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胃薬の一種「H2ブロッカー」の効果をご存知ですか? 薬剤師が解説

 公開日:2024/05/28
H2ブロッカー とは

お腹の調子が悪いとき、多くの方は胃薬を服用すると思います。そんな胃薬のなかで、近年「H2ブロッカー」という名前をよく耳にします。いったい、H2ブロッカーとはどのような効果がある薬なのか、薬剤師の本多さんに詳しくお話を聞きました。

※この記事はMedical DOCにて【H2ブロッカーって何? どうして即効性があるの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

本多 修平

監修薬剤師
本多 修平(薬剤師)

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九州保健福祉大学薬学部を卒業後、総合病院で経験を積み、現在は精神科の門前薬局に勤務。薬についての正しい情報を発信するため、地域住民の啓蒙活動に力を入れている。2022年1月〜ライターとしても活動中。

編集部編集部

はじめに、H2ブロッカーという薬について教えてください。

本多 修平さん本多さん

ヒスタミンH2受容体(以下、H2受容体)を遮断することで、胃酸分泌を抑える胃薬です。胃酸の分泌には3つの物質が関わっています。そのうちの1つが「ヒスタミン」です。通常、ヒスタミンが胃壁細胞にある「H2受容体」に結合することで、胃酸の分泌が促進されるのですが、ここにH2ブロッカーが入るとH2受容体が遮断されるので、ヒスタミンがH2受容体に結合できなくなります。その結果、胃酸の分泌が抑えられるのです。

編集部編集部

胃薬ということは、胃痛の時に服用するのですよね。

本多 修平さん本多さん

はい。ストレスや食べすぎ、飲みすぎによる胃痛に加え、胸やけなどの際にも使われます。通常、胃酸で胃が傷つかないように、胃の内側表面を胃粘膜が保護しています。ストレスや食べすぎで胃酸が増えると、胃粘膜による保護が追いつかず、胃が傷ついて胃痛を起こします。また、胃酸が食道へ逆流した結果、胸やけが起こります。これらの症状は、胃酸の過剰分泌を抑えることで改善します。処方せん医薬品のH2ブロッカーには、胃・十二指腸潰瘍の適応もあります。

編集部編集部

薬局やドラッグストアでも購入できますか?

本多 修平さん本多さん

購入できます。「ガスター10®︎」という商品名を聞いたことがあるのではないでしょうか。この「ガスター10®︎」に含まれる成分が「ファモチジン」というH2ブロッカーです。もともと、ファモチジンは処方せんが必要な薬でしたが、1997年に市販薬として登録されました。

編集部編集部

ほかの胃薬との違いを教えてください。

本多 修平さん本多さん

H2ブロッカーは胃酸分泌抑制薬で、胃潰瘍治療薬に分類されます。胃潰瘍治療薬には、ほかに中和薬、防御因子増強薬があります。中和薬は、胃内の酸性度を下げることで、胃が傷つくのを防ぎます。即効性がある一方で持続性がないため、1日に数回の服用が必要で、主に一時的な症状の緩和に用いられます。防御因子増強薬は、胃酸から胃を守る胃粘膜の防御力を上げる薬です。即効性はなく、穏やかに作用するのが特徴です。治療においては補助的に使われることが多く、主に痛み止めによる胃潰瘍予防に使用されている印象です。胃酸分泌抑制薬の中にも数種類ありますが、医療の現場で広く用いられているのは、H2ブロッカーとPPIだけです。

編集部編集部

ちなみに、PPIとは何ですか?

本多 修平さん本多さん

H2ブロッカーよりも強力に、胃酸の分泌を抑える薬です。PPIは、胃酸を分泌する「プロトンポンプ」と呼ばれる機構の働きを直接妨げます。PPIは処方せん医薬品のみの取り扱いとなっています。

この記事の監修薬剤師

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