糖尿病の人が運動するときに気をつけるべきポイント 運動中の「危険サイン」とは?
糖尿病患者が運動療法を始める際には、事前のメディカルチェックが重要です。特に心血管疾患や関節の問題を抱えている可能性があるため、医師や専門家との相談を通じて自身の健康状態を確認しましょう。本記事では、運動前後の注意点や専門家との相談時のポイントを理学療法士の河江さんが解説します。
監修理学療法士:
河江 敏広(理学療法士)
編集部
糖尿病患者が運動前に気をつけるべきことは何かありますか?
河江さん
初めて運動療法を行う前に、病院でのメディカルチェックを行いましょう。特に糖尿病患者の場合、心臓の血管が狭くなる狭心症や、心臓の血管がつまる心筋梗塞を発症している場合があるのでメディカルチェックは重要です。また、実際に運動を行う直前は水分を摂ることを心がけましょう。運動中は冬場においても汗をかき、体の水分が乏しくなる可能性があります。体の水分が欠乏すると血圧が低くなり、運動を継続することが困難になります。
編集部
運動中に糖尿病患者が気をつけるべきことについても教えてください。
河江さん
運動中に気を付けることは、「いつもと異なる症状が出現していないか」に注意しましょう。特に痛みに関しては要注意です。狭心症などでは胸部、頸部、時には肩に痛みを生じることがあります。日常的に運動をしていない方が突然運動を行うと運動中に膝、腰に痛みを生じることもあるので、運動中に痛みを生じる場合はすぐに病院を受診するようにしましょう。また、治療でインスリンを用いている場合は低血糖を生じることがあります。低血糖になると、手指の震えや動悸を生じることがあります。この場合も運動を中止してブドウ糖の摂取や糖質を含む飲料を服用するようにしましょう。
編集部
運動療法を始めるにあたって、医師や理学療法士などの専門家と相談する際に伝えるべき情報は何ですか?
河江さん
糖尿病の状態(HbA1cの状況、合併症の重症度、使用している薬剤)に関しては詳細に伝えるようにしましょう。糖尿病の場合は合併症の程度により特定の運動が制限される場合もあるからです。インスリンなどの低血糖を生じる可能性がある薬剤も存在するため、低血糖を生じない運動時間や、低血糖への対処方法の指導においてこの情報は重要となります。また、膝や腰などに痛みがある場合も運動指導者に伝えるようにしましょう。これによって、指導者は患者個人に適した運動指導を行うことが可能となります。
※この記事はMedical DOCにて【糖尿病患者は運動すると何が改善できる? 運動時の注意点を理学療法士に聞く】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。