花粉症は漢方薬で抑えられる? 具体的な診断方法や薬の処方について医師に聞く

花粉症の漢方の診断は、患者さんの症状や体質を丁寧に見極めることから始まります。全身の状態を多角的に分析し、「気虚」などの項目をもとにタイプを特定していくのが特徴です。今回は漢方の診断や治療方法について、「新井五行堂醫院」の新井先生に伺いました。

監修医師:
新井 紀元(新井五行堂醫院 院長)
編集部
漢方の具体的な診断方法について教えてください。
新井先生
じつは、60項目以上にわたる、細かな設問事項があるのです。たとえば、その中の「気虚(ききょ)」の欄なら、「全身に無力感がある」「息切れがしやすい」「物を言うのがおっくうに感じる」などです。もちろん、すべてを伺うわけではありませんが、患者さんに関係ありそうな設問から、「この患者さんは、こういうタイプであろう」という診断を付けていきます。
編集部
患者さんのタイプと症状がはっきりすれば、それに適した漢方薬が処方されると?
新井先生
そういうことです。ただし、初回の処方量は1〜2週間程度にしています。再受診していただいて、効き目がありそうなら継続して月単位で処方します。あまり効果が望めなかったら、二の手、三の手を検討します。
編集部
同じ花粉症でも、人によって漢方薬が異なるのですか?
新井先生
同じ鼻水でも透明でサラサラだったり、色が付いていてネバネバだったり、人によって異なりますよね。ですから、必ずしも万人に「同一」の漢方薬を処方するわけではありません。
編集部
なるほど、花粉症で「目のかゆみ」だけがひどい人もいますしね?
新井先生
そうなったら、全く別の漢方薬です。不思議なもので、目と陰部は経絡でつながっているのです。花粉症で目のかゆみを訴える患者さんに「陰部はどうですか」と伺うと、やはり「かゆい」という方がいらっしゃいます。東洋医学には、西洋医学に介入できない、独特の知見があります。
※この記事はメディカルドックにて【花粉症対策に漢方薬という発想! 西洋薬と比 べて、こんな利点があった】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。