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「クレアチニンを下げる食事・飲み物」はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2024/12/09

クレアチニンを下げる食事とは?Medical DOC監修医が腎臓に良い食べ物・飲み物と血清クレアチニン値が高い人の病気リスクなどを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「クレアチニンを下げる食事・飲み物」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

腎臓の機能に関わるクレアチニンとは?

筋肉に含まれるたんぱく質の一種であるクレアチンは、筋肉を動かすエネルギーを作り出すために使われるのですが、その際に老廃物となったものがクレアチニンです。クレアチニンは、腎臓から尿に排泄されるのですが、腎臓の働きが悪くなると排泄される量が減ってしまい、血液中のクレアチニンが高くなります。このため、血液のクレアチニン濃度を腎機能の指標として使っています。また、クレアチニン値は筋肉量にも影響され、筋肉量が少ない場合にはクレアチニン値が低くなります。このため、筋肉量が多い場合や少ない場合には正確な腎機能を測れないこともあります。

クレアチニンを下げる食事とは?

腎機能が慢性的に低下し、クレアチニンが上昇した場合には残念ながら腎機能を元に戻すことは困難です。このため、腎機能の進行を抑えるために腎臓に負担をかけない食事が重要です。具体的なポイントは下記のようになっています。

クレアチニンと食事は関係があるの?

腎機能を悪化させないためには、腎臓に負担をかけない食事が重要です。腎機能に負担をかけないためには、減塩、低たんぱく食が基本となっています。しかし、腎機能の状況、年齢など総合的に判断してこれらの食事量を決めるため、クレアチニンが高く腎機能が悪いと診断された場合には、医師にご自身に合った食事量を確認しましょう。

少なくとも、たんぱくを過剰に負荷することは腎機能を悪化させます。まずは正常人での蛋白摂取量を超えないように気をつけましょう。1日のたんぱく質摂取量の目安は体重1キロあたり0.8〜1.0gとされており、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、下記のように設定しています。
・18~64歳の男性:65g/日
・65歳以上の男性:60g/日
・15~17歳の女性:55g/日
・18歳以上の女性:50g/日
最近はプロテイン等サプリメントの過剰摂取で蛋白の過剰負荷となることもありますので気をつけましょう。

クレアチニンを下げる食事・食べ物

先程ご説明したように、これを食べればクレアチニンが下がるという食べ物やレシピはありません。しかし、腎機能が悪化しクレアチニンが上昇しないために腎臓に負担がかからないようにすることが大切です。まずは減塩が勧められます。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では塩分摂取量の目標値は下記です。

塩分は、
・成人男性:7.5g未満/日
・成人女性:6.5g未満/日
腎機能が低下している方ではさらに、3g以上、6g未満/日の減塩が推奨されています。また、腎機能低下が進行した場合には、カリウム制限を行うこともあります。
一般的に血清カリウム値が5.5mEq/L未満となるようにします。
主治医よりカリウムの制限が必要と言われた場合には、摂取カリウムは1日2000mg未満を目安に制限しましょう。
カリウムは生の果物、野菜、豆類などに多く含まれています。バナナやピーナッツなどを多く食べ過ぎると危険です。また、生の野菜もカリウムが多く含まれるため、水にさらしたり、ゆでこぼすことでカリウムを減らすことができます。
しかし、カリウムは利尿作用もあり、腎機能が正常な方にとってはむくみを減らしたり、血圧を下げる効果も期待できます。このため自分の今の腎機能がカリウム制限を必要とするのか主治医に確認することが必要です。

クレアチニンを下げる飲み物

クレアチニンを上昇させない(腎機能低下を進行させない)ためには、脱水にならないようにすることは大切です。適度な水分をとるようにしましょう。
また、カリウムの制限がある方では野菜ジュースや玉露等はカリウムが多く含まれているためお勧めできません。コーヒーに含まれる抗酸化作用、抗炎症作用を示す物質が多く含まれ、慢性腎臓病(CKD)の進行抑制効果が期待できるとされています。コーヒー摂取量が1日2杯以上では1杯以下に比べて、CKD抑制効果が大きかったとの報告もあります。しかし、コーヒーはカリウムも含まれるため、カリウム制限がある方では注意が必要です。

逆にクレアチニンを上げる可能性がある飲み物として、アルコール・砂糖入りソフトドリンク・エナジードリンクなどは、カロリーや塩分、カリウムが多く含まれており、腎臓に負担をかけるため調整が必要です。その中でも、アルコールは、腎臓の血流を減らし、腎臓の機能を低下させるだけでなく、高血圧・糖尿病などの腎臓病の原因となる生活習慣病のリスクを高めてしまうので、適量にとどめましょう。

クレアチニンを下げる生活習慣

クレアチニンを上昇させない(腎機能を悪化させない)ためには、先程紹介した、食べ物・飲み物を積極的に取り入れるだけでなく、十分な睡眠、適度な運動、禁煙なども合わせて意識しましょう。

「クレアチニンを下げる食事」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「クレアチニンを下げる食事」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血液検査でクレアチニンが高い状態が続くと腎臓病の危険がありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血液検査でクレアチニン値が高いと、腎機能が低下し、腎臓がクレアチニンを十分にろ過できていない可能性があります。そのため、クレアチニン値が長期間にわたって高い場合は、腎機能が低下していると考えられます。腎臓病は早期発見と治療が重要ですので、クレアチニン値の高い状態が続く場合は医療機関で詳細な検査が必要です。

玉ねぎには血液中のクレアチニンを下げる効果があるのでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

玉ねぎなど食物繊維が豊富な食べ物はクレアチニンを下げる手伝いをする可能性はありますが、直接的に血液中のクレアチニンを下げるという明確な科学的証拠は現時点では不明です。そのため、クレアチニン値を下げるためには、特定の食品に頼るよりも、バランスの取れた食事と健康的な生活習慣が重要です。

食事の量を減らして痩せるとクレアチニンは下がりますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

食事の量を減らして痩せることで、筋肉量が減りクレアチニンが下がる可能性はあります。しかし、腎機能が良くなっているというわけではありません。食事を制限することによって筋肉量が減少すると、クレアチニンの産生量も減少し、クレアチニンを用いた腎機能評価ができなくなる可能性もあります。無理に食事の量を減らすことで健康を損なう可能性もあるため、医師の診断を受けて、自分の状態に合った治療法や食事療法を実施することが大切です。

お肉をよく食べる食生活だと、クレアチニンは下がりませんか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

お肉はたんぱく質が多く含まれているため、よく食べる食生活の方はクレアチニンを下げるどころか、むしろ上がる可能性があります。腎機能が低下し、蛋白制限が必要な場合には肉を減らす必要があります。健康的な腎臓の機能を維持するには、バランスの取れた食事が重要なため、医師や栄養士と相談して、適切なたんぱく質の摂取量を決定しましょう。

クレアチニンが高い人はフルーツを食べても大丈夫ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

フルーツはビタミン・ミネラル・食物繊維など、健康に必要な多くの栄養素を含んでいるので、ある程度であれば食べても問題ありません。ただ、バナナ・オレンジ・メロンなどは高カリウムのフルーツになるため、カリウム制限が必要な方では食べるのを控えましょう。

編集部まとめ

クレアチニンは筋肉のエネルギー代謝から生じる老廃物で、腎臓を通じて排泄されます。そのため、クレアチニンの血中濃度は腎機能の評価として利用します。このクレアチニンを下げるためには、たんぱく質・塩分・カリウムを調整し、腎臓に負担をかけないことが重要です。逆に、たんぱく質・塩分・カリウムが多く含まれる赤身肉・卵・チーズなどは腎臓への負担が大きくなり得るため、食べるのを控えめにしましょう。腎機能の程度やその方の全身状態により勧められる食事量が異なります。自分で決めず、必ず主治医に確認をして適切な食事療法を行いましょう。

また、これを食べればクレアチニンが下がるという食べ物や飲み物はまだ存在しないため、バランス良く食事を行うとともに、適度な運動や禁煙など、健康的な生活習慣を意識することが最も重要です。

「クレアチニン」の異常で考えられる病気

「クレアチニン」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

腎泌尿器系の病気

  • 慢性腎不全(CKD)
  • 腎炎・ネフローゼ症候群

脳神経系の病気

  • 脳卒中(脳血管障害)

代謝内分泌系の病気

婦人科の病気

  • 妊娠高血圧症候群(HDP)

クレアチニンの上昇は腎機能障害の指標となります。健康診断等で指摘をされた場合には、できるだけ早く医師の受診を受けることが重要です。

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