脂漏性皮膚炎の症状や原因、治療方法とは?
脂漏性皮膚炎(読み方:しろうせいひふえん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
高橋 典大 医師 飯田橋クリニック院長
脂漏性皮膚炎とは
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、頭皮や顔面、髪の生え際、耳の周囲、ときにその他の部位に慢性の炎症が起き、脂ぎった黄色い鱗屑(うろこ状のくず)やフケが生じる病気です。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/17-皮膚の病気/かゆみと皮膚炎/脂漏性皮膚炎
また、脂漏性皮膚炎を発症・悪化させるものとして癜風菌(マラセチア菌)という真菌が関与していることが報告されています。この菌は脂を好む菌ですが、皮膚に普通に存在しているものです。ところが、脂漏性皮膚炎になると、この菌が異常に増える症例もあることがわかっています。
脂漏性皮膚炎の症状
頭部や顔面、わきの下など皮脂の分泌の多い部位によくみられます。
乳児期には、黄白色の脂っぽい厚いかさぶたが付着し、思春期以降の場合は、頭部のふけが増え、細かい鱗屑(りんせつ)の付着した紅斑(こうはん)が生じます。
頭部ではかゆみがありますが、顔面ではあまりかゆみがないのが特徴です。引用:協和発酵キリン かゆみナビ
http://www.kyowa-kirin.co.jp/kayumi/disease/case04.html
皮膚が赤くなったり荒れてカサつき、かゆみの症状を伴います。皮膚がベラベラとはがれてくる場合もあります。
頭にできた場合、頭皮のフケが多くなったり、大きめのフケが頭皮にこびりついたりします。
脂漏性皮膚炎の原因
皮脂分泌機能の異常や、皮脂を好むマラセチア菌(カビの一種)の関与が指摘されています。
引用:協和発酵キリン かゆみナビ
http://www.kyowa-kirin.co.jp/kayumi/disease/case04.html
最近では、脂の多い場所を好む癜風菌(マラセチア菌)の脂漏性皮膚炎への関与が注目されています。
脂漏性皮膚炎の検査法
皮膚症状で診断しますが、白癬やカンジダなどの真菌感染症との鑑別のため顕微鏡で拡大してカビの有無を調べます。
引用:皮膚科ちえこクリニック
https://www.chieko-clinic.jp/hifuka/shirou
脂漏性皮膚炎の治療方法
成人と年長の小児
成人と年長の小児では、頭皮の症状はジンクピリチオン、硫化セレン、サリチル酸や硫黄、タールを含むシャンプーで治療できます。患者は通常、薬用シャンプーを毎日または1日おきに使用し、皮膚炎が抑えられた後は週2回使用します。ケトコナゾールクリーム(抗真菌薬)もしばしば有効です。厚いかさぶたや鱗屑が生じている場合、コルチコステロイドローションやサリチル酸を塗り、その上からシャワーキャップをかぶって一晩おくと軟らかくなります。治療は何週間も続けなければならないことがよくあります。治療の中止後に皮膚炎が再発する場合は治療を再開します。頭部や他の患部に外用コルチコステロイドを使用することもあります。顔面には、例えば1%ヒドロコルチゾンなどの弱いコルチコステロイドのみを使用するようにします。弱いコルチコステロイドでも、長期間使用すると皮膚が薄くなるなどの問題が生じるおそれがあるため、慎重に使用する必要があります。
乳児と幼児
乳児や幼児の頭皮に厚い鱗屑(うろこ状のくず)を伴う発疹が出ている場合、就寝時に、オリーブ油にサリチル酸を2%混ぜたもの、またはコルチコステロイドゲルを、柔らかい歯ブラシにつけて発疹に優しくすりこみます。また、頭皮は刺激の少ないベビー用シャンプーで毎日洗うようにします。1%ヒドロコルチゾンクリームを頭皮にすりこむ方法もあります。引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/17-皮膚の病気/かゆみと皮膚炎/脂漏性皮膚炎
■治療法
主にステロイドの外用剤を使用しますが、症状、状態によってはのみ薬を併用します。
※脂漏性皮膚炎は、かぶれ(接触皮膚炎)、尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、尋常性白癬などと間違われることがあります。自己診断をしないで、まず医師にご相談ください。
ぬり薬
ぬり薬は病変部を石鹸などで洗い、清潔にしてから治療します。
炎症がある場合、外用ステロイド剤あるいは外用非ステロイド性抗炎症剤を、症状や患部によって使い分けます。さらに、癜風菌(マラセチア菌)に対して外用抗真菌剤(ニゾラール)を使用します。
かゆみが強い場合 → 抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤
細菌感染の恐れがある場合 → 抗菌剤
ビタミンの欠乏が影響している場合 → ビタミンB2、ビタミンB6製剤
日常生活では以下の点に気を付けてください。
●皮膚を清潔に
できれば毎日入浴し、低刺激の石鹸(シャンプー)を使って、丁寧に病変部(頭部)を洗浄(洗髪)し、皮脂、鱗屑を取り除きます。ただし、強く擦らないようにします。入浴後は、病変部には外用薬剤、その他の部位には保湿剤を使用します。また、ふだん、病変部をかかないように注意します。
●食生活に注意
・多くのビタミンは欠乏すると皮膚症状があらわれますので、とくにビタミンB群を多く含む食品を積極的にとるようにします。
レバー、しじみ、牛乳、ほうれん草、トマト、キャベツ、椎茸などを積極的に
・皮脂分泌を高めたり、皮膚に悪影響を与えるような食品はとり過ぎないようにします。
脂肪分、糖分、ナッツ、アルコール、香辛料は控えめに
・便秘にならないよう、規則正しい食事をし(排便の習慣をつけ)、食物繊維の多いものをとるなど気をつけます。
玄米、麦、まめ、野菜、いも、海草、きのこ、こんにゃく、果物などを積極的に
●ストレスを避ける
ストレス、過労(睡眠不足)などは増悪因子となるので、規則正しい生活を心がけ、十分に睡眠をとるようにします。
頭皮のフケに関する症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。