「前立腺がん」には緑茶が良いって本当なの? リスク低下の真相とは?【医師解説】

緑茶を飲むことで前立腺がんのリスクが下がるという話を耳にしたことはありませんか? 緑茶が前立腺がんに効果があるという研究結果が発表され、注目が集まっています。しかし、実際にどのような効果があるのか、また誤解しやすいポイントはないのでしょうか? 緑茶と前立腺がんの関係について、「くぼたクリニック松戸五香」の窪田先生にお話を伺いました。

監修医師:
窪田 徹矢(くぼたクリニック松戸五香)
編集部
緑茶と前立腺がんの関係を頻繁に聞くようになってきましたが、確かな情報なのでしょうか?
窪田先生
「国立がん研究センター」が2019年の末、緑茶が前立腺がんに効果がある旨を発表しました。同発表によると、前立腺の外に広がる「進行がん」に限定してですが、緑茶を1日5杯以上飲むグループは、1日1杯未満しか飲まないグループと比べ、罹患(りかん)リスクが約50%低下したそうです。
編集部
緑茶のなにが、前立腺がんのリスクを下げているのでしょう?
窪田先生
おそらく、緑茶に含まれるカテキンが、がん細胞の「進行」を抑えているものと思われます。前立腺がんのステージはⅣ段階あり、このうちⅠとⅡは「限局がん」といわれ、がんが前立腺の中にとどまっている状態です。Ⅲはがんが前立腺の外側まで進んだ状態、Ⅳは転移を始めた状態です。同発表が着目しているのは、Ⅲ以上の「進行がん」ということですね。
編集部
えっ? すると、すでに前立腺がんが発症しているってことですよね?
窪田先生
そういうことです。緑茶と前立腺がんの発症との関係については、なにも触れていません。あくまで、「限局がん」から「進行がん」へ発展するリスクが低下したという報告です。なお、前立腺がんの患者さんのうち約7割は、「限局がん」でとどまっています。
編集部
先生は、この報告について、どうお考えですか?
窪田先生
緑茶を飲むと前立腺がんに“かかりにくい”のではありません。あくまで「進行」を抑える効果があるということです。ここは、誤解のないようにしておいてください。また、前立腺がんの患者さんの多くは、自分がどのステージなのか、把握していないと思います。ご自身の状況を把握しておかないと、情報として成り立たないでしょう。
※この記事はメディカルドックにて【「緑茶に前立腺がんの予防効果がある」って本当?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。