「認知症を予防」する可能性の高い「食べ物・飲み物」はご存知ですか?【医師解説】

Medical DOC監修医が認知症を予防する可能性の高い食べ物などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「認知症を予防」する可能性の高い「食べ物・飲み物」はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。
目次 -INDEX-
「認知症」とは?
認知症とは記憶力や判断力、思考能力、情報処理能力などが低下して、日常生活に支障が出ている状態を指す病名です。認知症には原因や症状により、記憶力の低下が主体となるアルツハイマー型認知症、幻視があり認知機能の変動が目立つレビー小体型認知症、性格が変わり非常識な行動をとりやすくなる前頭側頭型認知症、脳梗塞を原因で発症する血管性認知症などに分類されます。
年齢を重ねると、誰しもが若い時と比べて記憶力が低下しますが、その程度は人によってまちまちで高齢になっても大きな支障なく、自立した生活ができている方も少なくありません。ここでは認知機能低下の予防という点に注目して解説をいたします。
認知症を予防する可能性の高い食べ物
認知症の予防では、有効であると証明された食事や栄養素はなく、バランスのよい食事で一部の栄養素が不足しないようにすることが最も重要です。一方で証明されてはいないものの、認知症の予防に効果があるではないかと考えられている食べ物や飲み物はあるため、それらをご紹介いたします。
青魚
ドコサヘキサエン酸(DHA)はサバやイワシなどの青魚に多く含まれる脂肪酸であり、人間の体内で産生ができない必須脂肪酸です。DHAの血中濃度が138μg/mlよりも低い人に比べ、高い人で10年後の認知機能低下のリスクが0.11~0.17倍になったとの報告があります。
乳製品
牛乳などの乳製品はカルシウムや各種ビタミン、良質な蛋白質を含んでおり、優れた栄養価を持つ食品として知られています。ある研究では牛乳や乳製品をたくさん食べている人では、そうでない人に比べて認知機能が低下しにくかったとの報告があります。
大豆製品
大豆製品は植物性蛋白質、ミネラル、ビタミン、食物繊維に加え、イソフラボンなどの栄養機能成分も含まれることから健康の増進につながることが期待されている食品です。ある研究では男性では変わりありませんでしたが、女性では大豆製品やイソフラボンの摂取量の多い方で認知機能低下のリスクが0.5~0.7倍に低下したと報告があります。
赤ワイン
1日グラス3-4杯以上の赤ワインを飲む人では飲まない人と比べて0.19倍~0.31倍、認知症になりにくかったと1997年にボルドー大学が報告しており、認知症予防に有効であるとテレビでも取り上げられたため、聞いたことがある方も少なくないと思います。ただし、チューリッヒ大学の報告では赤ワインを飲む男性は認知症となる人が少なかったものの、女性では逆に認知症の人が多かったとの報告がされており、注意が必要です。
緑茶・コーヒー
緑茶やコーヒーを日常的に飲用している人では認知症が少ないとの報告があります。カテキンやポリフェノールなどが認知症の予防に寄与しているのではとの検討もされていますが、詳細はまだわかっていません。ある研究では1日2杯以上の緑茶を飲んでいる人は飲んでいない人に比べて認知機能低下のリスクが70%に低下すると報告されています。
「認知症の予防」についてよくある質問
ここまで認知症の予防などを紹介しました。ここでは「認知症の予防」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
コーヒーの摂取で認知症発症のリスクを軽減することはできるのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
はっきりとした結論は得られていませんが、コーヒーを日常的に摂取することは認知症の発症リスクを下げる可能性があると注目されています。ただ、カフェインが多く含まれており、飲用する時間や量によっては不眠などにより健康に悪影響が出てしまう可能性があります。無理に飲用することはせず、食後や人との社交時に取り入れるのがよいと思われます。
認知症予防に効果的なゲームについて教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
クロスワードや数独などの知的活動は認知症予防に有用と考えられています。「考える」「思い出す」などの行為を継続的に行えるものであれば、将棋や囲碁、クイズ、カラオケ、戦略ゲームなどさまざまなゲームが有用であるため、本人が楽しんで継続できるものを見つけるとよいでしょう。一方でパチンコやメダルゲームなどの「考える」「思い出す」などの知的活動をあまり必要せず、刺激を楽しむことが中心のものは避けましょう。
認知症予防に効果的な趣味はありますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
認知症の予防には日常的に考えたり、行動したりすること、周囲の人とコミュニケーションをとることが重要です。読書などの個人的に楽しむことができる趣味も非常によいですが、将棋や囲碁、卓球など複数名で楽しめる趣味を持ち、一緒に楽しむことができる仲間を見つけられるとさらに良いでしょう。
編集部まとめ
認知症に関してはまだわかっていないことも多く、認知症の発症を十分に予防することは困難ですが、認知機能低下のリスクを下げる方法に関しては少しずつ研究が進んでいます。正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫による認知症などの一部の認知症は外科手術などの治療で認知機能が改善しますが、ほとんどの認知症は認知機能が改善しないことが多いため、とにかく認知機能を悪化させないことが重要です。食事に気をつける、適度な運動をする、節度のある飲酒をする、積極的に人と交流するなど普段の生活の中で取り組めることも多いため、今回の記事を参考にして認知症の予防に取り組んでいただければ幸いです。
「認知症の予防」と関連する病気
「認知症の予防」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経内科・脳神経外科の病気
- アルツハイマー型認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
- 脳血管性認知症
- ウェルニッケ脳症
- 正常圧水頭症
- 慢性硬膜下血腫
認知症の5−10%は正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、ビタミン欠乏などによる認知症であり、適切な治療によって認知機能が改善する可能性があります。しかし、多くの認知症は認知機能が改善しないままとなってしまいます。
日頃の生活習慣や社会活動などで認知症予防対策につながるものを取り入れて過ごしていただければと思います。
「認知症の予防」と関連する症状
「認知症の予防」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 物忘れがひどい
- 性格が変わった
- 怒りっぽい
- 不安に感じる