神経衰弱とは?症状・原因・診断・治療方法

公開日:2021/05/29
神経衰弱

神経衰弱とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(青森新都市病院)

神経衰弱とは

神経衰弱は、最近では用いられることが少なくなった精神に関わる疾患名です。現代では神経症、不安障害や身体表現性障害などの神経症性障害に該当します。

不安・緊張・恐れなどの感情を気にしすぎることに感覚が強くなり、より多くのネガティブな感情を抱いてしまうことを指します。社会的・経済的に恵まれていない人だけでなく、恵まれている人にも発症することが多く、11~20歳の青年期や40~50代の中年期によくみられるなどの特徴があります。

村上友太 医師 青森新都市病院ドクターの解説
神経衰弱は、最近ではほとんど用いられていない病名であり、不安症や身体表現性障害などの神経症性障害に該当する疾患概念です。

神経衰弱の症状

神経衰弱では、精神的な無理や努力をしたあとに疲労が増強します。

よくみられる症状としては、めまい、頭痛、身体がゆれる感じ、軽度の抑うつ、記憶力の低下、根気がなく疲れやすい、睡眠過剰、睡眠不足などが挙げられます。

疲労が精神面に出るタイプであれば、わずかな仕事のあとでも精神的に疲れやすく、何かをやり終えたあとは集中力が散漫になり効率的に動けないなど、日常生活に支障が出ることがあります。

疲労が肉体に出るタイプであれば、身体・筋肉が痛かったり、休んでも体力が回復せずリラックスできなかったりする場合もあります。

村上友太 医師 青森新都市病院ドクターの解説

この病気には2つの病型があります。

1つめは、精神的作業を行ったあとで疲労が増強して日常生活に支障をきたします。日常の仕事や作業を行う能力が低下します。精神的に疲れやすく、関係のないことを考えたり、連想したりして集中力が低下し、全般的に効率よく考えることができなくなります。

2つめは、体に力が入らない感じがあり、何か少しの努力をしただけでも疲れてしまい、筋肉痛を感じ、休んでいてもくつろげない感覚に陥ります。

これら2つの病型には、共通点もあります。めまい、筋緊張性頭痛、全身の不安定感、あせり、うつ状態や不安感、睡眠障害などがあります。

神経衰弱の原因

明確ではありませんが、主な原因は慢性的なストレスだと考えられています。遺伝的な要因や性格、自律神経の障害にもよると考えられています。

ストレスを感じる原因としては、家族や友人など身近な人間関係、近所付き合い、低い自尊心、普段抑圧している怒り・不満、天災などの不安など、日常生活において多岐にわたります。

村上友太 医師 青森新都市病院ドクターの解説
明確な原因は不明ですが、慢性的なストレスによって引き起こされることが考えられています。

神経衰弱の検査法

神経衰弱の検査方法は、現在の身体に出ている症状が神経衰弱の症状と当てはまるかをヒアリングする形になります。具体的には、下記1~3の流れで神経衰弱の診断がなされます。

  • 精神的な努力をした後の疲労に疲労感が強くなるか、あるいは、わずかな努力のあとの身体的な衰弱や消耗があるかどうかを確認します。
  • 次に、筋肉の鈍痛・疼痛、めまい、緊張性頭痛、睡眠障害、くつろげない感じ、いらいら感、消化不良のうち2つ以上があるかどうかを確認します。
  • 自律神経症状や抑うつ症状があっても、他の神経的な障害の診断基準を満たすほどに重症ではないか確認します。
村上友太 医師 青森新都市病院ドクターの解説

精神医学的診察によって診断されます。主に下記内容を評価します。

  • 精神的な努力をした後に疲労感の強さが増すこと、あるいは、わずかな努力をした後に身体的な衰弱や消耗があること、のどちらかが該当する場合
  • 筋肉の鈍痛・疼痛、めまい、緊張性頭痛、睡眠障害、くつろげない感じ、いらいら感、消化不良のうち2つ以上該当する場合
  • 自律神経症状や抑うつ症状はあるが、他の疾患の診断基準を満たすほどではない場合

神経衰弱の治療方法

大きく分けて、薬物療法と認知行動療法(カウンセリング)の2つの方法があります。どちらか一方だけでなく、症状の強さや治療の段階によっては併用すると効果が高くなるとされています。

薬物療法ではベンゾジアゼピン系の抗不安薬を使用することが多く、身体の緊張や不眠の改善がなされます。認知行動療法では、ストレスのもとになる出来事に対する認知がどのようなものだったかを認識し、その認知を修正します。

歪んでいた認知により生まれていたストレスを改善するためカウンセリングを行います。

村上友太 医師 青森新都市病院ドクターの解説

治療には、薬物治療と認知行動療法の2つが挙げられ、併用することが有用です。薬物治療では、抗うつ効果と抗不安効果を併せ持つセロトニン作動性薬物は有効性があります。薬物の長期投与を考慮し依存性が生じないように、慎重に薬剤を選択します。

認知行動療法では、日常生活でストレスがあることと、ストレスの対処法を認識できるようになるための手助けをします。それまで自覚していなかった感情や感覚、考え方などを気づかせることで、ストレスも減っていく可能性があります。

神経衰弱の予防方法

神経衰弱は予防が難しい側面があります。普段の自分や過去の体験から、自身が大きなストレスを感じやすい状況や考え方のくせを把握しておき、可能な限り大きなストレスには近づかないようにしておきましょう。

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