血液検査項目の一つ「アルブミンが低い」とどんな病気が考えられる?医師が解説!

※この記事はメディカルドックにて『「アルブミンが低い」原因はご存知ですか?増やす食べ物も医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
「アルブミンが低い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「アルブミンが低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。 どのような症状なのか、どのように対策すれば良いのか、など病気について気になる事項を解説します。肝硬変
肝硬変とは慢性肝疾患などさまざまな原因により、肝臓細胞が減少した状態です。自覚症状がほとんどみられない代償期から、肝不全症状(浮腫・腹水・黄疸・肝性脳症)を伴う非代償期があります。非代償期へと進展すると予後が悪くなり、命に関わります。 主な症状は、むくみ・腹水や胸水・黄疸・傾眠傾向や意識障害を起こす肝性脳症などです。また、肝硬変が進行すると血液中のアルブミン値が3.5g/dL以下に減少します。 肝硬変は肝臓の細胞が機能しなくなった状態です。失われた機能は元には戻らないため、治療は食事療法と薬物療法を併用した対処療法になります。 むくみや腹水予防のために減塩食にして、適量のエネルギーとたんぱく質の摂取が基本の食事療法です。 低アルブミン血症がある場合は、肝性脳症を起こしやすくなるため、食事のたんぱく質を制限して、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤を使用します。 むくみや腹水がある場合は利尿剤を使用し、大量に腹水が溜まっているときなどはお腹に針を刺して水を取り除く場合もあります。 健康診断などで、肝臓の数値の異常を指摘されたり、むくみ・息苦しい・黄疸などの症状がある場合は早めに内科を受診しましょう。低栄養
低栄養とは主にエネルギーとたんぱく質の不足により、必要な栄養素が不足した状態です。原因は、栄養素の摂取不足・体内での栄養素の吸収障害や代謝障害などです。 高齢期でBMIが20以下、アルブミンが3.8g/dL以下で低栄養のリスクが高まります。 症状は体重減少・筋力低下・むくみなどです。免疫力が低下し、感染症にもかかりやすくなります。 治療法は食事療法です。一日3食、主食・主菜・副菜をそろえた食事にして、エネルギー・たんぱく質・ミネラル・ビタミンなどの栄養素を十分に摂取します。体内でのたんぱく質の消化吸収率がよい、肉類を中心とした食生活はアルブミン値の上昇に効果的です。低栄養の原因となる病気がある場合は、その治療を行います。 食欲不振が続いたり、体重減少・むくみなどの症状がある場合は一般内科を受診しましょう。ネフローゼ症候群
ネフローゼ症候群とは尿に大量のたんぱくが出てしまい、血液中のアルブミンが減ることで、むくみ・体重増加・脂質異常症などが起こった状態のことです。腎臓の糸球体自体に障害があるものと、糖尿病・がん・妊娠高血圧症候群などの二次性のものがあります。 たんぱく尿3.5g/日以上が持続する・血清アルブミン値3.0/dL以下の低アルブミン血症の両方を満たすことが診断基準です。 血清総たんぱく量6.0/dL以下・浮腫・高LDLコレステロール血症も診断の参考になります。治療は対処療法として、食塩制限を行います。また、腎生検により原因となる疾患を鑑別することが重要となります。原因により治療法が異なるためです。 健康診断でアルブミン低値やたんぱく尿を指摘されたり、むくみや体重増加などの症状がある場合は早めに腎臓内科を受診しましょう。「アルブミンが低いとき」の正しい対処法は?
健康診断や血液検査でアルブミンが低いと指摘されたら、低栄養・肝臓病・ネフローゼ症候群の可能性があります。 食事摂取不足による低栄養の場合は、たんぱく質や他の栄養素・エネルギーを適正量摂取することで改善が見込めます。アルブミンの半減期(体内で働いて分解されるまでの期間)は2~3週間のため、反映されるまで2~3週間以上は必要となります。 肝疾患や腎疾患や他の病気が原因でアルブミンが低くなっている場合があるため、浮腫が強い・息苦しいなどの症状がある場合は早めに内科を受診しましょう。「アルブミンが低いとき」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「アルブミンの低さ」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
アルブミンを増やすにはどんな食事をすれば良いですか?
伊藤 陽子(医師)
アルブミンはたんぱく質を元に体内で合成されます。食事からのたんぱく質摂取が不足した状態が続くと、アルブミンが低くなる原因となります。 アルブミンを増やすには、肉類・魚介類・卵・大豆製品など、たんぱく質を多く含む食品を毎食摂取しましょう。特に肉類は体内での利用効率がよいため、積極的に摂取することをおすすめします。しかし、ネフローゼ症候群や肝臓病の病期によっては蛋白摂取の制限を行うこともあります。まずは原因を調べるために内科を受診しましょう。
アルブミンの異常値はいくつからですか?
伊藤 陽子(医師)
アルブミンの基準値は4.1~5.1g/dLです。3.5g/dL以下は低栄養や肝硬変、3.0g/dL以下ではネフローゼ症候群が疑われます。脱水症の場合は高い値になります。
アルブミンが低いと余命にも影響しますか?
伊藤 陽子(医師)
低栄養では、アルブミン・BMI・ヘモグロビン・総コレステロールの数値が低いと生存率が低くなります。肝硬変ではアルブミンが3.5g/dL以下で生存率が低下するという報告があります。個々の病態や状態により異なりますが、アルブミン値が低いことは余命に影響するといえます。
まとめ アルブミンが低い場合、大きな病気が潜んでいる可能性も。内科を受診しよう。
アルブミンが低い原因に、低栄養や肝硬変やネフローゼ症候群などの病気があります。むくみや腹水など、症状が現れたときにはすでに病気が進行していることが少なくないため、健康診断などでアルブミンの低値を指摘されたら、症状がなくとも早めに内科を受診しましょう。「アルブミンが低い」症状で考えられる病気
「アルブミンが低い」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。内科系の病気
- 低栄養
消化器系の病気
- 肝臓病
- たんぱく漏出性胃腸症
内分泌内科の病気
「アルブミンが低い」に似ている症状・関連する症状
「アルブミンが低い」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。関連する症状
- むくみ
- 体重増加
- 息苦しさ、動悸
- 低血圧
- 腹水や胸水
- 腹部のはり



