【闘病】“アレルギー体質”の人が発症する『難病』で「車椅子生活」、ヘルパー必須に…

右手の使いづらさという些細な違和感から整形外科を受診した三好さん。検査入院と転科を経て、稀な難病「アトピー性脊髄炎」と診断されました。当初は症状が病気によるものだと分かりホッとしますが、病気の進行と共に杖歩行から車椅子生活へ移行。手足のしびれや痛み、脱力感に苦しみ、現在ではヘルパーなどの介助が欠かせません。難病と向き合いながら、さまざまな人の支えで日々を過ごす三好さんの軌跡を紹介します。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年10月取材。

体験者プロフィール:
三好 陽子
40代。東京都在住。2012年、右手の上がりにくさや使いにくさの症状が現れ、総合病院の整形外科を受診。腱反射異常を指摘され検査したところ、脊髄に炎症が見つかる。同病院の脳神経内科へ転科し検査を行った結果、アトピー性脊髄炎と診断される。発病以降、外来通院は月に1回、入院は年に2〜3回。診断された当時の職業は知的障がい児(者)の指導員。

記事監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
右手に感じた違和感、気のせいではなかった

編集部
三好さんの病気が判明した経緯について教えてください。
三好さん
あるとき、右手の上げにくさと使いづらさを感じて整形外科を受診しました。そこで腱反射の異常がみつかったので、整形外科へ検査入院をしました。検査の結果脊髄に炎症が見つかり、脳神経内科へ転科。更に検査をした結果、「アトピー性脊髄炎」との診断を受けました。
編集部
「アトピー性脊髄炎」とはどのような疾患でしょうか?
三好さん
「アトピー性脊髄炎」は、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどのアレルギー体質の人に発症する珍しい病気のようです。初期症状は手足にしびれを感じる程度で日常生活に支障をきたすことはありませんが、進行するとしびれ感の悪化、痛み、手足のまひ、歩きにくさ、排尿のしにくさなど、さまざまな症状が出現することがあると言われています。
編集部
三好さんの場合、自覚症状はありましたか?
三好さん
右手の上げにくさ、使いづらさだけでしたね。
編集部
どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?
三好さん
最初の病院では治療ができないと言われ、何もせずに退院しました。次の病院では、ステロイドパルス療法を2クール、その次の病院では血漿交換療法を行いました。その後も、血漿交換療法を中心にステロイドパルス療法などを行い、現在に至ります。
編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
三好さん
聞いたことのない病気だったので、正直ピンときませんでした。ただ、辛い症状が気のせいではなく病気によるものだったのだと思い、少しホッとした部分もありました。
ヘルパーや訪問看護、訪問薬局などを利用しながらの生活

編集部
発症後、生活にどのような変化がありましたか?
三好さん
すぐにではありませんが、杖歩行から車椅子生活になりました。また、徐々に自力ではできないことが増え、介助者なしでは生活ができなくなりました。
編集部
闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。
三好さん
その時々によって違います。主治医や看護師さんの存在だったり、友人、家族の存在だったり、ヘルパーさんの存在だったり……。自分の心の在り方が支えになっていると感じることもあります。
編集部
もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?
三好さん
「今を思いっきり楽しんで」と伝えたいですね。
編集部
現在の体調や生活などの様子について教えてください。
三好さん
外出時は車椅子を使用しています。右手はほぼ動かず、常に四肢のしびれや痛み、脱力感がある状態です。腹部を締めつけられているように感じる症状もあります。排泄障害もあり、自己導尿が必要な時もあります。また、とても疲れやすいです。週6日はヘルパーを、週1回は訪問看護・訪問リハビリを利用しています。必要に応じて、訪問薬局を利用することもあります。
≪↓ 後編へ続く ↓≫
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。
※この記事はメディカルドックにて《【闘病】「アトピー性脊髄炎」当然知らない病名を告げられ始まった闘病生活》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
→(後編)【闘病】「少し諦めて、すベてを諦めない」姿勢で病気に向き合う




