糖尿病患者におすすめの運動3選 有酸素運動・筋トレ・ストレッチが効く理由とは?
糖尿病の管理には、有酸素運動、レジスタンス運動、ストレッチやバランストレーニングなど、さまざまな運動方法が効果を発揮します。有酸素運動は血糖値を下げ、心肺機能の向上や体脂肪の減少を促進し、心血管疾患のリスクを低下させる一方、レジスタンス運動は筋力を増強し、高齢者の転倒予防にも効果的です。この記事では、それぞれの運動の特徴と糖尿病に対する具体的な効果について理学療法士の河江さんが解説します。
監修理学療法士:
河江 敏広(理学療法士)
編集部
有酸素運動は糖尿病にどのような効果があるのでしょうか?
河江さん
有酸素運動はインスリン感受性を高めたり、インスリン抵抗性を改善させたりするために有効です。また、有酸素運動単独では心肺機能の向上、体脂肪の減少の点でほかの運動方法より優れていると言えます。一方で、筋力の増強に関する効果はレジスタンス運動(筋力トレーニング)より低いことが知られています。さらに有酸素運動では1型並びに2型糖尿病において心血管疾患による死亡率を低下させることが証明されています。
編集部
レジスタンス運動の糖尿病に対する効果も教えてください。
河江さん
レジスタンス運動は有酸素運動と同様に、インスリン感受性を高める効果があります。さらに、レジスタンス運動は筋肉量を増したり筋力を増強させたりするという点において、有酸素運動より優れています。また、高齢者においては特にレジスタンス運動は重要であり、長期間実施することでバランス能力を高めて転倒を予防する働きも認められています。変形性関節症による痛みに対してもレジスタンス運動が有効であるということが科学的に示されています。
編集部
ストレッチやバランストレーニングは糖尿病にどのような効果がありますか?
河江さん
ストレッチやバランストレーニングは、高齢の糖尿病患者において様々な効果が示されています。高齢患者においては糖尿病の影響で関節が硬くなることが知られているため、ストレッチを実施することで筋、関節などの柔軟性を高め、関節の可動域が拡大する効果が期待されます。また、バランストレーニングは糖尿病の3大合併症の1つである糖尿病神経障害を有する場合においては、バランス能力を改善させることが報告されています。
※この記事はMedical DOCにて【糖尿病患者は運動すると何が改善できる? 運動時の注意点を理学療法士に聞く】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。