「うつ病」になりやすい人はどんな人? うつ病に多い3タイプを医師が解説!
うつ病になりやすい人には、いくつかのタイプがあることをご存知ですか?完璧主義者や八方美人タイプ、気分にムラがある人など、性格傾向やストレス要因が影響することも。さらに出産後の女性にも多く見られるこの病気について、「さぶりクリニック」の佐分先生に詳しく解説していただきました。
監修医師:
佐分 美代子(さぶりクリニック 院長)
広島大学医学部卒業。心療内科・精神科勤務を経た1998年、石川県金沢市に「さぶりクリニック」開院。薬物療法・精神療法のほか、治療の前段階にあたるカウンセリングも手掛けている。日本精神神経学会認定専門医。日本児童青年精神医学会会員。金沢市教育プラザ主催「こころの相談」相談員。
編集部
ズバリ、うつ病になりやすいタイプっているのでしょうか?
佐分先生
うつ病の場合、一般的な傾向として、「執着型器質」、「親和型器質」、「循環型器質」の3タイプに分類することができます。これに加え、「出産後の女性」に多くみられるようです。出産の前後はホルモンバランスが崩れますし、とくに初産の場合、はじめて経験することばかりでストレスを抱えてしまうでしょう。また、赤ちゃんの夜泣きなどに対応していると、生活リズムが崩れて睡眠不足に陥りがちです。
編集部
3タイプの解説もお願いします。まずは、「執着型器質」から。
佐分先生
まず、「執着型器質」ですが、わかりやすくいえば完璧主義者です。自己評価の観点が「0」か「100」しかないため、物事の優先順位を付けられず、全て「100」でこなそうとしてキャパオーバーになり、その結果、うつ病を引き起こしてしまいます。
編集部
「親和型器質」と「循環型器質」は、どうでしょうか?
佐分先生
「親和型器質」は、いわゆる八方美人タイプです。周囲と円満な関係を結ぼうとするあまり、他人の評価が気になりすぎる人が当てはまります。なんでも自分のせいにしたり、自分のせいだと思われているかどうかが気になったりする傾向にあります。最後の「循環型器質」ですが、気分屋さんで、親しみやすい反面、激しやすいのが特徴です。感情にムラがあり、自分を抑えつけられないタイプといえるでしょうか。病名でいうと、「双極性うつ病」のパターンになります。
編集部
うつは「病気」とされているのですよね?
佐分先生
はい。診断基準として多用されているのは、「DSM-5」というアメリカ精神医学会が発表しているマニュアルです。日本語訳が出版されていて、大枠はインターネットからでも入手できます。医師は、「DSM-5」の各要件を満たしているかどうかに加え、生活や仕事上の支障などが出ているかどうかもふまえ、複合的に鑑別していきます。
編集部
この基準を満たさない場合、うつ病の手前とみなされるわけですか?
佐分先生
病気とみなされない場合、「うつ傾向・うつ状態」という表現にとどめることが多いようです。なお、保険診療が認められるのは、「うつ病」と診断された場合に限ります。病気とみなされて初めて、薬の使用などが可能になるのです。
編集部
自分では、うつ病だと思っていても、診断の付かない場合もあるのでしょうか?
佐分先生
医師や患者さんによって差が生じる部分ですね。もし生活に支障が出ているのなら、診断基準を多少広げてでも「加療すべき」なのかもしれません。一方で、うつ病と診断されることがショックで、嫌がる人もいらっしゃいますよね。総じて医師は、その人が日常生活を送りやすくするためのお手伝いをいたします。「診断が付かない」イコール「なにも手だてを講じない」わけではありません。
※この記事はメディカルドックにて【うつ病になりやすい人は、どんな特徴があるの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。