家族や自身に「認知症の中核症状が現れた時の対処法」とは?【医師解説】

メディカルドック監修医が家族や自身に認知症の中核症状が現れた時の対処法などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『脳の細胞が壊れると現れる「認知症の中核症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
秋谷 進(東京西徳洲会病院小児医療センター)
目次 -INDEX-
「認知症」とは?
特定の病名ではなく、何らかの原因で脳の機能が低下し、記憶や判断力などに支障が出て日常生活が困難になっている「状態」のことです。原因によって、「アルツハイマー型認知症」や「レビー正体型認知症」など、さまざまなタイプがあります。
「中核症状」とは?
認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状」の2つに分けられます。
中核症状とは、脳の神経細胞が壊れることで直接引き起こされる、認知症の基本的な症状です。認知症と診断された方には、程度の差こそあれ、ほぼ必ず見られます。
「周辺症状」とは?
中核症状を土台として、ご本人の性格や環境、心理状態などが影響して現れる二次的な症状です。「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれます。
重要なのは、BPSDの背景には、ご本人の不安だけでなく、身体的な苦痛(痛み、かゆみ、便秘など)や、環境への不満、不適切なケアなどが隠れていることが多いという点です。
なので周辺症状が見られたら、必ず原因を考えて見てください。
家族や自身に認知症の中核症状が現れた時の対処法
認知症を持つ方のご家族ができる最も大切なことは以下の3つです。
①本人の尊厳を守る
認知症になっても、感情やプライドがなくなるわけではありません。「できないこと」を責めるのではなく、「できること」に目を向け、一人の人間として尊重するようにしましょう。
②本人が安心できる環境を整える
ご本人が混乱しないよう、生活環境をシンプルに整えることが有効です。
穏やかで落ち着いた雰囲気が、ご本人の安心につながります。
➂介護する人が一人で抱え込まない
ご家族の介護は、心身ともに大きな負担がかかります。デイサービスなどの介護保険サービスや、地域の家族会などを積極的に利用し、外部の助けを積極的に借りるようにしましょう。
介護する方が休息をとることが、結果としてより良い介護につながります。
「認知症の中核症状」についてよくある質問
ここまで認知症の中核症状について紹介しました。ここでは「認知症の中核症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
認知症の中核症状とBPSDの違いについて教えてください。
秋谷 進 医師
はい、これはとても重要なポイントですね。改めて整理しますと、
・中核症状:脳の細胞が壊れることで直接起こる症状です。記憶障害や見当識障害など、認知症の方であれば誰にでも起こりうる基本的な症状です。
・BPSD(周辺症状):中核症状という土台の上に、ご本人の性格や環境、心理状態などが影響して起こる二次的な症状です。妄想や徘徊、抑うつなどで、症状の現れ方には大きな個人差があります。
このように整理して考えると、「なぜこうした症状を起こしているのか」がわかりやすくなります。
編集部まとめ
今回は、認知症の「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」、そしてその治療法や対処法について解説しました。ぜひ理解したことを踏まえて、本人の行動を一度見直してみてください。「この症状は周辺症状の○○が関与しているな」と理解しやすいはずです。
頭の理解は気持ちの整理に、そして寛容な心につながります。ぜひ認知症のことを知って、おおらかな気持ちでご対応ください。
「認知症」と関連する病気
「認知症」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
生活習慣病やうつ病は認知症のリスク因子として知られています。甲状腺疾患や水頭症による認知症症状は、適切なタイミングと治療によって治る可能性があります。歳のせいと決めつけずに、一度専門医療機関で検査を受けることも考慮してください。
「認知症」と関連する症状
「認知症」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 難聴
- 意欲の低下
- 物忘れ
- せん妄
- 睡眠障害
認知症はご本人にとってもご家族にとっても辛い病気ではありますが、早めに気づいて対応することで進行を抑えることができる可能性があります。気になる症状があれば早めに専門医療機関で相談するようにしましょう。