「大腸がん」の原因となる大腸ポリープ、日帰り手術できるって本当?
「大腸がん」の原因となる大腸ポリープは、日帰り手術できることをご存じですか? 日帰り手術の流れや術後の注意点についても「おうえケアとわクリニック」の麻植先生に解説していただきました。
監修医師:
麻植 一孝(おうえケアとわクリニック)
編集部
ポリープを切除する場合には、入院は必要ですか?
麻植先生
大腸カメラでの検査中にポリープが発見された場合、その場で切除する日帰り手術が可能です。大腸内視鏡検査では、検査中にポリープが発見された場合を想定して、検査前にポリープ切除の意向を確認させていただいています。その際にポリープ切除への同意が得られている場合には、検査時にポリープがあった場合、同時に切除を行います。また、患者さんの要望に応じて、検査と別の日にポリープの切除を行ったり、ポリープの個数が多い場合には、数回に分けて切除したりすることもあります。
編集部
日帰り手術の流れについて教えてください。
麻植先生
検査前に一度受診していただき、採血や心電図などの検査を行います。加えて、検査前日の食事についてや、検査当日に使用する鎮静剤や下剤の説明などを行います。検査当日は、下剤を内服して便を出していただきます。その後、点滴で麻酔薬を投与して検査を始めます。ポリープの数などにもよりますが、検査自体は30分〜1時間程度で終了です。検査終了後は鎮静剤が切れるまで院内で休んでいただき、検査時の画像を見ながら切除したポリープの数や検査結果などの説明をし、お帰りいただきます。検査後は1週間程度で検査結果の詳細が出ますので、再度来院していただき、ポリープの性状などについて説明を行います。
編集部
切除後は通常通りの生活が可能なのですか?
麻植先生
ポリープの切除後は術後出血などのリスクがあるため、数日間は安静にしていただく必要があります。
編集部
術後の注意点について教えてください。
麻植先生
検査後は鎮静薬や麻酔が残っていることも考えられるため、車やバイクの運転は控え、公共交通機関や家族の送迎などで帰宅してください。また、先述したように出血のリスクがあるため、運動や長時間の入浴など血流を促進するようなことは控えてください。また、デスクワークなどのお仕事であれば問題ありませんが、体をよく動かすようなお仕事の場合は休暇を取るなどして対応してください。
編集部
ほかにもありましたら、聞いておきたいです。
麻植先生
ポリープを切除した際に出血予防としてクリップを装着する処置(クリッピング)をすることがあります。クリップはごく小さく、傷口が治る頃に自然と外れて便と一緒に排泄されます。クリッピングを受けた場合には、暴飲暴食をすることでクリップが早期に外れてしまう恐れがあるため、飲食の際は注意してください。
編集部
ありがとうございました。最後に読者の皆様へメッセージをお願いします。
麻植先生
たかがポリープと思っていても、中には大腸がんになってしまうものもあります。大腸がんは若年層で発症することがあり、放置してしまうと進行して重篤な状態になってしまう恐れもあります。そのため、早期発見と予防が大切です。特に家族内に大腸がんを発症した方がいる場合には、遺伝によってご自身も発症する可能性があるため、何らかの兆候がなくても定期的に大腸内視鏡検査、がん検診を受けるようにしてください。また、そうでない場合でも30歳を過ぎたら定期的に大腸がん検診を受けるようにしましょう。
※この記事はMedical DOCにて【大腸ポリープの切除は日帰りで受けられる。手術の流れはどうなっているの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。