将来の認知症リスクを高めている! 睡眠時無呼吸症候群のリスクと治療法【医師が解説】

糖尿病や高血圧など、さまざまな生活習慣病と深いつながりを持っている「睡眠時無呼吸症候群」。つまり、眠っている間に呼吸が止まるこの疾患が及ぼす影響は、決して眠りの問題だけではないのです。そこで、放置することのリスクや治療法について、かつぬま内科クリニックの勝沼先生にメディカルドック編集部が聞きました。

監修医師:
勝沼 伸英(かつぬま内科クリニック)
編集部
睡眠時無呼吸症候群を放置することは危険なのですね。
勝沼先生
はい。生活習慣病だけでなく、高血圧などが原因となって動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすくなります。さらに最近では、睡眠時無呼吸症候群は認知症の発症リスクを高めることもわかっています。
編集部
睡眠時無呼吸症候群は治療することができるのですか?
勝沼先生
はい。原因にもよりますが、肥満により睡眠時無呼吸症候群となっている場合にはまず、減量することが必要です。食事に気を付ける、運動習慣を身につけるなど、軽症の場合には生活習慣の改善で症状の改善を期待することができます。また鼻炎が原因となっている場合には耳鼻科での治療が必要です。
編集部
それでも治らない場合には?
勝沼先生
たとえばマウスピースを装着することで空気の通り道が確保され、睡眠時に無呼吸となるのを防ぐことができる場合もあります。もっと重症の場合にはCPAP療法といって、睡眠時に特別な器具を装着して気道を広げる治療が必要になることもあります。いずれにしても放置するとどんどん合併症が悪化するリスクが高まりますから、早期に治療を開始することが必要です。
編集部
最後に、メディカルドック読者へのメッセージがあれば。
勝沼先生
「もしかして、睡眠時無呼吸かもしれない」と疑われる場合には、医療機関で検査を行うことになります。参考に当院においては、まず初めに行われる簡易検査として医療機器メーカーから自宅に送付されるキットを使います。このキットを装着して眠り、そのデータがメーカーにて解析されたのち医師のもとに届きます(医療機関によっては検査機器を貸し出す所もあります)。そして患者さんに来院していただき、ご説明します。もし睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと判断される場合には、睡眠専門クリニックにて泊まりがけの検査を行い、治療の必要性を判断します。「睡眠時無呼吸症候群かもしれない」という状態を放置すると、知らず知らずのうちに全身状態を悪化させてしまうこともあるので、早めに検査を受けることをおすすめします。
※この記事はメディカルドックにて<【危険】「糖尿病」に1.62倍なりやすい人が『寝ている間にやってしまっていること』>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




