「ナッツ類が体に良い理由」はご存じですか? 便通をスムーズにし腸内環境改善も
ナッツ類が健康や美容に良い理由として、管理栄養士の川島さんは、ビタミンEの「抗酸化作用」 (老化防止)、食物繊維による「便通をスムーズに」する働き、不飽和脂肪酸による悪玉コレステロールを下げる効果などに期待が持てると語ります。詳しく解説してもらいました。
監修管理栄養士:
川島 尚子(管理栄養士)
編集部
「ナッツは体にいい」とよく聞きますが、なぜ体にいいのですか?
川島さん
ナッツ類はビタミンやミネラル、良質な脂質など栄養素が豊富なので、体にいいと言われています。代表的なものは「ビタミンE」「食物繊維」「不飽和脂肪酸」などですね。
編集部
それぞれの栄養素について教えてください。まずはビタミンEからお願いします。
川島さん
ビタミンEは、脂溶性ビタミンという水に溶けず脂肪や肝臓に蓄えられるビタミンです。私たちは酸素を使って生きていますが、その酸素が体の中で使いやすい形の活性酸素という物質に変化しています。この活性酸素が体の中で増えすぎてしまうと酸化が起こり、細胞を傷つけてしまいます。酸化はがんや動脈硬化など生活習慣病の原因や、シミ・しわといった老化の原因になります。ビタミンEにはこの酸化から体を守ってくれる「抗酸化作用」があり、若返りのビタミンとも呼ばれています。
編集部
食物繊維にはどのような働きがありますか?
川島さん
食物繊維は水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維に分かれています。このうちナッツ類には不溶性食物繊維が豊富に含まれています。不溶性食物繊維の働きとしては水分を吸収して腸の中で膨らむことにより、便のかさを増やしてくれます。それによって腸が刺激され、便通がスムーズになります。また、腸の中の細菌によって発酵や分解がされることに加え、有害な物質を吸着して排出してくれる働きもあるので、腸内環境の改善が期待できます。
編集部
不飽和脂肪酸とはどのようなものでしょうか?
川島さん
脂肪を構成する脂肪酸は2種類ありますが、そのうち動物性の脂に多く含まれるものを飽和脂肪酸、魚や植物の脂に多く含まれるものを不飽和脂肪酸と言います。飽和脂肪酸は摂りすぎると動脈硬化や脂質異常症をはじめとした生活習慣病の原因となりますが、不飽和脂肪酸には体にいい効果がたくさんあります。アーモンドなどに多く含まれるオレイン酸にはビタミンEと同じく抗酸化作用があり、クルミなどに多く含まれるα-リノレン酸には動脈硬化の改善などが期待できます。また、いずれも悪玉コレステロールを下げる働きがあります。
編集部
その他に注目する栄養成分はありますか?
川島さん
クルミに多く含まれているポリフェノールは植物が持つ苦みや色みの成分のことで、強い抗酸化作用があります。また、カシューナッツには不足しがちな亜鉛が多く含まれ、味覚障害や薄毛などの予防につながります。