「ワセリン」でニキビは改善できる? できない? 正しい効能をご存じですか?
ワセリンはニキビの原因「アクネ菌」への殺菌作用はありませんが、増殖を抑える効果が期待できるようです。ワセリンの正しい効果について、薬剤師の玉井さんに解説してもらいました。
監修薬剤師:
玉井 大輔(薬剤師)
編集部
ワセリンの成分や保湿剤としての作用はどんなメカニズムでしょうか?
玉井さん
市販薬としても販売されているワセリンは、天然成分である石油の純度を高めた製剤です。皮膚に塗布すると形成される油膜が毛穴からの水分の蒸発を抑えることによる保湿作用と、外気からの異物の侵入を防ぐことによる保護作用を同時に発揮します。
編集部
ワセリンはどんな時に使用するのですか?
玉井さん
ワセリンは天然成分由来で刺激性の少ない保湿剤および保護剤であるため、皮膚の薄い首から上の顔の部分を含めた全身の乾燥肌に使用することが可能です。例えば、入浴や洗顔の後の肌の保湿、唇のひび割れ、髪の毛のダメージを保護するヘアケアなどにも効能が期待できます。
編集部
ワセリンはニキビの原因となるアクネ菌にも効果があるのですか?
玉井さん
石油成分で構成されているワセリンには、ニキビの原因となるアクネ菌に対する直接的な殺菌作用はありません。一方で、保湿作用によってアクネ菌の良好な生育環境となる乾燥状態を防ぐことで、間接的に増殖を抑える効果が期待できると考えられています。
編集部
ニキビにワセリンを使用するときの注意点はありますか?
玉井さん
ニキビの原因菌であるアクネ菌は酸素を好まない嫌気性菌であり、毛穴の皮脂を栄養源として増殖します。そのため、ニキビの進行具合によっては、ワセリンを塗布することでアクネ菌にとって良好な繁殖状態を生み出し、病状を悪化させてしまうリスクがあります。
※この記事はMedical DOCにて《【薬剤師監修】「ワセリン」の効果や正しい使い方は? 乾燥肌を予防するための使用方法》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。