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「悪性リンパ腫の症状」はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2025/12/03
悪性リンパ腫の症状とは?メディカルドック監修医が解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はメディカルドックにて『「悪性リンパ腫の症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

今村 英利

監修医師
今村 英利(タイムルクリニック)

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2009年新疆医科大学を卒業し、中国医師免許を取得。2019年に日本医師免許を取得。神戸大学大学院(腫瘍・血液内科学講座)にて血液悪性腫瘍の研究に従事。2019年に日本医師免許と医学博士号を取得。赤穂市民病院、亀田総合病院、新宿アイランド内科クリニック院長、在宅医療(訪問診療)などを歴任後、2024年9月タイムルクリニックに院長として着任。現在は、内科・皮膚科全般の疾患を幅広く診療している。

「悪性リンパ腫」とは?

悪性リンパ腫は白血球ががん化することにより生じる血液がんの一種で、具体的にはリンパ球というタイプの白血球が異常増殖する病気です。このがんは、リンパ節だけでなく、脾臓(ひぞう)や骨髄、さらには他の臓器にも影響を及ぼす可能性があります。悪性リンパ腫は、100種類以上の病型(病気のタイプ)があると言われており、その中でも特に一般的なのが非ホジキンリンパ腫で、日本人患者の90%以上がこのタイプです。非ホジキンリンパ腫の中でさらにさまざまな亜種が存在し、それぞれに独自の特徴と治療法があります。

悪性リンパ腫の代表的な症状

発熱

悪性リンパ腫において、発熱は代表的な症状です。発熱・体重減少・大量の寝汗の3つ合わせて「B症状」と呼びます。これはがん細胞から放出されるサイトカインという炎症物質によって引き起こされるもので、ウィルスや細菌に感染していないにも関わらず熱が出ます。発熱は周期的であったり(Pel-Ebstein熱)、不規則であったりと、そのパターンは患者によって異なり、一貫性がありません。 治療としてはまず体を氷枕で冷やしたり、解熱鎮痛薬を内服したりする対症療法になります。悪性リンパ腫そのものの治療として炎症抑えるステロイドや免疫抑制剤が投与されることで、発熱が落ち着くことがあります。

脾腫

脾腫とは脾臓の異常な腫れを指し、悪性リンパ腫のがん細胞が脾臓に蓄積した結果として発生します。脾臓は血液の浄化と古い血球の破壊に関わるため、がん細胞がここに集まると機能に影響を及ぼし、脾臓のサイズが増大します。この増大はしばしば腹部の膨満感や食欲不振を引き起こす可能性があります。脾腫は左季肋部(左上の脇腹)の触診や画像診断によって確認され、悪性リンパ腫の進行度合いのヒントになり得ます。治療としては、悪性リンパ腫そのものに対する化学療法や放射線療法で脾腫の縮小を目指しますが、症状や脾臓の大きさに応じて脾臓摘出手術を検討することもあります。

貧血

悪性リンパ腫では、がん細胞が骨髄の中まで浸潤した場合、造血を司る骨髄の機能が抑制されるため、貧血が現れます。また、悪性リンパ腫に対する抗がん剤治療の副作用の影響でも貧血が起こることもあります。貧血になるとめまいや顔色の悪さ、疲れやすさ、動悸、息切れといった症状が見られます。 貧血に対する治療は原疾患の治療と足りない分を赤血球輸血で補充する対症療法が行われます。

「悪性リンパ腫の症状」についてよくある質問

ここまで悪性リンパ腫の症状などを紹介しました。ここでは「悪性リンパ腫の症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

悪性リンパ腫を発症すると皮膚や首にどんな症状が現れますか?

今村 英利今村 英利 医師

悪性リンパ腫を発症すると皮膚に赤みを帯びた発疹や小さなしこり(皮膚リンパ腫)が現れることがあります。また、首のリンパ節が腫脹し、しこりとして感じることがあります。これらのしこりは痛みを伴わないことが一般的ですが、皮膚がかゆくなったり、触ると痛みを感じたりすることもあります。

眼内悪性リンパ腫を疑う目の症状を教えてください。

今村 英利今村 英利 医師

眼内悪性リンパ腫は視力低下、目の痛み、充血、硝子体混濁による目のかすみなどの症状が現れることがあります。これらの症状は、がん細胞が眼内に侵入し、眼の構造に影響を及ぼしている場合に起こり得ます。 眼内悪性リンパ腫は脳へ容易に転移するため、眼の病気の中でも最も生命予後の悪い病気とされています。これらの症状が現れた場合、早急に眼科医の診察を受けることが重要です。

編集部まとめ

悪性リンパ腫に関連する症状は多岐にわたります。もし上述のような症状が見られる場合、それは悪性リンパ腫の可能性を示唆しているかもしれません。しかし、これら一つ一つの症状は他の疾患でも見られるため、まずはかかりつけの内科を受診し相談してみましょう。一般的な検査ではよく分からないものの症状が良くならない場合は血液内科への受診も検討してみてください。

「悪性リンパ腫の症状」と関連する病気

「悪性リンパ腫の症状」と関連する病気は9個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

感染症科の病気

  • 風邪(一般的なウィルス感染)
  • HIV/AIDS
  • 結核
  • サイトメガロウイルス感染症

腫瘍性疾患の病気

その他の病気

発熱やリンパ節の腫れは風邪でも起こりうる一般的な症状です。発熱を繰り返す場合や、リンパ節の腫れが長期に渡って続く、もしくは悪くなる場合には、悪性リンパ腫の可能性があります。

「悪性リンパ腫の症状」と関連する症状

「悪性リンパ腫の症状」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • リンパ節の腫脹(首、脇の下、鼠径部など)
  • 夜間の寝汗
  • 体重減少
  • 息切れ
  • 腹部の膨満感(脾腫や肝腫による)
  • 食欲不振
これらの症状は悪性リンパ腫や白血病、EBウィルス感染などで生じる可能性があります。B症状と呼ばれる発熱、体重減少、大量の寝汗がある場合はただちに血液内科を受診してください。

この記事の監修医師