矯正治療のより良い選択のために! セカンドオピニオンの正しい進め方【医師が解説】

矯正治療を進めるなかで、治療の進捗や内容、結果に疑問や不安を感じる患者さんは少なくありません。今回は、セカンドオピニオンの正しい進め方について、しぶたに矯正歯科の渋谷先生に解説していただきました。

監修歯科医師:
渋谷 直樹(しぶたに矯正歯科)
編集部
セカンドオピニオンを受けたい場合、現在治療を受けている担当医にその旨を伝えたほうがいいのでしょうか?
渋谷先生
これは非常に難しい問題だと思います。多くの患者さんは現在の担当医との関係を良好に保ちたい、敵対関係になることは避けたいと考えています。確かに、セカンドオピニオンは担当医が資料を作成し、患者さんの希望に応じて他院での受診を支援するのが理想的です。しかし、近年は担当医から紹介状や依頼状がなくても、セカンドオピニオンを受けつけている歯科医院も増えていますので、そのような歯科医院を探してみるのも方法の1つかもしれません。当院も特に資料がなくても受け付けています。
編集部
セカンドオピニオンを受けて、別の歯科医院に転院したいと思った場合、どのような手続きが必要になりますか?
渋谷先生
転院を考える際は、まず転院先の料金体系をよく確認することが大切です。多くの場合、治療を一からやり直す形になるため、新たな費用が発生します。そのうえで、転院先での受け入れをきちんと確保してから、現在の担当医に転院の意向を伝えるという順序で進めていくようにしてください。転院先が確保できたら必要な資料についての依頼書を受け取り、それを現在の担当医に提出して資料を作成してもらう、という流れになります。
編集部
セカンドオピニオンにあたって患者さんが注意したいこと、気をつけたいことを教えてください。
渋谷先生
セカンドオピニオンを受ける患者さんのなかには、4~5件と複数受診される方もいらっしゃいます。しかし、複数の意見の中から自身が一番求めていた回答が得られたとしても、あくまでもセカンドオピニオンということで、必ずしもその歯科医院で受け入れてもらえるというものではなく、その歯科医院で継続治療が受けられないというケースも実は少なくありません。また、セカンドオピニオンでの説明をもとに「他院の先生はこう言っていた」と現在の担当医に再度相談をもちかけても、歯科医との関係が悪化してしまう可能性があるため注意が必要です。
編集部
そのような事態を避けるために、セカンドオピニオンを受ける際のポイントを教えてください。
渋谷先生
セカンドオピニオンに際しては、歯科医によって持っている技術や治療に対する考え方が違うことを、予めよく理解しておくことが重要です。セカンドオピニオンで聞いた意見も、その歯科医が持っている技術がベースとなっています。実際には治療しないにもかかわらず「このような治療ができると、主治医に伝えたらいい」などと安易に助言する歯科医もいますが、これは非常に無責任な対応だと感じています。このような背景をふまえたうえで、セカンドオピニオンで得た情報からご自身にとって最適な治療方針を慎重に判断していただきたいと思います。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
渋谷先生
私がセカンドオピニオンの相談を受けるなかで一番多い相談内容が、「治療がうまく進んでいない」というものです。そしてほとんどの場合に、治療開始時から「患者さんと歯科医との認識のズレ」が生じていると考えています。矯正治療は「患者さんが求める治療=歯科医が提供する治療」という状態で治療を始めないと、治療が進むほどそのギャップが広がり、不幸なすれ違いが生じてしまいます。これを防ぐには、治療前にお互いの目指すゴールをしっかりと共有しあい、治療中も疑問や不安があればその都度歯科医に相談することが重要です。患者さんと歯科医が良好なコミュニケーションを保ちながら、同じ目標に向かって進んでいくことが満足のいく結果につながっています。本記事が、信頼できる最初で最後の矯正担当医との出会いの一助になれば幸いです。
※この記事はメディカルドックにて<矯正治療の不安・疑問は先生にどう伝えたらいい? セカンドオピニオンの進め方も解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




