「軽度認知障害」の初期症状はご存知ですか?認知症との違いも医師が徹底解説!

軽度認知障害とは?Medical DOC監修医が軽度認知障害の症状や初期症状などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「軽度認知障害」の初期症状はご存知ですか?認知症の違いも医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
石飛 信(医師)
目次 -INDEX-
「軽度認知障害」とは?
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)とは、認知症と健康な方の中間のような状態を指します。
MCIの方は、同年代の方と比べて認知機能の低下がみられる状態です。しかし、必ず認知症にまで至ってしまうとは限りません。MCIの方のうち、1年以内に認知症に進行する人はおよそ10%とされています。そのほかの場合、MCIのレベルにとどまる方や、年相応のレベルにまで回復する方もいます。
今回の記事では、MCIと認知症の違いや、MCIや認知症のリスクと考えられている事項について解説します。
軽度認知障害と認知症の違い
MCIと認知症との違いは、日常生活への影響の有無にあります。
認知症は記憶障害や判断力低下により生活に支障をきたす状態ですが、MCIはまだ自立した生活が可能です。
以下に、MCIと認知症を比較してみましょう。
| 比較項目 | 軽度認知障害(MCI) | 認知症(進行した段階) |
|---|---|---|
| 記憶力 | 年齢の平均より低下 | 著しく低下 |
| 判断力 | やや低下 | 明らかに低下 |
| 日常生活 | ほぼ自立 | 介助が必要になることが多い |
| 回復の可能性 | 改善・安定もありうる | 原因によるが、回復が難しい場合が多い |
特に、MCIでは記憶力の低下から始まることも多くみられます。以前よりも物忘れが多くなった、周りの方から物忘れを指摘されるようになった、という場合には、もの忘れ外来を受診することがすすめられます。早期に発見し、生活習慣を見直すことで、MCIの段階で進行を止められるケースもあります。
軽度認知障害の代表的な症状や特徴
MCIの代表的な症状としては以下のようなものが挙げられます。こうした症状があっても、日常生活動作は自立しています。
物忘れが増える
MCIでは、記憶障害が初期の段階から起こりやすいです。新たなことを覚えることが苦手になる場合もあります。最近の出来事を思い出せない、同じ話を何度もしてしまうといった記憶障害が現れます。ただし、日付や人の名前など一部を忘れる程度で、ヒントがあれば思い出せるのが特徴です。
対応としては、メモを取る、予定をカレンダーで管理するなど、生活の工夫が有効です。もの忘れ外来や神経内科、精神科などで検査が可能です。
注意力や集中力、判断力の低下がみられる
以前より、物事に対する注意力や集中力が低下することも症状としてみられます。複数の作業を同時に行うことが苦手になったり、買い物で計算間違いをしたりするなど、判断力の低下が見られます。
交通場面での判断ミスが増える場合もあり注意が必要です。
普段の生活で金銭管理や運転などに不安を感じた場合は、早めの相談が望まれます。
計画をたてて物事を進めることが苦手になる
MCIでは、遂行(すいこう)障害がみられることもあります。例えば、自分で計画を立ててものごとを実行することが難しくなる、人の指示を受けなければ何もできない、などの症状が現れます。
軽度認知障害の前兆となる初期症状
先に述べたようなMCIの症状が明確になる前に、以下のような症状が前兆として現れることがあります。気になる症状があるときには、物忘れ外来や脳神経内科外来などを受診しましょう。
うっかりミスが増える
記憶障害や注意障害の症状として、ものの置き忘れや、支払うべき公共料金の請求を忘れるなどのうっかりミスが増えることがあります。
約束を忘れる
記憶力の低下が、約束を忘れてしまうという形で現れることもあります。加齢による「ど忘れ」との違いは、「思い出せないままになってしまう」点です。
適切な言葉が出てこなくなる
言語障害の症状がみられることもあります。言葉を思い出すあるいは呼びます喚語(かんご)が困難になることや、言葉の理解ができなくなるといった症状です。知っているはずの単語や人の名前がすぐに出てこない「語想起障害」が現れることもあります。
会話中に「あれ」「それ」といった指示語が増えるのもサインの一つです。
「軽度認知障害」についてよくある質問
ここまで軽度認知障害について紹介しました。ここでは「軽度認知障害」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
軽度認知障害は完治するのでしょうか?
石飛 信 医師
MCIから健常な状態に戻る割合は、16〜41%とされています。
MCIの段階からきちんとケアを行い、認知症にならないようにすることが大切です。
MCIから認知症への進行を予防するための方法としては、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの持病をきちんと管理することが重要です。さらに、適度な運動を行うことが推奨されています。
軽度認知障害はどれくらいの速度で進行するのでしょうか?
石飛 信 医師
研究によっても異なりますが、1年で5〜15%の方がMCIから認知症へと移行することがわかっています。
早期の段階で、認知症予防の対策を講じることで、認知症への進行を遅らせることができたり、健常な状態に回復したりすることも期待できます。
編集部まとめ
今回の記事では、軽度認知障害(MCI)について解説しました。
MCIは、認知症の前段階として見逃してはいけないサインともなります。
「以前より物忘れが増えた」「なんだか言葉が出づらくなった」などの症状がみられる場合には、まずは物忘れ外来や脳神経内科外来などを受診しましょう。早めに行動することで認知症への進行を防ぐことができる可能性もあります。
「軽度認知障害」と関連する病気
「軽度認知障害」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経内科の病気
- アルツハイマー病
- 脳血管性認知症
- レビー小体病
- 慢性硬膜下血腫
- 正常圧水頭症
- 脳腫瘍
精神科の病気
内科の病気
- アルコール中毒
- ビタミンB12欠乏
認知症をきたす原因にはさまざまなものがあります。なかでも、MCIはアルツハイマー病を背景としている場合が多いです。早期発見、早期対応が大切です。
「軽度認知障害」と関連する症状
「軽度認知障害」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 物忘れ
- 注意力・判断力の低下
- 言葉が出にくくなる
- 計画をたてて物事を進めることが難しくなる
MCIでは、これらのような症状が現れることがあります。気になる場合には、認知症専門医の診察を受けるようにしましょう。