ストレス性胃炎に効く市販薬の選び方 症状別のポイントを薬剤師が紹介
現代のストレス社会で、私たちは日々多くのストレスにさらされています。そんなストレスが原因で、知らず知らずのうちに胃炎を引き起こしてしまうケースも多いのではないでしょうか。そんなストレス性胃炎が一体どんな症状を引き起こすのか、ストレス性胃炎なってしまった場合はどう対処すれば良いのか。薬剤師の松田さんを取材しました。
監修薬剤師:
松田 萌香(薬剤師)
ストレス性胃炎とは? 症状や原因を解説
編集部
そもそも胃はどんな働きをしているのでしょうか?
松田さん
胃は、食べたものを消化する役割の臓器です。胃では、食物の消化に必要な胃酸と、胃粘膜を守る胃粘液のバランスが保たれています。しかし、さまざまな原因で胃酸が多くなったり、胃粘液が減ったりすることで、胃を傷めて胃炎を引き起こしてしまいます。
編集部
どうして胃酸と胃粘液のバランスが崩れるのですか?
松田さん
まず、胃酸が多くなる原因として ①寝不足などの生活習慣の乱れ②暴飲暴食③アルコールや辛いものなど刺激物の摂取④仕事・子育て・人間関係などによるストレスが挙げられます。次に、胃粘液を減らす要因のひとつとして、NSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛薬(バファリンやロキソニンなど)の常用が挙げられます。
編集部
今回はストレス性胃炎に話しを絞ります。ストレス性胃炎ではどんな症状が出てきますか?
松田さん
長期間気分がふさぐ、のどがつかえる、お腹が突っ張る痛み、胸やけなどがあります。そのほかにも、ストレス性胃炎では、自律神経の乱れにより、胃が痙攣を起こしていることがあります。この場合には胃がキリキリと痛むといったような症状が現れることが多くあります。現代のストレス社会では4人に1人の確率でストレス性胃炎を発症するともいわれています。
ストレス性胃炎に効果のある薬は?
編集部
どんな種類の薬が使われるのですか?
松田さん
過剰になっている胃酸を抑えたり中和したりする働きのH2ブロッカーや制酸薬、胃粘膜を守るための胃粘液を増強させる胃粘膜保護薬を使うことが多いですね。また、ストレスにより自律神経が乱れることで胃が過剰に収縮してしまい胃痛の原因になることがあります。その場合は自律神経のバランスを保つ働きをする抗コリン薬が用いられます。
編集部
市販薬でも対応できますか?
松田さん
対応可能です。症状に合わせて薬を選ぶと良いでしょう。胃痛・胸やけには、酸分泌を抑える成分であるファモチジンやニザチジンが配合されている「ガスター10」「アシノンZ」、胃酸を中和する成分である無水リン酸水素カルシウムや沈降炭酸カルシウム、水酸化マグネシウムなどが配合された「サクロン」「パンシロンAZ」、胃粘膜を保護するスクラルファートやテプレノン配合の「スクラート胃腸薬」「セルベール」が有効です。
編集部
胃がキリキリと痛む場合はどの薬を選ぶといいのでしょうか?
松田さん
胃がキリキリと痛む場合には、胃の痙攣を抑える成分であるチキジウム臭化物やブチルスコポラミン臭化物配合の「ストパン」「ブスコパン」が効果的です。
編集部
症状がはっきりとしない時にはどうすれば良いですか?
松田さん
総合胃腸薬である「セルベール」「太田胃酸」「パンシロン」などの薬剤が効果的です。このお薬は、制酸薬や胃粘液保護薬、健胃薬などのお薬がいくつか配合されたものです。ただし、効果がマイルドなお薬が多いため、症状がはっきりしない場合は病院への受診をお勧めします。診断により、症状にマッチしたお薬を服用することで、早期完治に繋がります。
ストレス性胃炎かな? と思ったら
編集部
ストレス性胃炎は自分でチェックすることも可能なのでしょうか?
松田さん
・胸やけ
・下痢
・便秘
・腹部膨満感
・食欲不振
・肩こり
・頭痛
・疲労感
・めまい
・不眠
編集部
ストレス性胃炎を予防するためにできることはあるのでしょうか?
松田さん
胃はとてもストレスに弱い臓器です。そのため、過度にストレスをかけないよう胃に優しい食事を心がけたり、適度な運動をしたり、しっかりと休息をとることが大切です。
編集部
それでも治らなかったらどうすれば良いですか?
松田さん
痛みが1ヶ月以上続く場合や、市販薬を飲んでも効果がない場合は病院を受診しましょう。胃の痛みや胸やけなど、症状がひどい場合には内科や消化器内科を、気分がふさぐなどの精神的なストレスが大きい場合には心療内科を受診すると良いでしょう。
編集部まとめ
今回は、ストレス性胃炎とその対処法について学ぶことができました。セルフチェックもできるようなので、ストレス性胃炎かな? と思ったらまずは自分自身でチェックしてみたいですね。とはいえ、現代においてストレスはつきものなので、自分なりに上手く付き合っていく方法を見つけておくと良いかもしれませんね。