川崎病の症状や原因、治療方法とは?
川崎病とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントを交えつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)
川崎病とは
川崎病とは、1967年に小児科の川崎富作先生が最初に報告した病気で、いまだに原因は不明です。
乳幼児に多く、全身の血管に炎症が起きます。
冠動脈瘤などの心臓の合併症をきたすため、小児の後天性心疾患の最大の原因になっています。小児人口は減少している一方で、川崎病の患者数は増え続けており、罹患率が急増している病気の一つです。
0~4歳の年齢層では、2018年には人口10万人対359.1人でした。
川崎病の症状
川崎病の始まりは、発熱がほとんどであるといわれています。熱は38度から40度の高熱で、平均して7-10日ほど続きますが、2週間から1ヶ月に及ぶこともあります。熱が下がる時に指先の皮がむけるという症状が特徴的です。
発熱のほか、以下の症状も見られます。
- 両目の充血
- 唇がカサカサに乾燥して充血し真っ赤になる
- 舌がイチゴのように赤く腫れる
- 体の発疹
- 手足のむくみや腫れ
- 手のひらや足の裏が全体に赤くなる
- 首のリンパ節の腫れ
- BCGを注射した場所が赤く腫れる など
特に、大きな冠動脈瘤(8mm以上)がある場合、心筋梗塞を予防するために血液が固まりにくい薬を飲み続けなくてはいけません。
川崎病の原因
川崎病の原因は、細菌やウイルスの感染、なんらかの環境物質による刺激などが考えられていますが、原因は特定されていません。
年齢別では、1歳前後をピークに0歳から4歳までの乳幼児がかかりやすく、患者全体の80%を4歳以下の乳幼児が占めています。
男女別では、やや男子に多い傾向があります。
川崎病の検査法
川崎病は、特徴的な症状から診断します。
以下にあげる6つの主な症状のうち、5つ以上が見られた場合と、4つの症状しかなくても冠動脈瘤が見られた場合は、川崎病と診断されます。
- 5日以上続く38度以上の発熱
- 両側眼球結膜の充血
- 唇が赤くなったり、イチゴ舌が見られたりする
- 発疹
- 手足の腫れや手のひらや足底が赤くなる、熱が下がってから手足の指先から皮膚がむける
- 首のリンパ節の腫れ
症状が揃わないものの、ほかの病気ではないと判断された場合は「非定型の川崎病」と診断されます。
川崎病発症から2、3ヶ月経過しても冠動脈径が4-6mmを越える時は、心臓カテーテル検査による冠動脈造影を受けることを勧められることもあります。
この検査で冠動脈の状態がわかれば、予後の推測にも役立ち、経過の観察や治療のためにもメリットが大きいからです。
川崎病の治療方法
高熱がある時期には、できるだけ早く熱を下げて血管の炎症をおさえることが、冠動脈の瘤を作らないためにとても大切です。
川崎病の治療法は、まず免疫グロブリンと呼ばれる血液製剤を点滴で投与し、血液を固まりにくくするアスピリンという薬を内服することが多いです。多くの患者さんは、この治療後2日以内に熱が下がり、治療が有効である場合には冠動脈に瘤ができる可能性が低くなります。
免疫グロブリン治療後も高熱が続くような場合には、免疫グロブリン製剤を再投与したり、レミケードという特別なお薬を使用したり、血漿交換などの追加の治療をします。
どちらも利点と欠点があり、患者さんの狭窄の状態によって選びます。
川崎病の予防法
川崎病は、原因が特定できていないため、残念ながら予防策がありません。
疑わしい症状があれば、医療機関を受診して、早く治療を開始することが大切です。
心筋梗塞の症状は、激烈な冷や汗を伴う持続的な胸痛です。
背中、かた、腹部の痛みを訴えることもあります。
乳幼児では顔面蒼白、嘔吐、不機嫌には注意が必要です。
このような症状がみられた際には、すぐに医療機関を受診しましょう。