検査は医師の技量や経験に基づくため、経験豊富な医師とそうでない医師の間に格差が生じてしまうのは当然でしょう。しかも、どの医師が経験豊富で、内視鏡検査の精度が高いかということは、医療機関のウェブサイトだけではわかりません。その点、AI内視鏡検査を導入している医療機関であれば、どこで検査を受けても一定水準以上の結果が期待できますし、AI内視鏡検査を導入していることは医療機関のウェブサイトなどにも明記されていると思います。どこで検査を受けようか迷った時には、ぜひ、そうした情報を参考にしていただきたいと思います。
※この記事はメディカルドックにて<「内視鏡検査」にもAIを使う時代に!? 検査を受ける側が気になる正確性・安全性を医師に問う>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




