「タトゥー」があるとMRI検査は受けられない? アートメイクもダメ?【専門家が解説】
「タトゥーがはいっていると、MRI検査が受けられない」という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか? 今回は、この説の真偽について「診療放射線技師」の隅田さんに解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【タトゥーがはいっているとMRI検査を受けられないってウソ? 本当?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修放射線技師:
隅田 吉政(放射線技師)
編集部
タトゥーがはいっているとMRI検査を受けられないと聞きましたが、本当でしょうか?
隅田さん
はい、タトゥーをいれている場合はMRI検査を受けられない可能性があるため、医師による確認が必要です。また、ほかにも妊娠・あるいは妊娠している可能性のある方や脳動脈クリップ、人工心臓弁、ステント、義歯、避妊リングを挿入している方も確認が必要になります。従来の一般的な植込み型デバイス(心臓ペースメーカー、植込み型除細動器、人工内耳、脳室シャント、脊髄刺激装置など)が植込まれた方はMRI検査を受けることは出来ません。しかし近年、MRI検査が可能な植込み型デバイスが開発され、日本にも導入されるようになりました。ただし施行にあたり、満たさなければならない施設基準や実施条件があるため、対応できる施設は限られているのが現状です。
編集部
タトゥーの何が原因で、MRI検査が受けられないのでしょうか?
隅田さん
タトゥーの着色顔料に酸化鉄などの金属が使われている場合、MR画像を得るために照射するRF波(radio frequency pulse)によってその成分が熱を帯びてしまい、火傷する可能性があるためです。特に濃い顔料のタトゥーや図柄がループ状のものは影響を受けやすいため、注意が必要です。熱を感じた時、すぐに装置を停止するという対策は考えられていますが、実際には低温火傷となり、検査が終了してから分かることが多いようです。
編集部
アートメイクはどうでしょうか?
隅田さん
アートメイク専用の色素に含まれる金属含有量はかなり少ないため、MRI検査では問題ないとされています。ただし、用いる色素によっては金属含有量が多いものもありますので注意が必要です。また最近の研究では、アートメイクでの火傷は金属そのものによるものではなく、開いた目の上下のアイラインがリング状になるため、誘導電流が発生して熱が生じるとされています。したがって、検査中に目を閉じていれば問題ないということになります。