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血精液症の症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

血精液症(読み方:けつせいえきしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長

血精液症とは

血精液症(精液中に精子とともに血液が混入すること)は、不安にさせる症状ですが、通常は重篤な異常の徴候ではありません。血精液症は、通常はがんの徴候ではなく、性機能にも影響を及ぼしません。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/05-腎臓と尿路の病気/腎臓および尿路疾患の症状/血精液症

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
読んで字のごとく、『精液に血液の混入がある』病態を「血精液症」と呼びます。精液は、①『精巣でできた精子および分泌液』と、②『前立腺でできた分泌物』、③『精嚢(せいのう)でできた分泌物』が混ざったもので、射精の直前まで精嚢に蓄えられています。出血部位は多くの場合は精嚢(せいのう)または前立腺です。

用語の説明;

*精嚢(せいのう):雄性生殖器の一部。膀胱の底部に近接する左右一対の袋状の器官。精液の一部を産生する他、精子および精液を貯蔵する働きを持つ。

血精液症の症状

出血の時期が古いとどす黒くなり、血液の塊が混じることもあります。逆に比較的新しい出血では鮮血色になります。一般的に、射精時に痛みを伴うことは少ないですが、逆に痛みがあるときは炎症が疑われます 。

引用:日本泌尿器科学会
https://www.urol.or.jp/public/symptom/17.html

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
『精液に血液の混入が見られる』

新しい出血では鮮血色がみられますが、出血した時点から時間が経過すると(出血の時期が古いと)「鉄さび状」~「どす黒い色調」となります。

血精液症の原因

精のうまたは前立腺の炎症や、うっ血などの局所の循環障害が比較的多いですが、他の原因として考えられるのは、精子輸送路(精巣・精巣上体・精管・精のう・前立腺)の腫瘍、のう胞、結石などが挙げられます。また、血液凝固異常(血が止まりにくい)や血管が脆弱(もろいこと)のため出血しやすい状態の場合、射精時のいきみで精のうの微小血管から出血することがあります。しかし、多くの場合では検査をしても異常が確認できないため、特発性血精液症と診断されます。

引用:日本泌尿器科学会
https://www.urol.or.jp/public/symptom/17.html

血精液症の検査法

通常は尿検査と尿培養検査を行います。さらなる検査は、感染症やその他の病気を示唆する泌尿器症状がない限り、通常は必要ありません。しかし、重篤化する可能性がある特定の病気が疑われる場合は、さらに検査が行われ、例えば、40歳以上の男性には前立腺がんの検査を広く行っている医師もいます。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/05-腎臓と尿路の病気/腎臓および尿路疾患の症状/血精液症

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
・触診:陰嚢内に腫瘍や炎症所見が無いかを確認。さらに直腸指診にて前立腺に圧痛や結節(小さな塊)が触れないかを確認します。直腸指診で前立腺に圧痛を認める場合は炎症の存在、結節が触れる場合には悪性腫瘍(がん)または、慢性炎症の存在が疑われます。
・超音波検査:精巣、前立腺、精嚢腺等の異常所見の有無を確認。肛門からプローブ(探触子)を入れて行う経直腸的超音波検査は経腹的検査より情報量は多く前立腺や精嚢の異常を調べるのに有用です。
・CT検査/MRI検査:腫瘍が疑われる場合に追加検査として行われます。
・血液検査:中高年以降では前立腺がんの有無を調べるため、前立腺腫瘍マーカーである(PSA)という物質の値を測定します。

血精液症の治療方法

原因が特定された場合は、原因疾患の治療を行いますが、多くの症例は特定に至りません。
対症療法(症状に対する治療)が、中心になります。
炎症疾患が疑われる場合は、抗菌薬や消炎鎮痛剤の投与を、出血が続くときは止血剤の投与が行われます。

引用:小張総合病院
https://www.kobari.or.jp/update/tomo%20PDF/H27.10urologie.pdf

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
尿検査や診察の結果で精巣・精巣上体・精管・精嚢(せいのう)・前立腺に炎症があると診断した場合は、薬物療法(抗生物質や抗炎症薬を用いた治療)を行います。検査で特に異常がない場合にはあえて治療はおこなわずに経過を観ます。多くの場合は、1~2カ月程度で血精液症は消失します。

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