【闘病】20代で『甲状腺がん』になり「残りの人生は自由に生きると決めた」
大学生時代に甲状腺がんの肺転移を告知されたことをきっかけに、自分のために人生を楽しむ選択をされたU・Mさん。大学時代に受けた健康診断と病院での検査によって甲状腺がんと告知されましたが、現在も精力的に活動されているがんサバイバーです。そこで今回は、U・Mさんが甲状腺がんと診断されるまでの経緯や治療、そして現在の様子についてお聞きしました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年6月取材。
体験者プロフィール:
U・M
1990年代生まれ。大学生時代に受けた健康診断にて、肺のレントゲンに白い影が映る。病院にて再検査したところ、甲状腺がんと肺転移と診断を受ける。手術や放射線治療、抗がん剤治療も経て、現在は以前とほぼ同じ日常生活を送れるようになっている。
記事監修:
森崎 剛史(耳鼻咽喉科専門医/内分泌外科専門医)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
編集部
まず、甲状腺がんについてどのような病気か教えてください。
U・Mさん
喉のあたりにある甲状腺という器官に、悪性の腫瘍ができる病気です。私自身も自覚症状がなく検査で発覚したのですが、しこり以外の症状はほとんどないようです。まれに喉の違和感や嗄声(声のかすれ)、飲み込みにくさ、痛み、血痰が出る人もいるようですが、私の場合は無症状でした。30代以降の人から発症しやすく、一番の好発年齢は60代なのですが、私の場合は20代で発症していました。
編集部
どのような経緯で病気が判明したのですか?
U・Mさん
大学で年に1度の健康診断があり、希望者は胸部レントゲン検査を受けることができます。普段は面倒くさくて受けていなかったのですが、この時はなぜか「受けないともったいない」と思い、受けることにしました。その結果、肺に白い影が写っており、病院で再検査したところ「肺の白い影は転移したがんで、根本の原因は甲状腺がん」という診断を受けました。
編集部
大学生(20代)という若い年代での発症ですが、自覚症状はあったのでしょうか?
U・Mさん
体調は全く問題なく、当時やっていたアメフトも普段通りにできていたので、本当に自覚症状は何もありませんでした。
編集部
検査で甲状腺がんという診断を受けて、そこからはどのような治療を行ったのでしょうか?
U・Mさん
まずはPET検査、それから甲状腺の摘出手術という流れでした。その当時、私の病気に有効な抗がん剤は臨床試験の段階でしたので、肺に転移したがんの方は様子見になりました。
編集部
がんの診断から治療に進むまではどのくらいの期間があったのですか?
U・Mさん
2か月ほどの期間になります。がんの告知を受けたのが2014年4月頃で、同年6月頃に甲状腺全摘手術を受けました。
編集部
がんという告知を受けた時は、相当なショックだったのではないでしょうか?
U・Mさん
「がんの発症・転移=死ぬ」と考えていて、本当にショックだったことを覚えています。当時は医療のことはもちろん、がんの知識もなかったので、ドラマや漫画のイメージそのままでした。「自分はいつまで元気でいられるのか」とか、「死ぬまでにやりたいことは何だろう」とかネガティブなことばかり考えていました。
編集部
発症後の生活の変化について教えてください。
U・Mさん
大きかったのは大学を中退したことです。もともと勉強についていけず、治療もしながら授業を受けるとなれば留年は間違いないと思いました。「残りの人生を自由に過ごすためにも、いつまでも大学にいられない!」と思って中退しました。そして、「自分はすぐに死んでしまうから、それまでに世界に何か爪痕を残したい」と思い、上京してお笑いの道に入りました。それから10年経って今はお笑いの道を辞めましたけど、身体は元気です。
編集部
お笑いがそれほど好きだったのですね。
U・Mさん
私にとって治療中の心の支えが「お笑い」でした。見るのも考えるのも楽しくて、辛い治療や検査をどうやってお笑いに変えられるかを考えていたくらいです。
→(後編)【闘病】甲状腺がんと転移を経てわかった健診を受けることの大切さ
※この記事はMedical DOCにて《20代大学生なのに自覚症状ゼロで「甲状腺がん」告知。「残りの人生は自由に生きようと決めました」【闘病体験】》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。