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俳優・名取幸政さん「胆嚢がん」で死去 どんな病なのか、原因・症状を医師が解説

 公開日:2024/12/25

俳優の名取幸政さんが21日、「胆嚢がん」のために亡くなっていたことが報じられています。82歳でした。胆嚢がんは、消化器系のがんの中でも比較的まれながんの1つです。そのため、胆嚢がんの症状や原因、治療方法については十分に知られているわけではありません。そこで、胆嚢がんの基本的な知識から、その原因・症状・治療方法について医師の甲斐沼先生に解説してもらいました。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

プロフィールをもっと見る
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

胆嚢がんとは?

胆嚢がんは、消化器系のがんの一種で、胆嚢と呼ばれる小さな臓器に発生する悪性腫瘍です。
胆嚢は、肝臓から分泌される胆汁を一時的に蓄え、食事によって刺激されると胆汁を十二指腸に送り出す役割を果たしています。胆嚢がんは、この胆嚢の内壁から発生し、進行すると周囲の臓器やリンパ節に広がる可能性があります。
胆嚢がんは、初期段階では自覚症状が少ないため、発見が遅れる傾向にあるといえるでしょう。そのため、診断された際には進行していることが多く、治療が困難ながんとされています。早期発見と適切な治療が重要であり、定期的な健康診断や自覚症状に注意を払うことが求められます。

胆嚢がんの原因は?

胆嚢がんの発症の原因として代表的なものは下記の5つです。

  • 胆石
  • 胆嚢ポリープ
  • 慢性胆嚢炎
  • 高脂肪な食事・飲酒・喫煙などの生活習慣
  • 遺伝的要因

原因の1つとして考えられているのが、胆石です。胆嚢に石ができる状態を胆石症といい、この胆石が長期間存在し、胆嚢の内壁に炎症や刺激が続くことでがん化するリスクが高まるとされています。
また、胆嚢の内壁から突き出た良性の腫瘍を胆嚢ポリープといい、この胆嚢ポリープは時間の経過とともに悪性化する可能性があります。
さらに、慢性胆嚢炎も胆嚢がんのリスク要因の1つです。胆嚢が炎症することを慢性胆嚢炎といい、胆嚢炎を繰り返すことで、胆嚢の細胞に変化が生じる場合もあります。それによって、胆嚢の細胞ががん化するリスクを増加すると考えられています。
食生活や生活習慣も胆嚢がんのリスクを高める要因です。特に、高脂肪の食事・過度なアルコール摂取・喫煙などが胆嚢がんのリスクを高めることが知られています。
ほかにも、遺伝的要因も胆のうがんの原因の1つと考えられています。そのため、家族に胆嚢がんになった人がいる場合には、注意が必要です。もちろん、これらのリスクファクターが存在するからといって、必ずしも胆嚢がんになるわけではありません。しかし、リスクファクターを持つ人は定期的な健康診断や専門の医師の診察を受けることで、早期発見・早期治療につなげることが重要です。

胆嚢がんの症状

胆嚢がんは、初期段階では特有の症状が現れにくい病気です。しかしながら、がんが進行すると下記のような症状が現れる可能性もあります。

  • 腹痛
  • 腹部膨満
  • 腹部腫瘤
  • 黄疸
  • 悪心・嘔吐
  • 体重減少

ここでは、これらの症状について詳しく解説をしましょう。

腹痛

胆嚢がんになると、右上腹部に痛みを感じることがあります。この痛みは、胆嚢や胆管に腫瘍ができることで引き起こされるもので、持続的なものや鈍痛として現れることが多いです。

腹部膨満

胆嚢がんが進行すると、腫瘍が胆汁の流れを妨げることで、腹部が膨満感を持つようになります。これは、胆汁の滞りによるもので、食事後は特に強くなることがあります。

腹部腫瘤

腹部腫瘤も胆嚢がんの症状の1つです。腹部にしこりや腫瘤を触れる場合があります。特に右上腹部にしこりや腫瘤を感じることが多いです。

黄疸

胆嚢がんが胆管を圧迫すると、胆汁の流れが妨げられ、皮膚や目の白目が黄色くなる黄疸が現れます。また、尿が濃い茶色になる場合もあります。

悪心・嘔吐

悪心・嘔吐も胆嚢がんによる症状の1つです。胆嚢がんが周辺の十二指腸や大腸にまで広がり、食べ物や便の通りが悪くなると生じます。

体重減少

胆嚢がんの進行に伴い、食欲不振や消化不良が起こることで、体重が減少する場合もあります。特に、急激な体重減少が見られる場合は、注意が必要です。

胆嚢がんの検査内容は?

胆嚢がんを診断するためには、画像診断・内視鏡検査・血液検査といった3つの検査方法が主に利用されます。これらの検査は、がんの存在・進行度・転移の有無などを確認するために行われます。ここでは画像診断・内視鏡検査・血液検査の3つの検査について詳しく解説をしましょう。

MRI・CT・超音波検査などの画像診断

胆嚢・胆道・肝臓などの内臓の状態を詳しく観察するために、MRI・CT・超音波検査が行われます。これらの画像診断によって腫瘍の大きさ・位置・周囲の組織にがんの広がり範囲などが評価されます。特に、超音波検査は身体を傷つけない検査であり、初期の診断ツールとして用いられることが多い検査方法です。

内視鏡検査

内視鏡検査も胆嚢がんを調べるための重要な検査方法です。この検査では、細い内視鏡を体内に挿入して直接胆道の内部を観察します。また、必要に応じて組織のサンプルを採取して病理検査を行うことで、がんの有無や種類を確認します。

血液検査

胆嚢がんの診断や進行度を評価するための補助的な検査として行われるのが、血液検査です。特定の腫瘍マーカー・肝機能・胆汁の成分などを測定することで、がんの存在や進行状況を評価できます。

胆嚢がんの治療方法

胆嚢がんの主な治療方法としては、手術と化学療法の2つがあります。ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説をしましょう。

手術療法

胆嚢がんの主な治療方法の1つが手術療法です。がんが初期段階であり、他の臓器への転移していない場合には手術によって胆嚢を摘出することが考えられます。
しかし、胆嚢の周囲の組織や臓器に広がっている場合、それらの部分も同時に摘出しなければならない場合があります。この手術の目的は、がん組織を完全に取り除くことで再発のリスクを低減することです。

化学療法

手術が困難な場合やがんが進行している場合に、選択される治療方法が化学療法です。化学療法は、がん細胞の成長を抑制する薬剤が使用され治療を行います。これにより、がんの進行を遅らせたり、症状を緩和したりすることが可能です。
化学療法は、単独で行われることもあれば手術や放射線治療と併用して行われることもあります。

編集部まとめ

今回の記事では、胆嚢がんの症状について詳しく解説しました。

しかしながら、胆嚢がんは初期症状がないことも多いため、症状が出始めたときには治療が困難になっている場合もあります。

そのため、健康診断やがん検診を定期的に受け、胆嚢がんを早期発見することが大切です。

※この記事はメディカルドックにて《「胆嚢がんの原因」はご存知ですか?症状・検査法・治療法も解説!【医師監修】》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその執筆時のものです。

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