高精度な大腸カメラ「拡大内視鏡」について医師が解説 従来の内視鏡検査と比べて何が変わる?
大腸カメラは、大腸がんやポリープなどを見つけるために有要な検査です。そんな大腸カメラの中でも、高精度を誇る「拡大内視鏡」についてご存知でしょうか。一体、従来の内視鏡検査と何が違うのか、東京内視鏡クリニックの工藤先生に伺いました。
監修医師:
工藤 豊樹(東京内視鏡クリニック)
編集部
「拡大内視鏡検査」「超拡大内視鏡検査」について教えてください。
工藤先生
どちらも、従来の内視鏡よりもさらに精度の高いカメラを使った検査です。拡大内視鏡は100倍、超拡大内視鏡だと520倍に拡大することができるので、大腸内視鏡検査よりさらに正確で高精度な診断ができます。ポリープが良性か悪性かの鑑別などは拡大内視鏡や超拡大内視鏡を使うことによって、かなりの精度をもって診断できます。
編集部
内視鏡検査時に分かるのはすごいですね。
工藤先生
最終的な診断は、ポリープを切除したあとの病理組織検査で判明しますが、拡大内視鏡や超拡大内視鏡を使えば、病理診断とほぼ同等レベルの診断精度が得られますので、ポリープなどの治療方針もその場で決定することができます。
編集部
そんなに細かく見てもらえると安心です。
工藤先生
たしかにしっかり拡大できるので、「病変が小さくてよく見えなかった」ということはありません。ただし、これらはポリープを発見できたときの話です。皆さんにお伝えしたいのは、大腸という臓器の特性上、内視鏡検査時にはどうしてもポリープ発見における「死角」ができてしまうということです。いくら拡大しても死角に病変があると、見つけられないというケースが実は少なくないのです。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
工藤先生
大腸の内部は、細かなヒダがたくさんあります。さらに「蠕(ぜん)動運動」といって、大腸全体がウネウネと動いているため、どうしても「死角」ができてしまうのです。ですから、拡大内視鏡や超拡大内視鏡は、ポリープを「発見」するための道具ではなく「診断」するための道具と言えると思います。そのため大腸ポリープを見逃さないために、普段から当院では「今、検査で異常なしであっても、大腸内視鏡検査は定期的に受けましょう」と言っています。
※この記事はMedical DOCにて【「大腸カメラ」の拡大内視鏡・超拡大内視鏡で「早期がん」診断ができる仕組み【医師解説】】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。