「リンパ浮腫の治療法」を医師が解説 「マッサージ」「保存療法」「手術療法」それぞれの特徴
「リンパ浮腫」になると、腕や足などがむくみ不快感を進行すると、皮膚が固くなったり関節が曲がりにくくなったりします。そのようにならないために、どのような治療が必要なのでしょうか。ソウクリニック四条烏丸の荘子先生に取材しました。
監修医師:
荘子 万理(ソウクリニック四条烏丸)
編集部
リンパ浮腫に対して自分でできるケアはありますか?
荘子先生
重い荷物を持ったり、長時間動き回ったりすると、リンパ浮腫が起きやすくなりますので、まずは無理をしない生活を心がけましょう。また、リンパ液の流れをよくすることで予防や改善が見込めるので、軽い運動で身体を動かす、マッサージをする等も効果的です。また、リンパ浮腫が起きている部分は、リンパ液の巡りが悪く皮膚が傷つきやすい状態になっています。皮膚を清潔にして保湿をすることで、皮膚に傷ができて病原体が入り込むことを防ぐことができますよ。
編集部
自分でケアしても治りにくい場合、病院で受けられる治療はどのようなものがありますか?
荘子先生
リンパ管の流れに沿って専門家が行う医療的なマッサージがあります。用手的リンパドレナージと呼ばれており、手でマッサージしながらリンパ液を残っているリンパ管の方に誘導することで、リンパ液の溜まりを改善する方法です。
編集部
リンパ浮腫の対策として「弾性ストッキング」というものを聞いたことがあります。詳しく教えてください。
荘子先生
弾性ストッキングは普通のストッキングよりも締め付けが強いもので、普段から履いておくことで浮腫を軽くしてくれます。医師に必要な書類を書いてもらい、領収書と一緒に健康保険組合に提出すると、3割の自己負担で購入できますので、ぜひ主治医に相談してみてください。
編集部
病院に行った方がいいのはどういう時ですか?
荘子先生
リンパ浮腫は、術後すぐに出る患者さんもいらっしゃれば、何年も経って現れる患者さんもいらっしゃいます。日頃から自分の身体をチェックし、「なんだかむくんでいる」と感じたら、がん治療の主治医に相談してください。リンパ浮腫は治りにくいとされていて、なるべく早めに見つけて治療を始めるのが大切です。 リンパ浮腫が起きている部分に傷口ができて腫れてきたり、熱を持ってきたりしたら、「蜂窩織炎」と呼ばれる状態になっている可能性が高いです。できるだけ速やかに医師の診察を受けましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
荘子先生
リンパ浮腫によって生活に支障が出て苦しむ患者さんを少しでも減らすため、私たち医師もがん治療の際には最大限配慮したり、予防のためのセルフケア方法をお伝えしたりするように心がけています。がん治療を受けた後で「いつもと違う気がする」と感じた時には、お気軽に主治医にご相談ください。
※この記事はMedical DOCにて【「リンパ浮腫」の原因・治療法を医師が解説 がん治療の後遺症で起こりやすいのはなぜ?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。