「高齢者の認知症」は“脳トレ”で予防することができるのか【介護福祉士解説】

親の高齢化が進んでくると、気になってくるのは「認知症」だと思います。認知機能の低下を防ぐとなると、ひと昔前にゲームにもなった「脳トレ」を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。いったい、脳トレで認知症を予防することはできるのか、介護福祉士の佐藤さんを取材しました。

監修介護福祉士:
佐藤 恵美(介護福祉士)
編集部
脳トレに認知症予防に効果的と聞いたことがあるのですが、本当でしょうか?
佐藤さん
脳トレには脳を刺激する効果があり、血流アップと認知機能の低下予防が期待できます。認知症の原因は、脳内の血流悪化、脳へのエネルギーを運ぶ酸素や糖の減少です。脳にエネルギーが運搬されなくなると、認知機能に障害が生じ認知症発症へとつながります。人間の脳は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に分けられます。この中で前頭葉は運動や思考、言語などを司っており、前頭葉の大部分を占めるのが前頭前野です。「記憶する」「判断する」「考える」など、人間らしくあるための機能が備わっており、脳トレにはこの前頭前野を刺激し、活性化する効果があります。難しい問題は必要なく、その人に合ったものを提供すれば大丈夫です。
編集部
脳だけでなく、身体面でもいい効果を出すことはできますか?
佐藤さん
軽い体操など運動の要素を含む脳トレは、筋力の維持向上につながります。日中の脳トレの場面で動きを取り入れたり頭を使ったりすることで、日々の暮らしにメリハリが生まれます。普段は部屋でじっとしている人も、脳トレを習慣にすることで規則的な生活リズムに整えていけます。
編集部
心理面での効果はありますか?
佐藤さん
脳トレを通じ、他者交流が活発になります。単独でおこなう脳トレも効果的ですが、複数名で取り組むとお互いに声を掛け合ったり教え合ったりできます。すると自然に発語も増え、脳トレの時間が他者との会話を楽しむ時間にもなります。また、問題に向き合うと自分の中に蓄積された知識や記憶がどんどん呼び起こされます。すると過去を懐かしむ穏やかな気持ちや、自尊心の高まりが感じられるようになります。
※この記事はメディカルドックにて【高齢者におすすめの脳トレ8選! 認知症を予防する脳トレを介護福祉士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




