糖尿病タイプ別! 安全に運動するための注意点、無理なく習慣化するポイント
糖尿病患者が運動を行う際には、1型、2型、妊娠糖尿病それぞれで注意すべき点があります。1型糖尿病ではインスリン注射による低血糖予防が重要で、捕食やブドウ糖の持参が推奨されます。2型糖尿病では、初めて運動を行う際に関節痛や疲労を避けるため、短時間の軽い運動から始め、徐々に強度を上げることが大切です。妊娠糖尿病では、胎児への影響を考慮し、転倒のリスクが少ない運動を選び、低血糖にも十分注意する必要があります。理学療法士の河江さんが解説します。
監修理学療法士:
河江 敏広(理学療法士)
編集部
1型糖尿病患者の運動における注意点は何ですか?
河江さん
1型糖尿病患者では必ずといって良いほどインスリン注射を用いて、血糖コントロールを図っています。そのため、運動による低血糖を予防することが重要です。低血糖への対処方法として、長時間の運動を行う場合には80kcal程度の捕食を運動前に行うことで、低血糖を予防することが可能になります。もし、低血糖が起きてしまった場合にはブドウ糖が必要になります。そのため、インスリン注射を使用している場合は、必ずブドウ糖を持参して運動を行うようにしましょう。また、これは2型糖尿病における注意点でもありますが合併症の重症度も運動時においては把握しておくことが重要です。
編集部
2型糖尿病患者の運動における注意点を教えてください。
河江さん
2型糖尿病における運動時の注意事項としても、低血糖や合併症の重症度に注意しなければなりません。しかし、2型糖尿病においては運動に慣れていない場合が多いため、初めから中等度の運動を20分行うことで、関節の痛みなどを生じる場合が多くあります。運動に慣れていない場合は、短時間から開始し、徐々に運動時間を延長したり運動頻度を増やしたりして、推奨される運動量に近づけていくことが運動習慣を獲得するためには重要です。
編集部
妊娠糖尿病患者の運動における場合はどうでしょう?
河江さん
妊娠中は子宮が大きくなり体の中心を流れる静脈を圧迫するために手足がむくみやすくなります。そのため、長時間の立位や座位を保つような運動は転倒や落下を生じる可能性がある運動は胎児に影響を及ぼす可能性があるため、避けるようにしましょう。また、妊娠中は胎児に母体の血糖が優先的に使用されることや、つわりなどで血糖値が低下している場合があります。そのため、特にインスリンを使用している場合は低血糖にも注意する必要があります。
※この記事はMedical DOCにて【糖尿病の運動療法は原因によって内容が変わる? 糖尿病の分類と運動について理学療法士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。