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吸入薬を使う前に確認したい! 吸入薬を使う際よくある間違いと正しい使い方とは?【医師解説】

 公開日:2025/12/10

喘息の治療で多く用いられるのが吸入薬。子どもでも簡単に使用できるとして、多くの患者に処方されていますが、実は吸入薬の効果を発揮するには正しい使い方が重要です。吸入薬を使う際よくある間違いについて、ふかさわ呼吸器・消化器内科クリニック院長の蛸井(たこい)先生に聞きました。

蛸井 浩行

監修医師
蛸井 浩行(ふかさわ呼吸器・消化器内科クリニック)

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2006年日本医科大学を卒業。同大学付属病院および千葉北総病院で呼吸器内科全般の研鑽を積み、茨城東病院で結核や非結核性抗酸菌症等の感染症診療にも従事。日本医科大学大学院で感染症研究により博士号を取得する。東京医科大学病院で講師を務め、湘南鎌倉総合病院を経て2024年ふかさわ呼吸器・消化器内科クリニック院長に。「呼吸器と内科の診療で、鎌倉の地域に貢献する」がモットー。

編集部編集部

吸入薬を使う際、どんな間違いが多いのでしょうか?

蛸井 浩行先生蛸井先生

たとえば、吸入器を操作し、カチッと音が鳴ったら吸入口に薬がセットされるタイプの場合、カチッと音が鳴っていないのに吸入してしまうケースがあります。その場合は正しく薬が吸えていないことになります。吸入器は、説明などをよく読み正しく使用するようにしましょう。

編集部編集部

ほかにもよくあるミスはありますか?

蛸井 浩行先生蛸井先生

薬剤の残量がメーターで表示されるタイプで、残量がゼロとなっていても吸入器を振るとシャカシャカ音がするものもあります。そのため、「まだ薬が残っている」と勘違いして、使い続ける方もいらっしゃるのですが、それは乾燥剤の音がしているだけです。残量がゼロとなったらもう使うことはできないので、必ず新しい薬剤を使うようにしてください。

編集部編集部

いろいろなミスが起きているのですね。

蛸井 浩行先生蛸井先生

はい。それからカプセルを潰してから吸入するタイプの薬がありますが、稀にカプセルごと飲んでしまう患者さんもいらっしゃいます。特にご高齢の方や認知症の方に多いミスです。このような場合には、できるだけご家族が付き添って、吸入薬の使用をサポートしてあげるなど、配慮することをお勧めします。また、1日1回の使用で良い薬剤もありますから、ご家族の負担を考え、服用回数の少ない薬剤に変更することも良いでしょう。

編集部編集部

吸入薬を使う際の注意点はありますか?

蛸井 浩行先生蛸井先生

ステロイドの入った薬剤を使う場合、吸入後は必ずうがいをして、のどや口に残った薬剤を洗い流してください。薬剤が残ると声がれ、まれにのどや口にカビが生えるなどの原因になることがあります。

編集部編集部

吸入薬を正しく使うにはコツが必要なのですね。

蛸井 浩行先生蛸井先生

はい。薬局で薬を処方してもらうとき、薬剤師が使用法を指導してくれる場合があると思います。その時に話をしっかり聞いて、正しい使い方を学ぶことをお勧めします。また、日本喘息学会のホームページには吸入器ごとの詳しい吸い方が動画で掲載されているので、とても参考になります。ぜひ視聴をお勧めします。

https://jasweb.or.jp/movie.html

編集部編集部

喘息は、誰でも発症する可能性があるのですか?

蛸井 浩行先生蛸井先生

「喘息は子どもの病気」というイメージを持っている方もいらっしゃるかと思いますが、実際は大人になって発症することも多いですし、70~80代で発症する方もいます。喘息を発症したら吸入薬を正しく使って症状を抑えることも必要ですが、たとえば「風邪をひかない」「禁煙をする」「ハウスダスト対策をする」といったことで悪化を予防することもできます。こうしたことに気をつけながら、上手に喘息をコントロールしてほしいと思います。

編集部編集部

最後に読者へのメッセージがあれば。

蛸井 浩行先生蛸井先生

よく患者さんに「喘息は山火事、吸入薬は消火剤」とお話しています。山火事は鎮火したように見えても、少しでもくすぶっている火があると、再び火の勢いが強くなり、あっという間に大火になってしまいます。喘息もこれと同じです。「症状が良くなったので、もう吸入薬は不要」と思っても、気道ではまだ炎症が続いているかもしれません。そのタイミングで服薬を中断すると、徐々に炎症がひどくなり、症状が悪化してしまうこともあります。ですから、症状がなくなっても医師の指示があれば通院を継続すること。症状がしばらく安定していれば医師と相談しながら少しずつ減薬し、服薬を終了するタイミングを見定めてもらうこともできます。

※この記事はメディカルドックにて<吸入薬の効果引き出す3つのポイント&吸入薬でよくある間違い3選【喘息治療】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

この記事の監修医師