「前立腺がん」PSA値が高いとがん確定? 検診の流れと注意点を医師に聞く

前立腺がんは、早期に発見することで治療の選択肢が広がる病気です。前立腺がん検診では、血液検査で「PSA(前立腺特異抗原)」という数値を調べ、がんのリスクを評価します。「あらい泌尿器科」の新井先生に、前立腺がん検診の流れやPSA検査の役割について詳しく解説していただきました。

監修医師:
新井 学(あらい泌尿器科)
編集部
前立腺がんの検診では、どのようなことを行うのですか?
新井先生
血液検査を行い、PSAという数値を調べます。PSAの数値が高くなればなるほど、前立腺がんである確率も上がってきます。
編集部
PSAとはなんですか?
新井先生
「前立腺特異抗原(prostate-specific antigen)」の略語で、前立腺の上皮細胞から分泌されるタンパクのことを意味します。通常は精子のなかに含まれており、前立腺の組織が壊れていなければ、血液中に漏れ出ることはほとんどありません。しかし前立腺がんを発症すると、血液中のPSAの数値が高くなります。そのためPSAは前立腺がんを発見するための腫瘍マーカーとして用いられているのです。
編集部
PSAの数値が高いということは、「前立腺がんである」ということなのですか?
新井先生
いいえ、必ずしもそういうわけではありません。なぜならPSAは前立腺がんだけでなく、前立腺肥大症や前立腺炎などの病気があるとPSAが血液中に漏れ出し、血中のPSAの数値が高まるからです。
編集部
がんでなくてもPSAの数値が上昇することもあるのですね。
新井先生
はい、そもそもPSAは前立腺の正常な細胞でも作られているため、前立腺が肥大したり、炎症したりすると血液中に漏れて数値が上昇することがあるのです。ただし、がん細胞の方が効率よくたくさんのPSAを作るため、がんの疑いを示す腫瘍マーカーとして用いられています。
編集部
確実に前立腺がんかどうか見極めるには、どうしたら良いのですか?
新井先生
PSA検査は一次スクリーニングとして用いられ、PSA値が高い場合には前立腺MRI検査や直腸内触診、経直腸的超音波(エコー)検査などを行います。
※この記事はメディカルドックにて【「前立腺がん」と診断される基準はご存じですか? 検査の内容やPSA値を医師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。