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【闘病】24年も彷徨った診断難民。胸の痛みの正体は難病「全身性エリテマトーデス」だった

 公開日:2025/03/17

24年前の朝、鈴木眞知子さんはひじのかゆみで目を覚ましました。その日のうちに突然の胸の痛みが襲い、長く続く体調不良に悩まされることになります。病院を転々としながら「胆石」「リウマチ」などさまざまな診断を受けるも、根本的な原因は分からず、ついには仕事を辞めざるを得ない状況に。そんな中、偶然の受診がきっかけでようやく「膠原病(全身性エリテマトーデス)」と判明しました。そこから始まる治療の日々、そして副作用との闘い。鈴木さんが語る24年にわたる壮絶な病との向き合い方とは……。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年2月取材。

鈴木眞知子さん

体験者プロフィール
鈴木 眞知子

プロフィールをもっと見る

1951年生まれ、静岡県在住。短大卒業後、就職し23歳で結婚。3人の娘を育てる。現在6人の孫がいる。

副島 裕太郎

記事監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

「私、死ぬんですか?」病気の発覚と戸惑い

「私、死ぬんですか?」病気の発覚と戸惑い

編集部編集部

最初に不調や違和感があったのはいつですか?

鈴木眞知子さん鈴木さん

24年前のある日の朝、ひじが痒くて無意識に掻きながら目が覚めました。起き上がろうとしたら突然胸が苦しくなり、起き上がった後もずっと胸を抱えて歩いていました。それまで大きな病気や不調を感じることがなかったのでびっくりして、自宅近くの内科病院に行きました。そこでは「尋常性乾癬」と言われ、処方された薬を飲みましたが症状は良くなりませんでした。それから2年、あらゆる病院に行き「胆石」や「リウマチ」など言われましたが、指示通りの治療を続けても回復しませんでした。症状が治らないので仕事も泣く泣く辞め、寝て起きるだけの生活が続きました。

編集部編集部

それから診断に至るまでの経緯を教えてください。

鈴木眞知子さん鈴木さん

2年が経ち、長女が出産をしたのでその1ヶ月健診について行くことになりました。待ち時間に「ちょっと皮膚科で診てもらおうかな」と思い受診したら、その日偶然担当してくださった先生に「ひじの組織を取ってみよう」と言われ、皮膚生検を行うことになりました。そして「2週間後に来院するように」と言われましたが、その1週間後に突然病院から「明日来院してください」と電話がありました。診察で「もしかしたら膠原病かもしれない」と言われていたので、膠原病なんだと覚悟しました。

編集部編集部

病院ではどんな会話がありましたか?

鈴木眞知子さん鈴木さん

予想通り、病院に行くと医師から「検査の結果、膠原病です」と告知されました。その時、近所の方が膠原病で亡くなったと聞いたことがあったので思わず「私、死ぬんですか?」と聞いてしまいました。ですが、先生から「今は薬で抑えることができるから大丈夫」と言われ、安心しました。

編集部編集部

症状について詳しく教えてください。

鈴木眞知子さん鈴木さん

膠原病にはたくさんの種類があるのですが、私は「全身性エリテマトーデス(SLE)」という病気でした。本来であれば自分の体を守る働きをしている免疫が、自分の組織を攻撃してしまう病気です。

編集部編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

鈴木眞知子さん鈴木さん

完治する病気ではないので、ステロイド剤を服用しながら症状を調整していくのが治療の目標です」と言われました。熱が出たら、入院して血液検査などをしながらステロイド剤の調整をするとのことでした。

人生で一番色々なことを経験し、たくさん考えた入院生活

人生で一番色々なことを経験し、たくさん考えた入院生活

編集部編集部

そのときの心境について教えてください。

鈴木眞知子さん鈴木さん

最初は「死ぬんですか?」と聞いてしまいましたが、薬の服用で症状がおさまると聞いて少しホッとしました。一方で、最初はステロイド剤の副作用などの話が全然出なかったので、ただ単純に「薬を飲めば良くなる」とだけ思っていました。

編集部編集部

実際の治療はどのようにすすめられましたか?

鈴木眞知子さん鈴木さん

1ヶ月に一度通院し、血液検査をして薬をもらっていました。

編集部編集部

受診から手術、現在に至るまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。

鈴木眞知子さん鈴木さん

治療中、熱が出て入院するということが何回もありました。そして月に一度の通院での検査と薬の処方だけという治療に不安を感じ、別の病院へ変えることにしました。その頃から、自分でも病気のことやステロイドの副作用について調べ、血液検査の数値についても学びました。転院後の病院は自分に合っていて2年ぐらい通いましたが、膠原病科の先生がいなくなるということで、さらに別の病院へ通院することになりました。

編集部編集部

症状は落ち着いていたのですか?

鈴木眞知子さん鈴木さん

相変わらずきちんと薬を服用していればなんとか生活ができていました。ですが、発症から6年ぐらい経った時、右股関節の痛みがひどくなり整形外科を受診しました。レントゲンの結果、ステロイド剤の副作用で大腿骨が脆くなってしまっており、人工骨を入れる手術をしました。入院はリハビリも含め2ヶ月ぐらいだったと思います。人生の中で一番いろんなことを経験し、たくさん考えた時期でした。病気や検査、薬の副作用などについて、医療者任せにせず、患者自身も知ることが大事だと考えるようになりました。

編集部編集部

病気の前後で変化したことを教えてください。

鈴木眞知子さん鈴木さん

病気になる前の生活の不摂生さを反省しました。普段は病気であることを忘れてしまうぐらい元気な時もありますが、やはり急な発熱や倦怠感にどうして良いかわからなくなることもあり、先生に診ていただくしかありません。

※この記事はメディカルドックにて『【闘病】2年間続いた原因不明の不調は「全身性エリテマトーデス(SLE)」薬の副作用すら知らなかった…』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

この記事の監修医師

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