「避妊リング(ミレーナ)」を使えない人の特徴は? 副作用・ 痛みについて【婦人科医解説】
子宮内に装着する避妊具「ミレーナ」には、過多月経や月経困難症の緩和、婦人科系疾患の予防効果が期待できますが、使用できない場合もあるそうです。そこで、特徴や副作用など詳細を医師の村上先生に聞きました。
監修医師:
村上 雄太(GYNメディカルグループ 池袋クリニック)
編集部
女性の避妊方法としてピルが挙げられますが、ミレーナとの違いを教えてください。
村上先生
どちらも避妊や過多月経、月経困難症などに効果がありますが、避妊の失敗率はピルよりもミレーナの方が低いとされています。また、ピルの場合は飲み忘れの可能性があったり、ほかに服用している薬の影響を受けたりすることがありますが、ミレーナの場合はそうした心配がありません。ほかにも、40歳以上の女性や高血圧、肥満の場合は血栓症のリスクが高くなるため、ピルを服用することはできませんが、ミレーナにはそのような制限がないのも利点です。
編集部
それでは、ミレーナを使えない人はいないのですか?
村上先生
「ミレーナの成分に対して過敏症がある」「月経以外で性器の出血がある」、「子宮の形や位置に異常がある」、「過去3カ月以内に性感染症を発症した」、「妊娠中」などの場合は、使用を控えてもらっています。
編集部
副作用についても聞いておきたいです。
村上先生
ミレーナを装着してから約3カ月間は不正出血が続くこともありますが、時間が経つと治っていきます。また、装着して数日間は、出血や下腹痛、腰痛、おりものなどがみられることがあります。
編集部
ミレーナを使用するにはどうしたらいいでしょうか?
村上先生
まずは、婦人科を受診してください。装着前に検査があり、適応を確認します。なお、検査のタイミングはいつでも大丈夫ですが、装着の日付は考慮した方がいいと思います。理想的な装着タイミングは、月経終わりから直後となります。なぜなら、子宮内膜が薄い方が出血のリスクが低いからです。
編集部
装着時に痛みはありませんか?
村上先生
腟分娩による出産の経験がない女性には、痛みを伴うかもしれません。そのため、「出産経験のない女性には、ミレーナを装着することはできません」とお断りしている医療機関があるのも事実です。その一方で、子宮頸管を広げるときに局所麻酔を使用して、出産経験がない人でもミレーナを適応できるクリニックもあります。痛みが心配であれば事前に相談しておくことをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
村上先生
たしかに、子宮の内部に異物を入れることに不安を感じたり、自然な月経がこなくなることを心配に思ったりする女性も少なくありません。しかし、月経は子宮にとって非常に負荷のかかる生理現象であり、自然な月経は必ずしも子宮にとって健康的ではないということを覚えておいてほしいです。とくに近年、高齢出産が増えていますが、様々な婦人科系疾患のリスクにつながっています。自分の健康を守るためにも、ミレーナなどで月経をコントロールする方法を検討してみてはいかがでしょうか。