お酒で性欲が高まる理由はご存じですか? 異性トラブルにも注意が必要なワケ
お酒を飲むと性欲が高まると感じる人は少なくありません。これはアルコールが神経伝達物質「ドーパミン」の分泌を促すためです。しかし、飲み過ぎるとアルコール依存症や性ホルモン分泌の低下、さらには異性とのトラブルに発展するリスクもあります。この記事では、飲酒と性欲の関係やその背景にあるメカニズム、さらに飲酒によるリスクとその対策について医師の中川先生が解説します。
監修医師:
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)
編集部
お酒を飲むと性欲が高まる気がします。一体、なぜでしょうか?
中川先生
たしかに、アルコールを摂取すると、一時的に性欲が高まるように感じる人は多いようです。これはアルコールが神経系に作用し、「ドーパミン」という神経伝達物質の分泌が促進されるからです。ドーパミンは「快楽物質」とも呼ばれ、心地よい感覚や報酬感を生じさせます。したがって、アルコールを飲むことでドーパミンが増え、気持ちが高揚し、性欲が高まるように感じやすくなるのです。
編集部
ドーパミンについて、もう少し詳しく教えてください。
中川先生
ドーパミンは主に中脳の特定の部位で生成され、脳の様々な領域に送られます。ドーパミンの主な役割としては、報酬・快楽の感覚、動機づけと欲求、注意と集中、運動制御などです。その中で、アルコール摂取と特に関わりが大きいのは、報酬・快楽の感覚です。アルコールの摂取によって快楽に関係するドーパミンが分泌されるため、アルコール摂取で快楽や幸福感を感じるとされています。
編集部
飲酒によってドーパミンを分泌させることによるリスクはありますか?
中川先生
(※1)東北大学「酒量が増える脳内メカニズムの解明」
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press20210218_01web_alc.pdf
編集部
リスクを避けるために気をつけた方がいいことはなんですか?
中川先生
飲酒によって性欲増大を感じる人は、異性とのトラブルに注意していただきたいと思います。アルコールには脱抑制作用があり、少量であればリラックス効果になりますが、多量になると気が大きくなったり他人との距離が近くなったりします。また、感情のコントロールが制御できなくなるなど、対人トラブルになり得る作用もあります。酔っている状態は判断力も低下しているため、様々なトラブルに巻き込まれる確率も上がるでしょう。お酒を飲む際は、節度を持って楽しみましょう。