「インフルエンザ」寝ているだけで症状が軽くなる? 健康な人の療養方法を医師に聞く
外出が不安な昨今、インフルエンザの初期症状が現れた際、どのように対応すればよいのでしょうか。効果的な休養法や寝汗の取り扱い、重症化を防ぐための具体的なポイントについて「ソージュ山下町内科クリニック」の中村先生にお聞きしました。
監修医師:
中村 蓉子(ソージュ山下町内科クリニック 院長)
東京医科歯科大学医学部医学科入学後、海外留学を経て、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程神経病理学分野入学、修了。東京医科歯科大学医学部附属病院や横浜市立みなと赤十字病院へ勤務後の2020年、神奈川県横浜市に「ソージュ山下町内科クリニック」開院。予防の観点から、定期的に相談できるかかりつけ医を目指している。医学博士。日本内科学会認定内科医、産業医、協力難病指定医。
編集部
とはいえ昨今、外出そのものが怖いです。
中村先生
日頃から元気で、持病などがない人なら、「かかりはじめの段階で、1日たっぷり寝ている」のも有効です。必ず受診が必要というわけではありません。他方、高齢者や持病をもっている人が「インフルエンザっぽいな」と感じたときは、まず、電話などでご相談ください。かかりつけ医がいれば、より的確な判断をしてもらえるはずです。
編集部
寝ているだけでいいんですか?
中村先生
趣旨としては、体のエネルギーを、インフルエンザウイルス退治に全集中させることです。休むとか安静にしているではなく、文字どおり寝ていただいて、余計なことに体力を使わないでください。食事も消化のよいものにして、胃腸でのエネルギーロスを最低限にしましょう。「お肉を食べて体力をつけよう」というのは、間違った発想ですね。
編集部
寝るのが効果的なのは、ウイルスの少ない間ですよね?
中村先生
諸症状がつらくて寝ているパターンもありえますし、そこは問いません。ですが、重症化を防ぎたかったら、早期の休養が欠かせないでしょう。早期ほど症状が少なく、「頑張れてしまう」ので、意識して取り組んでください。なお、市販薬で乗り切るという発想は、時代遅れの感すらあります。免疫力が下がっているため、新型コロナウイルスへの感染リスクも高まっているはずです。
編集部
ところで、寝汗ってかいた方がいいのですか?
中村先生
大前提として、汗でウイルスを体外へ出す効果は望めません。そのうえで、「発汗は熱が下がってきたことのサイン」と理解しましょう。ですから、寝汗を防ぐ必要はなく、むしろ寝汗による“汗冷え”を注意してください。下着や敷布などを、こまめに交換したいですね。とくにお子さんは寝汗をかきやすいので、注意深く見守ってあげてください。
※この記事はメディカルドックにて【インフルエンザにかかったとき、やるべきことは?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。