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「認知症の中核症状」はご存知ですか?周辺症状も医師が徹底解説!

 公開日:2025/12/21
脳の細胞が壊れると現れる「認知症の中核症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

メディカルドック監修医が認知症の中核症状・周辺症状などを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『脳の細胞が壊れると現れる「認知症の中核症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

秋谷 進

監修医師
秋谷 進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

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1999年、金沢医科大学卒業。金沢医科大学研修医を経て2001年国立小児病院(現・国立成育医療研究センター)小児神経科、2004年6月獨協医科大学越谷病院(現・獨協医科大学埼玉医療センター)小児科、2016年児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科を経て、2020年5月から現職(東京西徳洲会病院小児医療センター)。専門は小児神経学、児童精神科学。

「認知症」とは?

特定の病名ではなく、何らかの原因で脳の機能が低下し、記憶や判断力などに支障が出て日常生活が困難になっている「状態」のことです。原因によって、「アルツハイマー型認知症」や「レビー正体型認知症」など、さまざまなタイプがあります。

「中核症状」とは?

認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状」の2つに分けられます。
中核症状とは、脳の神経細胞が壊れることで直接引き起こされる、認知症の基本的な症状です。認知症と診断された方には、程度の差こそあれ、ほぼ必ず見られます。

「周辺症状」とは?

中核症状を土台として、ご本人の性格や環境、心理状態などが影響して現れる二次的な症状です。「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれます。
重要なのは、BPSDの背景には、ご本人の不安だけでなく、身体的な苦痛(痛み、かゆみ、便秘など)や、環境への不満、不適切なケアなどが隠れていることが多いという点です。
なので周辺症状が見られたら、必ず原因を考えて見てください。

認知症の中核症状

では、具体的にどのような中核症状があるのか見ていきましょう。

①記憶障害

認知症で最もよく知られる症状です。
特に、「新しい出来事を覚えられない」のが特徴で、「さっき食べた朝ごはんの内容」ではなく、「食べたこと自体」を忘れてしまいます。

ご本人に忘れた自覚がないことも多いため、忘れていることを強く指摘すると、ご本人を傷つけ、不安にさせてしまいます。「そうだったのね」と一度受け止め、さりげなく手助けする姿勢が大切です。

② 見当識(けんとうしき)障害

時間、場所、人物などが分からなくなる症状です。
最初は「今日の日付が分からない」といった時間の混乱から始まり、進行すると「慣れた道で迷う」「家族の顔が分からない」といった場所や人物の混乱へと広がります。

ご本人が混乱している時は、まず安心させることが第一です。目立つ場所に大きなカレンダーを置くなど、視覚的に分かりやすい環境を整えることが助けになります。

③ 理解・判断力の障害

物事を筋道を立てて考えたり、状況に応じて判断したりすることが難しくなります。
「一度に複数のことを頼まれると混乱する」「季節に合わない服装をする」といった様子が見られます。

話しかける際は、「ゆっくり、はっきりと、短い言葉で」、一度に伝える情報は一つに絞ると、ご本人も理解しやすくなります。

④ 実行機能障害

計画を立て、段取りよく物事を進めることができなくなる症状です。

長年続けてきた料理の手順が分からなくなったり、電化製品の操作に戸惑ったりするのが典型的な例となります。

一つの作業に集中できるよう、周りの環境をシンプルに整え、隣で一緒に作業するなど、ご本人の不安を和らげる工夫が有効です。

⑤ 失行・失認・失語

これらは特定の脳機能の低下によって起こる症状です。

・失行(しっこう):体の機能は正常なのに、お箸の使い方や服の着方など、日常的な動作ができなくなります。
・失認(しつにん):目や耳は正常なのに、見たものが何か、聞いた音が何かを認識できなくなります。
・失語(しつご):言葉を「話す・聞く・読む・書く」ことが難しくなります 。

ご本人が伝えようとしていることを急かさず、ジェスチャーを交えるなど、コミュニケーションの工夫が大切になります。

認知症の周辺症状

次に、周辺症状です。これらの症状が見られた時、まず考えるべきは、その背景に隠れた原因です。

①不安・抑うつ・無気力

今までできたことができなくなる不安から、気分が落ち込んだり、何事にもやる気をなくしたりします。

ご本人の不安な気持ちに寄り添い、「つらいね」と共感し、安心できる環境を作ることが大切です。

②妄想・幻覚

最も多いのが「物盗られ妄想」です。
これは置き場所を忘れた不安から生じます。頭から否定せず、「それは大変、一緒に探しましょう」と訴えを受け入れる姿勢が、ご本人の安心につながります。

➂興奮・攻撃性

ささいなことで怒り出すことがあります。
その背景には、いらだちや不安だけでなく、体の痛みや便秘といった身体的な不快感が隠れていることが少なくありません。まずは何か身体的な不調がないか、環境に不快な点はないかを確認してみましょう。

④徘徊(はいかい)

あてもなく歩き回るように見えますが、ご本人には「家に帰る」などの目的がある場合がほとんどです。

無理に引き留めず、「どこかへ行かれるのですか?」と声をかけ、ご本人の目的や不安を探ってみましょう。

⑤睡眠障害

体内時計が乱れ、昼夜逆転してしまうことがあります。
日中に適度な運動をしたり、太陽の光を浴びたりする機会を作り、生活リズムを整えることが大切です。

「認知症の中核症状」についてよくある質問

ここまで認知症の中核症状について紹介しました。ここでは「認知症の中核症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

認知症の中核症状とBPSDの違いについて教えてください。

秋谷 進秋谷 進 医師

はい、これはとても重要なポイントですね。改めて整理しますと、
・中核症状:脳の細胞が壊れることで直接起こる症状です。記憶障害や見当識障害など、認知症の方であれば誰にでも起こりうる基本的な症状です。
・BPSD(周辺症状):中核症状という土台の上に、ご本人の性格や環境、心理状態などが影響して起こる二次的な症状です。妄想や徘徊、抑うつなどで、症状の現れ方には大きな個人差があります。
このように整理して考えると、「なぜこうした症状を起こしているのか」がわかりやすくなります。

編集部まとめ

今回は、認知症の「中核症状」と「周辺症状(BPSD)」、そしてその治療法や対処法について解説しました。ぜひ理解したことを踏まえて、本人の行動を一度見直してみてください。「この症状は周辺症状の○○が関与しているな」と理解しやすいはずです。
頭の理解は気持ちの整理に、そして寛容な心につながります。ぜひ認知症のことを知って、おおらかな気持ちでご対応ください。

「認知症」と関連する病気

「認知症」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

その他の病気

生活習慣病やうつ病は認知症のリスク因子として知られています。甲状腺疾患や水頭症による認知症症状は、適切なタイミングと治療によって治る可能性があります。歳のせいと決めつけずに、一度専門医療機関で検査を受けることも考慮してください。

「認知症」と関連する症状

「認知症」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 難聴
  • 意欲の低下
  • せん妄
  • 睡眠障害

認知症はご本人にとってもご家族にとっても辛い病気ではありますが、早めに気づいて対応することで進行を抑えることができる可能性があります。気になる症状があれば早めに専門医療機関で相談するようにしましょう。

この記事の監修医師

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