「パーキンソン病」の検査・治療法はご存知ですか?医師が徹底解説!
パーキンソン病の平均寿命とは?Medical DOC監修医がパーキンソン病の平均寿命・末期症状・原因・パーキンソン病になりやすい人・検査法・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「パーキンソン病の平均寿命」はどれくらい?末期症状についても医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
神宮 隆臣(医師)
目次 -INDEX-
「パーキンソン病」とは?
パーキンソン病とは、脳の中で中脳黒質という、運動機能に関わる部分の障害で発症します。手足が震える、手足が動かしにくい、歩き方が変などといった症状で気づかれて、発症します。だんだん進行する病気であり、完全に進行を止めたり、病気を治癒させたりする方法はまだありません。今回は、そのようなパーキンソン病のお話です。
パーキンソン病の検査法
頭部MRI検査
頭部MRI検査は、強力な磁石の力で画像を撮る検査です。頭部MRI検査では、パーキンソン病の特徴的な異常はありません。では、なぜ行う必要があるのでしょうか?
パーキンソン病の症状はパーキンソニズムと呼ばれます。パーキンソニズムを来す病気はたくさんあり、その中からどの病気らしいかを検査していきます。大脳皮質基底核変性症や多系統萎縮症、進行性核上性麻痺では、頭部MRIで特徴的な異常がでるので、見分けができます。そのような病気を除外するため、パーキンソン病が疑われる場合でも検査を行います。
MIBG心筋シンチグラフィ
パーキンソン病では発病初期から心臓における自律神経の働きが悪くなります。MIBG心筋シンチグラフィは、心臓の自律神経を評価する検査になります。心臓の自律神経に集まりやすい物質(MIBG)を注射して、どれだけ心臓に集まるかを調べます。パーキンソン病では初期からMIBGの集まりが低下します。パーキンソン病に似た症状を引き起こすレビー小体型認知症もこの検査で集まりが低下します。
ドーパミンシンチグラフィ
ドーパミンシンチグラフィでは、脳のドーパミンがどれほどあるかを検査します。検査方法は、検査薬を点滴から注射して、画像を撮ります。ドーパミンが低下している、パーキンソン病をはじめ、レビー小体型認知症、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺などで低下します。パーキンソン病に似ている本態性振戦や薬剤性パーキンソニズム、脳血管性パーキンソンニズムなどでは正常です。
パーキンソン病の治療法
内服治療
パーキンソン病の基本的な治療はお薬による治療になります。診断を受け、治療を始めた最初のころは、特にお薬の効果が高く、症状は著しく改善します。しかし、パーキンソン病は進行性の病気であり、病状は確実に進行します。さらに、パーキンソン病に罹っている期間が長くなれば長くなるほど、薬の効果も弱まってきます。お薬の量や種類を増やしたり、内服するタイミングを工夫したりして対応していきます。
リハビリテーション
パーキンソン病の初期から慢性期まで、リハビリテーションは有効とされています。体を動かしたり、大きな声でしゃべったりすることで、パーキンソン病で引き起こされる症状を緩和することができます。運動症状だけではなく、運動以外の症状にも効果があります。さらに、お薬などの治療に効果が乏しい場合にも、リハビリテーションは効果を発揮します。
外科的治療
パーキンソン病でも症状が進行すると手術による治療を行うことがあります。
現在、比較的よく行われている手術は、脳深部刺激療法です。パーキンソン病におけるふるえや体の動かしにくさを改善します。全身麻酔を行い、原因となっている脳の部分まで刺激を行うための電極を慎重に挿入します。症状の緩和はできますが、根治ではなく、この治療を受けたあとも症状は進行していきます。大きな手術にもなるため、年齢や病状を慎重に考慮して治療を行うかどうか判断します。
最近、行われるようになった治療は、集束超音波療法です。超音波を用いて、ふるえなどの原因となっている脳の部分を破壊します。この治療は、前述の脳深部刺激療法ができない方を主に対象とします。
いずれも治療を行う前に、十分に検討を行い個々人の状況に合わせて治療を行うべきかどうかを判断します。
「パーキンソン病の寿命」についてよくある質問
ここまでパーキンソン病の寿命などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病の寿命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
パーキンソン病を発症してから、どれくらいで寝たきりになりますか?
神宮 隆臣 医師
かつては15年以上経過すると寝たきりになるといわれていました。現在は治療薬も増えてきて、完全な寝たきりになる方は非常に少なくなっています。
パーキンソン病の進行スピードは早いのでしょうか?
神宮 隆臣 医師
パーキンソン病の経過は非常にゆっくりと進みます。急速に症状が進む場合は違う原因を探す必要があるでしょう。
編集部まとめ
パーキンソン病は、ふるえや体の動かしにくさなどで発症します。どの年代で発症しても命に関わる可能性は低い病気です。しかし、治癒させる治療法はなく、また、ゆっくりではありますが確実に進行します。日常生活が制限されていくので、病状に合わせてできることをできるうちに楽しむことも必要になります。
「パーキンソン病の寿命」と関連する病気
「パーキンソン病の寿命」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器科の病気
呼吸器科の病気
消化器科の病気
脳神経内科の病気
- レビー小体型認知症
- アルツハイマー型認知症
- 多系統萎縮症
- 前頭側頭型認知症
- 進行性核上性麻痺
パーキンソン病は似た症状の病気も多く、一緒に起こる別の症状もあります。気になることがあれば脳神経内科を受診してください。
「パーキンソン病の寿命」と関連する症状
「パーキンソン病の寿命」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 手足がふるえる
- 手足が動かしにくい
- 足が出ない
- 表情が乏しい
- よく倒れる
体の動きに関わる症状で気づく方が多いです。体の動きで困ることがあれば脳神経内科へご相談ください。